ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
教育・能力アップ2019.01.17
Q1318. コンシェルジュ・サービス開発とそのための人材育成はどのようにすればよいですか。

 地方の老舗温泉旅館です。当地でも外国人観光客の増加は顕著で、当館もより質の高いおもてなしを展開するためにコンシェルジュ・サービスの導入を検討しています。効果的なコンシェルジュ・サービスと人材育成法について教えてください。

A.

 欧米からの外国人観光客がホテルを選ぶ際、コンシェルジュがいるかどうかが基準の一つとなると言われています。外国人観光客は今後も増加の一途をたどると考えられますが、高い水準のホスピタリティを実現するには、顧客に寄り添ってさまざまなアドバイスを提供し、交流を図るコンシェルジュが重要となります。コンシュルジュ特有の資質・能力を踏まえた人材配置や育成策およびサービス設計について解説します。

【コンシュルジュとその仕事】

コンシェルジュとは元々、フランス語です。本来は「案内人」という意味の単語ですが、徐々に解釈が広がり、ホテルの宿泊客のあらゆる要望に対応する「総合世話係」といった職務を担う人の職種名として使われるようになりました。
 コンシェルジュの代表的な仕事は、レストランの手配、観光情報の提供および観光プランづくりの相談、チケットの手配、航空券・鉄道の手配などです。ときには、ビジネス文書の翻訳や訪問のアポイント設定など、法規に触れない範疇で幅広く顧客のニーズに対応し、秘書的な役割も果たします。形やマニュアルにないサービスが求められますので、臨機応変にそれぞれの顧客に合ったサービスの提供が求められます。

【コンシェルジュに求められる人材要件】

コンシェルジュの育成にあたっては、まずコンシェルジュとして働くにはどのような人材が適しているかを明らかにし、採用、配置、育成を計画的に行う必要があります。
 コンシェルジュに必要な人材要件を下記の表に整理します。

図

【人材育成方法】

欧米には短期のコンシェルジュ養成機関がありますが、日本にはありません。日本では、上記の人材要件を参照して、該当する人材を社内から選び異動させる、あるいはホテル・観光業界で類似の経験を積んだ人を採用し、フロント、ベル、ゲストリレーションなどの館内業務経験を蓄積させることで育成しているのが実情です。大手ホテルチェーンでは、先輩社員によるOJTによって実務経験を積む人材育成法もとっています。

【コンシュルジュ・サービス設計】

コンシェルジュ・サービスには、アメリカ型とヨーロッパ型の2つのタイプがあります。
 アメリカ型は、交通手段が発達し、短期間のビジネスを目的とした滞在客の増加に伴い登場したもので、より多くの顧客に対応できるように効率や効果を重視したサービスです。ホテルのロビーは、頻繁に行われるチェックイン・チェックアウトを考慮し、フロントを中心に、補佐的な場所にコンシュルジュ・デスクが設置されています。また、経験の浅い者であっても一定程度のサービスレベルを維持するために、情報を共有するデータベースや案内ツールなどの情報を充実させています。コンシュルジュが細部まで覚えなくてもナビケーションができる環境が整えられているのです。
 一方、ヨーロッパ型は、一人ひとりの顧客と時間をかけて向き合い、懇切丁寧に接するサービスの質を重視するサービスです。顧客が不自由なく過ごせるように配慮し、パーソナルアシスタントさながらの顧客に密着したサービスを提供しつつ、ロビーもコンシェルジュ・デスクをメインに据えるよう設計されています。
 コンシェルジュ・サービスを導入する際には、自社の顧客特性を考慮し、アメリカ型とヨーロッパ型のどちらが適切かを見極めることが大切です。

【コンシュルジュ・サービスの広がり】

コンシェルジュ・サービスの基本概念や技術・知識は、顧客サービス全般に応用できます。個人の価値観の多様化や商品や情報の過多による選択肢の多さなどの理由から、単なる案内役ではなく、より深く顧客にコミットしたサービスが求められようになり、ホテルだけでなくさまざまなサービス産業でその概念が導入されています。
 たとえば、病院、駅、レストラン、百貨店、高級マンションなどにもコンシェルジュが配置されています。コンシェルジュという言葉の響きに、消費者が「高級感や温かみのあるサービス」という印象を抱きやすいことから、導入している場合もあります。

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