本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > ここが知りたいREACH規則

ここが知りたい REACH規則

コラム

REACH検索

08.09.19

成形品に含まれる高懸念物質の濃度基準

2008年5月に欧州化学品庁(ECHA)から成形品に関するガイダンス(Guidance on requirements for substances in articles)が公表されました。このガイダンスの公表に当たり、REACH規則の第7条2項および第33条に規定されている成形品中に含有される高懸念物質(SVHC)濃度0.1wt% の濃度計算の基準の考え方について、加盟国中6カ国が反対意見を表明しました。その結果、このガイダンスには、当該6カ国からの反対意見が出ている旨を記載して公表されています。

2008年8月に6カ国の反対意見の内容が「Dissenting views on the Guidance on requirements for substances in articles」として公表されています。
 この反対意見は、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツおよびスウェーデンの6カ国から2008年5月14日付で提出されていたものの集約版です。

反対が公表された文書は「宣言(Declaration)と正当性(Justification)」の2章が意見の主要部分を構成しています。

I.「宣言」の内容の要約

ガイダンスの2.2節と2.3節に表現されている生産、輸入された複合成形品(注)にREACH規則第7条2項と第33条に規定する認可候補物質の0.1wt%の閾値濃度を適用する解釈に同意しない。

(注)複合成形品(Complex Article)とは、複数の成形品(Article)の構成、組合せで作成されている成形品のことを指しています(筆者)。

<参考>

(1)ガイダンス2.2節の内容
 ほかのいくつかの法令のように、均質素材や成形品の一部に対してではなく、(製造または輸入された) 成形品そのものを基準に0.1wt%の閾値濃度を適用する。

(2)ガイダンス2.3節の内容
 0.1wt%以上の濃度の、認可候補物質リストに含まれる高懸念物質 (SVHC) を含む成形品の製造者、輸入者およびそのほかの供給者は、成形品の受領者に入手可能な情報、少なくとも安全な使用を可能にするのに必要な十分な物質名を含む情報の提供が要求されています。安全情報としてはガイダンスの8.9の表4に項目例が示されています。

反対6カ国は、0.1wt%の閾値は、複合成形品を構成する個々の成形品、部品または材料に適用すべきであると主張し、閾値の解釈に関連して公表された以下の部分に反対しています。
 ガイダンスの2.2、2.3、5.2、8 (8.4、8.5、8.7項および付録4、3の385〜387行と付録1の37〜38行が本項の主張する内容に該当する部分。)

以上に関し、ECHAができるだけ早期にガイダンスのレビューをしようとする動きを評価しています。

II.「正当性」の要約

第7条2項の適用は、複合成形品を対象とするのではなく、成形品の定義(第3条3項)やEUのそのほかの法令の解釈を考慮し、部品レベルの成形品のみを対象とすべきである。
 また、成形品の製造者、輸入者が安全な使用に関する情報を職業上の使用者や消費者に提供する観点からも複合成形品ではなく部品レベルの成形品のみを対象とすべきである。

III.6カ国の意見が採択された場合に予想されるメーカーへの影響

複合成形品の例としてPCを想定してみます。もし、PCを構成する一部品がSVHCを0.1wt%以上含有している場合でも、PC全体ではSVHC濃度は0.1wt%以下になり、ガイダンスの解釈では、このPCには第7条2項の届出義務および第33条の情報伝達義務は生じません。以下、EU域内と域外の成形品について考察を行います。

1.EU域内企業の場合
  (1)部品メーカーには第7条2項でSVHC含有濃度が0.1wt%以上の物質が年間1t以上の場合には届出義務があります。しかし、当該部品メーカーは物質メーカーがその用途を登録していることを前提として使用しますので第7条6項で届出の義務が回避されます。

(2)第33条の情報伝達の義務は年間1t以下の場合でも生じます。
 第31条でSVHC含有の調剤、物質には強制的にSDSが発行されます。したがって、最初の成形品メーカーにはSDSが渡されます。部品中にSVHCが0.1wt%以上含有されていればガイダンスの8.9の表4のような情報が川下に伝達されます。

(3)川下のユニットメーカーで複合成形品になり、当該複合成形品中のSVHC濃度が0.1wt%以下になれば第7条2項、第33条の義務から回避できるのかどうかの問題です。ガイダンスの解釈では義務が回避されるとしています。6カ国が反対しているのは、まさにこの点です。6カ国は第7条6項には言及せずに、第7条2項の届出を部品単位で行うことを主張しています。

2.EU域外企業の場合
 (1)セットメーカーの輸入者が届出の義務者になります。SVHC含有部品に未登録物質を使っていても、最終製品(複合成形品)中に0.1wt%以下の濃度になっていれば届出義務はありません。
 6カ国が主張する第7条2項の届出を部品レベル成形品とした場合は、川上で登録していないのでその対応には労力を要します。

3.第33条の情報伝達が1t以上の足切りと第7条6項により義務回避ができない場合には、複合成形品メーカーには相当な混乱が予想されます。

Guidance on requirements for substances in articlesは、下記URLからダウ ンロードができます。 http://www.chemical-net.info/pdf/Guidance_articles20080812.pdf
Dissenting views on the Guidance on requirements for substances in articlesは、下記のURLからダウンロードできます。 http://reach.jrc.it/docs/guidance_document/dissenting_en.pdf

(瀧山 森雄)

中小企業の方を対象として、海外ビジネスに関する質問を無料で受け付けています。
中小機構「中小企業国際化支援アドバイス

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


このページの先頭へ