ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
システム2019.03.07
Q1325. 中小企業がRPAを導入する際のポイントを教えてください。

 首都圏で生活雑貨の卸売業を営んでいます。多数の得意先と取引していますが、発送方法や請求条件などが得意先によって違い、現在はベテラン社員の記憶に頼っています。担当社員は50歳台後半で、新しい担当者を育てたいのですが、採用難で難しい状況です。
 最近、RPA導入で業務の効率化に成功したという事例を耳にすることが多くなりました。当社でも検討したいのですが、RPAの概要と中小企業が導入する際のポイントについて教えてください。

A.

 RPAは、2017年に入ってから大企業を中心に導入事例が急速に増えています。RPAベンダーは、中小企業にも力を入れ始めていますので、中小企業が導入しやすい環境が整ってきています。
 RPAの導入は、単なる事務作業の効率化だけではなく、深刻な人手不足への対応策としても効果が期待できます。中小企業がRPA導入に成功するためのポイントを、RPAの概要説明も含めて、以下に説明します。

【RPAの概要】

1. RPAとは

RPAは、Robotics Process Automationの頭文字をとった略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味します。RPAで自動化できるのは、人間がパソコンを使って行っている作業です。RPAは、①パソコン画面上の位置と情報を認識、②認識した情報の内容を判断、③判断した結果を出力、といった機能を持っているため、人間に代わってパソコン作業を行えるのです。

図表1 RPAが代替する機能のイメージ図

図表1 RPAが代替する機能のイメージ図

今後は、AI(人工知能)技術の進化で、「②認識した情報の内容を判断する」機能がよりいっそう強化され、RPAがより複雑で高度な業務を代行できるようになると予想されます。例えば、AI-OCR(AI技術を取り入れ、手書き文字や非定型帳票も高精度の認識ができるOCR)とRPAを組み合わせ、手書き書類を電子データ化し、自動的に業務アプリケーションへ入力するというRPAの使い方が、実用レベルに達しています。

図表2 AI-OCRとRPAを組み合わせた業務のイメージ

図表2 AI-OCRとRPAを組み合わせた業務のイメージ

2. RPAに向いている仕事

本記事執筆の2019年2月時点では、以下のような性質を持つ業務が、RPAでの置き換えに適しています。

図表3 RPAでの置き換えに適している業務の性質
業務の性質
経常的に発生する
定型的な処理である
処理ルールが明確である

具体的な業務例の一部を、次に挙げます。

  • A社製販売管理システムからB社製会計システムへ、当日売上げ分を仕訳入力する
  • 販売管理システムから受注データを抽出し、得意先と商品ごとに、出荷先の違う出荷データを出力する
  • 販売管理システムから出荷データを抽出し、得意先ごとにフォーマットの違う納品書を発行する
  • 販売管理システムから請求データを抽出し、得意先ごとにフォーマットの違う請求書を発行する
  • ファームバンキングシステムから入金データを抽出し、販売管理システムで入金消しこみを行う
  • グループウェアシステムから交通費精算データを抽出し、インターネットの経路案内サイトから検索した運賃と照合する
  • 勤怠システムから勤怠データを抽出し残業時間をチェック、閾値によってウォーニング(警告)をメールで送信する
  • AI-OCRと組み合わせ、手書き書類を業務アプリケーションへ入力する

3. コンセプトによりRPA製品は価格に幅が

RPAの導入コストは、RPA製品のコンセプトの違いにより年間で100万円を切るものから、数千万円するものなど、製品によって大きく異なっています。中小企業がRPA導入を検討する場合は、単純な価格比較ではなく、自動化したい業務を洗い出した上で、複数のRPA製品の機能を比較する必要があります。

【RPA導入時のポイント】

1. RPA導入の流れとポイント

以下に、RPA導入の流れを示し、重要なポイントを解説します。

図表4 RPA導入の流れ

図表4 RPA導入の流れ

RPA導入の流れは、「A 業務への適用」、「B RPA製品選定」、「C RPA稼動後」の3つに分類でき、それぞれが関連しています。

(1)業務への適用

この流れでのポイントは3つあります。

  1. A-1 現場の動機付け
    RPAの導入は、現場担当者の仕事を奪うものと捉えられ、業務改革に非協力的になる可能性があります。RPA導入で手の空いた担当者は、従来よりも高度な仕事を担当させるなど、現場担当者のモチベーションを向上させる動機付けが重要となります。
  2. A-4 対象業務の改善設計
    人手で行っている作業をそのままRPAで置き換えるだけでなく、業務のムダ・ムラ・ムリの排除へ取り組むことで、生産性はさらに高まります。
  3. A-5 一部業務からRPA適用
    全ての作業を一気にRPA化した場合、障害発生時の影響が大きくなります。リスクを回避し、効果測定も容易となるスモール・スタートがポイントとなります。

図表5 一部作業からRPA化するイメージ図

図表5 一部作業からRPA化するイメージ図
(2)RPA製品選定

「B-2 RPA開発体制決定」が重要なポイントとなります。
 RPAの開発は、システムエンジニアほどの専門知識は要しませんが、ある程度のIT活用力が必要です。
 社内で人材を割り当てられない場合は、人材派遣会社を活用する方法もあります。最近は、大手派遣会社もRPAを扱える人材育成に力を入れていて、RPA関連のサービスを充実させています。

(3)RPA稼動後

RPAは、パソコン画面の決まった位置からデータを読み込んだり、あるいは画面の決まった位置へデータを出力したりします。画面レイアウトを変更する場合、RPAの変更も必要となりますので、RPAの保守体制も事前の計画が必要です。

【中小企業もIT活用で生産性向上へ】

2019年4月に働き方改革関連法が順次施行され、中小企業は2020年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。また、人手不足の深刻度が増していますが、抜本的な解決策は見出せていません。そのような経営環境により、中小企業もITを活用して生産性を向上させることが、事業継続のため解決すべき課題となっています。
 RPAは、既存システムを変更することなく導入でき、業務プロセス改善につながる可能性も高いため、生産性向上効果が高いソリューションです。本記事が中小企業のRPAの導入にお役に立てれば幸いです。

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