ビジネスQ&A

ビジネスQ&A

経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
省エネ2019.02.28
Q1324. 省エネ法の貨物輸送に関わる部分が改正(平成30年12月施行)されたようですが、どんな内容でしょうか。

A.

 省エネ法ではこれまで、貨物の所有権を前提に荷主をさだめ省エネの取組を規定するものの、荷受側の省エネの取組については特段、規定されていませんでした。今回の改正では所有権に関わらず荷主が定義されました。また、一定の条件を満たす荷受側の事業者が新たに準荷主として定義され、省エネの努力義務が規定されました。

製造業は素材や部品を荷受けし、加工、組み立てた部品や完成品を出荷します。また、製造業以外であっても事業の運営に必要なものを発注し、荷受けします。今回の改正はネット小売事業者の増加を背景の一つとしたものではありますが、それ以外の幅広い業種の事業者にも関わるものですので、改正の内容を紹介します。ただし、あくまで概要ですので、実施にあたっては、末尾に記した法令等をご確認ください。

1.荷主

(1)荷主とは

今回の改正で次のIとIIの事業者が荷主であると定義されました。1),3)

  1. 貨物輸送事業者との契約等により貨物を輸送させている事業者が荷主となります。ただし、他の事業者により実質的に貨物の輸送方法が決定されている場合は除きます。(図1)
    図1

    図1 一号荷主

  2. 貨物輸送事業者との契約等がなくとも、貨物輸送事業者に貨物を輸送させている事業者との契約等において、当該貨物の輸送方法等を実質的に決定している事業者は荷主となります。(図2)
    ここで、「輸送の方法等を実質的に決定している」とは…
    貨物の輸送方法等の要素として、
    1. 輸送モード(鉄道、トラック、船舶、航空機等の別。ただし、一定の料金内での輸送を指示した場合も、その料金内で利用可能な輸送手段を決定しているものと考える。)
    2. 受取日時
    3. 受取場所
    4. 引渡日時
    5. 引渡場所
    等が考えられますが、これらのうちa~cのすべてを決める場合をさします。
    図2

    図2 二号荷主

貨物の所有権に関わらず輸送の方法等を決定するインターネット小売事業者も荷主として対象となります。貨物輸送事業者との契約がなく、輸送の方法を決定していないモール事業者は対象外です。
 また、一年度間に自らの貨物を3,000万トンキロ以上貨物輸送事業者に輸送させる荷主は特定荷主として指定され、定期報告書の提出等が義務となります。2)

(2)荷主の判断の基準

荷主が遵守すべき項目(以下、基準)及び目標として努力することが期待される項目(以下、目標)を規定した「荷主の判断の基準(告示)」が改正されました。4)
 今回の改正では、主に企業向けの大口貨物に関する取組(以下、大口)、主に消費者向けの小口貨物に関する取組及び両者に共通する取組(以下、共通)に分けて記述されました。
 改正後の主な項目は以下のとおりです。

  • 流通全体の輸送効率を考慮し、積み合わせ輸送の容易化や荷役・運搬の効率化を図った商品開発や荷姿を設計する。(基準>共通)
  • 貨物の輸送先及び輸送量に応じて拠点経由方式と直送方式を使い分ける。(基準>共通)
  • 受発注の業界プラットフォームや共同の配車管理システム等を構築・活用し、貨物輸送事業者や協働する荷主、準荷主と受発注情報や車両の位置情報等を共有することで、共同輸送による積載率や実車率の向上を図る。(目標>共通)
  • 予約受付システムの導入、事前出荷情報の共有、検品方法の見直し(ユニット検品等)や受入体制の構築等によって荷待ち時間の縮減を図る。(目標>大口)

2.準荷主

(1)準荷主とは

自らの事業に関して、貨物輸送事業者が輸送する貨物を継続して受け取り、又は引き渡す者であって、当該貨物の受取又は引渡しを行う日時および場所についての指示ができるもの、です。1),3)(図3)法律でその指示を適切に行うよう努めることが規定されています。
 ここでは、あらかじめ、荷主と貨物輸送業者の契約で、たとえば「○日午前中に○○工場に納入」と日時や場所に一定の幅が許容されているものとしています。その幅の中で、「午前10時に工場内の□□へ納入」と具体的に指示できるものを準荷主としています。

図3

図3 準荷主5)

(2)準荷主のガイドライン

準荷主が(1)項の指示を適切に行うために準荷主に期待される具体的な省エネの取組が準荷主ガイドラインとして新たに制定されました。
 その主な項目は以下のとおりです。

  1. リードタイムの見直し
    受取までのリードタイムを伸ばすことで、たとえば、従来は時間の余裕が無く、積載率が低いまま出発していたトラックに、他の発注分の貨物も合わせて積載することが可能となり、積載効率の向上にもつながります。
  2. 発注頻度・発注ロットの見直し及び発注量の平準化・最適化
    例えば、毎日配送から隔日配送へ変更することで、より大型の輸送手段の選択が可能になります。また、発注の際に50個、100個単位の発注ではなく、48個、96個など、パレットへの積載を意識した数量を単位とすることで、より効率よく貨物を積載することができます。(図4)
    図4

    図4 パレットへの積載を意識した発注数量5)

  3. 大型輸送機器の受け入れ体制の確保
    車両の大型化及びトレーラー化並びに船舶の大型化等により、荷主が貨物輸送事業者に対し、便数を削減して発注できるように、大型輸送機器の受け入れ体制の確保に努めることをいいます。
  4. 計画的荷積み・荷卸しの推進
    荷卸しや荷積みの順番待ちなどによるトラック等の荷待ちは、アイドリング等によるエネルギー消費量の増大を生じます。トラック等の到着前に、到着予定時刻と貨物の概要が把握できるシステム(予約受付システム)の活用により、計画的に荷積み・荷卸しの人員を手配することができます。(図5)
    この際、荷送人が荷受人に、事前に貨物の品名と個数等を通知すること(ASN)やICを組み込んだタグにより貨物の判別を行う技術(RFID)を活用することにより検品作業の効率化も図れます。
    図5

    図5 予約受付システムの活用による荷待ち時間短縮のイメージ5)

  5. ユニットロードシステム化の推進
    ユニットロードシステムとは、商品を多量に扱う際、同一の容器、パレットなどを用いて、個々の貨物を集合して一単位の貨物(ユニットロード)として扱うことにより荷役、輸送、保管などを効率化する仕組みをいいます。
    また、貨物を出発地から到着地まで同一のパレットに載せたまま輸送、保管する一貫パレチゼーションという方法があります。
    ガイドラインでは、一貫パレチゼーションを中心としたユニットロードシステム化の推進に努めることを規定しています。これにより、荷役の機械化や積替えの省力化をはじめ、荷役作業時間の短縮だけでなく、トラックの待ち時間削減による省エネにもつながります。

フリーワードで探す

無料相談のお問い合わせ