EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2008.03.14
昨年4月27日の本カラムで英国のREACH規則の施行に関するコンサルテーションが行われたことを紹介しました。それに対するコメントが公開されていますが、その中で罰則規定について興味あるコメントありましたので、そのいくつかを紹介します。
REACH規則の罰則規定の制定は、第126条「不順守に対する罰則」で、加盟国は、2008年12月1日までにREACH規則の規定の違反に対して、有効的で、釣り合いの取れた、かつ抑止的な罰則に関する規定を策定することが求められています。
コンサルテーションで出された罰則案は下記通りです。
(この内容は、RoHS指令の違反に対する罰則規定の内容と同じものです。)
コンサルテーションに対する多くにコメントが出されています。
その代表としては、提案の「2レベルの罰則規定」をサポートに加えて、より積極的に、違反の抑止のために、単純な技術的な軽い違反と、認可や制限に対する重大な違反を明確に区別する、階層的な(tiered)罰則規定が重要であるというコメントがあります。また、繰り返しての違反、故意の不順守、偶発的な不順守などの違反には程度の差があり、違反の程度を考慮に入れるべきとの意見も出されています。
罰則規定は、加盟国ごとに制定されることになっています。このために加盟国間で、罰則の程度が異なることになれば、ゆるい罰則規定の国へ、企業が移動することが懸念されるとして、加盟国でその統一を図るべきという意見も出されています。
罰金額については、5,000ポンドは重大でない違反に対しては適当であるかもしれないが、大企業に対しては、抑止効果がないと考えられ、現行のほかの法令と同レベル、例えば20,000ポンドにすべきとの提案もあります。
釣り合いの取れた罰則ということに対しては、違反した「物質」で得た利益、あるいは、年間の利益に比例すべきという意見があります。
ことに注目すべきは、罰則は違反したハザード/リスクの程度を反映させるべきとして、ヒトの健康に対する違反と環境に対する違反は区別して取り扱うべきという意見も出されています。
REACH規則が有効に機能するには、残念ながら、まだまだ罰則規定が必要のようです。出されている意見がどのように取り込まれて、罰則規定が制定されるか注目したいものです。
(林 譲)
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