ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
税務2019.03.20
Q1327. 原産地規則および原産地証明について教えてください。

 当社はタオルを製造する中小企業です。「日EU・EPA(日EU経済連携協定)」や「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」に関するニュースの中で、原産地規則や原産地証明」という言葉を聞きますが、具体的にどのようなものかがわかりません。農業を営むわけでも、工業系の完成品メーカーでもない当社にも関係があるのでしょうか。

A.

 原産地規則には貨物の原産地を決める基準を規定した「原産地基準」と、特恵税率を適用するための原産地証明等の手続きを規定した「原産地手続」があります。第三国から輸入した材料(タオル製造の場合は綿花)であっても原糸が日本で作られていれば、特別な税率が適用でき、国際的な価格競争の面でメリットを享受できます。

【原産地規則とは】

原産地規則とは、EPA(経済連携協定)などの締約国間で特別な税率(特恵税率)を適用させるための貿易ルールの一つで、貨物の原産地を決定するルールを指します。
 ではなぜ、貨物の原産地を決定するためのルールが必要なのでしょうか。それは、EPAやTPPなどで決められた特恵税率を適用できる「締約国の原産品」であるかどうかを見極める必要があるためです。原産地規則による証明がない場合、第三国で作られ、締約国は輸出入の通過点(迂回輸入)であるものとの区別がつかなくなります。そのため、貨物の原産地を決定するルールは非常に重要です。

【原産地基準とは】

どのような貨物が原産地と認められるかの基準を示したものが、原産地基準です。原産地基準は協定ごとに異なる部分もありますが、基本的には大きく3つに分けられます。

(1)完全生産品
 完全生産品とは、1つの国で生産が完結しているものを指します。たとえば、日本で飼育している牛から絞った牛乳をもとに、日本国内で生産したチーズは、日本が原産地となる完全生産品と言えます。

(2)原産材料のみからなる産品
 原産材料のみからなる産品とは、締約国の原産材料のみを使い、締約国内で作られる産品を指します。原産材料とは、製品を作る「直接の材料」を意味しており、その原産材料を作るための「1次材料」までは気にしない、というものです。
 具体的には、日本製のタオルの場合は、材料となる原糸(原産材料)が日本国内で作られていれば、原糸を作るための綿花は第三国の原産品であっても構わないのです。

(3)実質的変更基準を満たす産品
 これは、第三国の材料を使っていても、最終製品が元の材料と大きく変化している(「実質的変更」がある)場合は、原産品として認めるというものです。「実質的変更」があったかどうかには、関税分類の変更、付加価値の付与、加工工程の指定の3つの基準が存在します。どの基準を採用するかは、各EPAの「品目別基準」を確認する必要があります。
 たとえば、ねじや鉄の材料が第三国のものであっても、日本国内でそれらを加工してまったく別のオートバイを作っている場合などは、実質的変更があったと言えます。

【完全累積制度とは】

日EU・EPAやTPP では、完全累積制度が認められています。これは、日本国内だけでなく、締約国内で生産されたものも累積して原産部分を合算できるというものです。
 たとえば、カナダの部材を日本での製造に使用し、日本で完成した商品をアメリカに輸出する場合、カナダの部材も日本の原産に累積して合算できます。そのため、(日本の原産となるための)付加価値などの基準をクリアしやすくなります。完全累積制度のメリットには、原産材料の仕入れや生産工場の立地について、約定国内で柔軟に対応できることがあげられます。

【原産地手続とは】

特恵税率を適用させるには3つの手続きがあります。原産地証明書等(第三者証明制度、自己申告制度)の提出と、事後的な原産性の確認、積送基準を満たす証明書の提出です。以前のFTA(自由貿易協定)/EPAでは、日本商工会議所が発行する「第三者証明制度」が一般的でしたが、日EU・EPAやTPPでは、「自己申告制度」が採用されました(第三者証明制度は採用されていません)。自己申告制度は、輸入者、輸出者、製品の生産者が自分で「原産品申告書」を作成し、提出する制度です。輸入国側の税関を通過する際に、製品が原産品であることを証明する資料や明細書とともに提出する必要があります。原産品申告書や原産品申告明細書は、税関のHPからダウンロードできます。

【輸出における日本企業のメリット・デメリット】

日EU・EPAやTPPは、関税の撤廃や軽減により、中小企業の輸出拡大につながると期待されています。たとえばTPPの場合、日本が輸出する工業製品の99.9%、タオルなどの繊維業や陶磁器など、地方の中小企業に関係する品目についても、関税が撤廃されます。さらに、原産地規則の完全累積制度により、部品などを輸出する企業も優遇税率を受けやすくなるというメリットがあります。
 一方で、原産地証明が自己申告制度となったことで、貨物の輸入者、輸出者または生産者の負担が増えたというデメリットもあります。原産地証明を行うためには、輸出産品のHSコードの確認、EPA税率の確認、輸出産品の原産地規則の確認などの手順があり、それをコストに感じる企業も多いようです。
 税関や経済産業省のHPでは、原産地証明について詳しく紹介されており、日本商工会議所や日本貿易振興機構(JETRO)には無料の相談窓口もありますので、不安や質問のある方は積極的に活用されることをお勧めします。

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