ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
省エネ2019.01.08
Q1316. 蒸気ボイラーを使用しています。ドレン(復水)の再利用による効果はどのように計算すればよいのでしょうか。

A.

 ドレンは発生時点では蒸気と同じ温度をもち、かつ、不純物を含まない純水です。そのため、ドレンをボイラーへの補給水として再利用すれば、ボイラー燃料削減の効果とボイラー補給水削減の効果があります。それぞれの計算は以下のようになります。

ドレンの回収方式についてはQ1311でオープン方式とクローズド方式があることを示しました。ここでは設備費用が小さいオープン方式を想定して、ボイラー燃料と補給水の削減量とその効果金額を求めます。
 3.0t/hボイラーからの蒸気を使用した際に発生するドレンの60%を85℃で回収するとして計算します。計算は図のフローのように行い、以下のようになります。

図

1. ドレン回収量の計算

前提条件

  • 蒸気圧力(温度):0.7MPa(170.5℃)
  • 給水温度:20℃
  • ボイラーからの蒸気発生量
    仕様で示されるのは「換算蒸発量」です。この場合は3.0t/h。これは、大気圧下で100℃の飽和水を100℃の乾き飽和蒸気にするのに要する熱量2,257kJ/kgを条件にしています。
    「実際蒸発量」を、実際の給水温度と蒸気の圧力での熱量、それぞれ83.9kJ/kg、2767.6kJ/kg(注)を使って、以下の式のように求めると、2.52t/hになります。
  • (注)これら1kg当りの熱量、すなわち比エンタルピーは飽和蒸気表で調べます。
    実際蒸発量=換算蒸発量×(上記2,257)/(蒸気のエンタルピー-給水のエンタルピー)
    =3.0t/h×2,257kJ/kg/(2767.6kJ/kg‐83.9kJ/kg)=2.52t/h
  • 運転時間:8,000h/年
  • 負荷率:ボイラーは蒸気の使用量に応じ負荷が変動します。平均負荷率を給水量などから求め、70%とします。
  • ドレンの回収率:機器ごとのドレン発生の状況から推定します。60%と仮定します。
    ドレンの回収量は、2.52t/h×8,000h/年×0.7×0.6=8,470t/年

2. ドレンで回収する熱量の計算

飽和蒸気表で比エンタルピーを見ると、ドレン回収時の85℃で356.0kJ/kg、給水の20℃で83.9kJ/kgですので、ドレン1kgあたりの正味回収熱は、

(356.0-83.9)kJ/kg=272.1kJ/kg=272.1MJ/t

ドレンで回収できる熱量は、1項の回収量の数値を使い、

272.1MJ/t×8,470t/年=2,300,000MJ/年

3. 燃料の削減量・金額を計算

(1)燃料削減量を計算

燃料を都市ガスの13Aとすると、低発熱量は41.7 MJ/m3N。

燃料削減量は、ボイラー効率を96%とすると、

2,300,000MJ/年÷(0.96×41.7MJ/m3N)
 =57,500m3N/年

となります。ここで、燃料削減率も確認しておきます。

まず、ドレン回収をしない場合の燃料使用量を求めます。

0.7MPaの蒸気がもつ熱量は2,767.6kJ/kg=2,767.6MJ/tで、この蒸気を2.52t/h×負荷率0.7で発生しているので、年間の発生蒸気の熱量は、

(2,767.6-83.9)MJ/t×2.52t/h×0.7×8,000h/年=37,900,000MJ/年

これを、燃料の低発熱量41.7MJ/m3Nとボイラー効率で割ると、燃料使用量は、

37,900,000MJ/年÷(0.96×41.7MJ/m3N)=947,000m3N/年

したがって、燃料の削減率は、

57,500m3N/年/947,000m3N/年×100=6.1%

となります。

(2)燃料削減金額を計算

都市ガスは中圧で供給されており、単価を75円/m3として計算します。

ガスのメーターや単価のm3は、15℃、(中圧では)0.981kPaのもとでの数値です。一方、発熱量のm3Nは0℃、大気圧のもとでの数値ですので、1m3N=1.045m3(注)となります。

(注)〔(273+15)/273〕×〔101.3/(101.3+0.981)〕=1.045
 ここで101.3kPaは大気圧。

燃料削減金額は、

57,500m3N/年×1.045m3/m3N×75円/m3÷1,000=4,510千円/年

なお、ドレン回収前の燃料費は、

947,000m3N/年×1.045m3/m3N×75円/m3÷1,000=74,200千円/年

4. 補給水の削減量・金額を計算

ドレンの回収分だけ補給水が削減できます。

その量は1項から8,470t/年。

水道水(下水を含む)の単価は自治体により大きく異なりますが、仮に250円/m3とすると削減金額は、

8,470t/年×250円/m3÷1,000=2,120千円/年

となります。

5. 削減金額の合計を計算

3項の燃料費削減と4項の補給水削減の効果の合計は、

4,510千円/年+2,120千円/年=6,630千円/年

となります。

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