ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
省エネ2018.11.16
Q1308. 圧縮空気漏れ対策の省エネ効果は?

A.

 圧縮空気は、漏れていても、目に見えない、環境上、火災上の危険性がないことから放置されがちです。コンプレッサーメーカーの調査では10~20%の圧縮空気が漏れている(1)とのことです。空気漏れ対策はコンプレッサーの省エネの第一歩といわれています。まず、現在の漏れ量を把握することが必要です。以下の方法を紹介します。

配管の末端を閉鎖してからコンプレッサーの運転を開始し、規定圧力に達したら停止します(図1のAB)。停止時から漏れにより圧力が減少します(図1のBC)。
 このとき、使用圧力の上限P1と下限P2になった時点の時間差t1およびt2を計測します。

図1 時間-圧力曲線(2)を改変)

図1 時間-圧力曲線((2)を改変)

コンプレッサーの吐出流量に対する漏れ量の比率Lp〔%〕は次の式で求められます。

Lp〔%〕=t1/(t1+t2)×100・・・[1]

1. 漏れ率の式の説明

漏れの率がなぜ、[1]の式で得られるのか、説明します。
 配管全体の体積(内容積)をV〔m3〕とすると、その中の空気量は、圧力P1〔MPa〕(ゲージ圧力でなく、絶対圧力。以下同じ)のときは、大気圧P0換算でP1/P0同様に圧力P2のときは、大気圧P0換算でP2/P0になります。(注1)

(注1)P1からP2への圧力の差が小さいため、温度は変わらないとしています。
 BからCの部分で、圧力P1から圧力P2に下がるまでt2〔min〕の時間がかかっている。
 空気の漏れの速さをQ〔m3/min〕とすると次のようになる。

Q〔m3/min〕=(P1/P0V-P2/P0V)/t2=((P1-P2)×V)/(t2×P0)・・・[2]

次にAからBの部分で考える。この過程では圧縮空気が配管系に送り込まれる一方、配管系から上記の空気の漏れQが生じている。
 圧力P2から圧力P1に上昇する間の配管系統内の空気の大気圧換算量の増加は
 P1/P0V-P2/P0Vである。
 これは、時間t1〔min〕の間に、コンプレッサーの吐出流量Qc〔m3/min〕から漏れ量Q〔m3/min〕を減じたものであるから、
 (Qc-Q)×t1=(P1/P0V-P2/P0V)
 すなわち、Qc-Q=((P1-P2)×V)/(t1×P0)・・・[3]
 [3]の左辺、右辺を[2]の左辺、右辺でそれぞれ割ると
 (Qc)/Q-1=(t2)/(t1)・・・[4]
 一方、Q/Qcは前記の漏れ率Lp/100であるので
 [4]は100/Lp-1=t2/(t1)
 となり、この式から[1]の式が導かれる。

2. 漏れの低減による省エネ効果

1. で漏れ率がわかったところで、それをゼロにしたらどれほどのメリットになるか計算します。

〔前提条件〕

  • コンプレッサーは55kWのスクリューコンプレッサーでインバータ回転数制御機。
  • 稼動時間は 年間6,000時間
  • 1. で計測~計算されたコンプレッサーエアーの漏れ率を8%とします。漏れを無くする改善を行った後、漏れ率が0%になるものとします。
  • 平均負荷率:通常、圧縮空気の消費量は1日のなかでも変動します。それに対応するコンプレッサーの負荷の平均を70%とします。
  • 消費量が変動する中で、部分負荷のときのコンプレッサーの消費電力は機種により異なります。それを図2に示します。
  • モーターの効率を94.5%、インバータの効率を95%とすると総合効率は、
  • 0.945×0.95=0.90で90%になります。

〔計算〕

  • 現状の平均負荷率が70%のときは図2 から消費電力は60%になります。
  • 現状の漏れの8%は1. の計算から図2の横軸の100%に対する8%です。
    したがって、漏れが0になり消費する空気量が減ったときの平均負荷率は 70-8=62%となります。
図2 部分負荷性能(3)

図2 部分負荷性能(3)

このとき、図2から消費電力は53%となります。

  • 消費電力量の減少は
    55kW÷0.90(総合効率)×(60-53)%×6,000h/年=25,700kWh/年
  • 電気料金の削減額は、基本料金込みの総合単価を20円/kWhとすれば、
    25,700kWh/年×20円/kWh=514,000円/年

【参考文献】
(1)松隈正樹.空気圧縮機.(財)省エネルギーセンター,2005, P.107
(2)省エネルギー.1980,vol.32, no.8,p.99.
(3)省エネルギー.2014,vol.66, no.3,p.31.

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