ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
契約・取引2018.01.17
Q1281. 民法改正によって瑕疵担保責任は、どう変わりましたか?

 創業20年のシステム開発会社です。システムの受託開発を主な業務としています。納入したシステムの不具合が瑕疵にあたるとして責任を問われることも考えられます。民法改正によって瑕疵担保責任に関する条文が変わると聞きました。変更点について教えてください。

A.

 大きな変更点として、改正後の民法では、請負契約でシステム開発を行い、納入したシステムに不具合があったとき、ユーザー側が改修や損害賠償を求めるために通知をしなければならない期間が「納入時から1年」だったものが、「不具合を発見してから1年」と長期化します。

【瑕疵担保責任から契約内容不適合責任へ】

改正後民法においては、「瑕疵」という言葉は消え、「契約の内容に適合しない」という用語に改められます。「瑕疵」とは国語的には「キズ」という意味ですが、瑕疵の有無は、法律的には契約の趣旨から判断すると理解されてきました。そのため、実務上は大きな変更はないと考えられます。
 ただし、現状でも、開発側は「仕様通り」と考えたシステムが、ユーザーは「不具合」だととらえるケースは、残念ながらよくあるケースです。特に、応答速度などの非機能要件などは、システム完成後にユーザーと開発会社の間で見解が一致せず、紛争になりがちなところですので、仕様書等で明確にしておくことが重要です。

【期間制限の長期化による影響と対策】

請負契約で開発したシステムに不具合があった場合、改修や損害賠償を求めるために通知をしなければならない期間が「納入時から1年」だったのが、「不具合を発見してから1年」に長期化します。納入から相当経過してから、不具合が発見され改修を求められた場合、時の経過でプロジェクトの参加者や知識等が散逸してしまい、改修には困難を伴うことや多額の費用を要することが考えられます。また、長期間、改修や損害賠償などを求められる可能性があること自体がリスクになります。その分、テストを含む開発費用や保守費用などを見込んでおく必要があります。

【特約による期間制限の短縮】

もっとも、この期間制限は任意規定、つまり特約を結ぶことで上書きができる規定だと考えられています。そこで、たとえば契約書に「納入時から1年以内に通知を受けたものに限り」と明記して書き換えることも考えられます。
 外部環境の変化が激しい現代社会において、システムは必ずしも長期間にわたって同じものを使用し続けるものとは限りません。長期間経過後に不具合が発覚するリスクと、リスクに備えるために増大する開発費用・保守費用などのコストを勘案すれば、民法のデフォルト・ルールのみがユーザー・開発会社の双方にとって合理的な選択とは限りません。

民法の改正にあたっては、契約書を見直すだけでなく、お客様にとって、コストやリスクも考えつつ、システムから得られる果実を最大化できるよう、システム開発のプロセスそのものを見直す必要があると考えられます。

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