ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
企業統制・リスク管理2017.12.20
Q1277. 民法改正によって変わる時効の規定を教えてください。

 創業40年になる卸売業を営んでいます。民法改正によって、売掛金の時効期間など、時効に関する規定が変わると聞きました。そこで、変更点を教えてください。

A.

 民法改正によって、卸売業者の売掛金債権の消滅時効を2年とするような職業別の短期消滅時効規定は廃止されました。改正民法のもとでは、統一的に(1)「権利を行使することができる時」から10年、(2)「債権者が権利を行使することができることを知った時」から5年で時効が消滅することとなります。

【消滅時効とは】

契約などに基づいて、相手に金銭などを請求できる権利を「債権」といいます。売掛金も「債権」の一種です。
 消滅時効とは、一定期間権利を行使しない場合、債権を消滅させる制度のことです。改正前の民法においては、原則的には、債権について「権利を行使することができる時」から10年で消滅することとされていました。さらに、飲食店の代金債権は1年、小売業・卸売業の代金債権は2年、薬剤師の調剤料は3年というような職業別の短期消滅時効制度がありました。

【民法改正後の消滅時効】

改正前民法の「10年」の消滅時効は長すぎるという意見や、職業別の短期消滅時効制度は合理性がないという批判がありました。そこで、改正後の民法では、職業別の短期消滅時効制度は廃止され、「権利を行使することができる時から10年」という点は維持しつつ、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」で時効が消滅するとしました。

【時効の中断から時効の更新へ】

時効は「権利を行使することができる時」から進行を始めますが、時効の進行を止めたりリセットしたりする方法があります。たとえば、債務者が債務の「承認」をすると、時効の進行はリセットされ、ふりだしに戻ります。このことを改正前民法では、「時効の中断」といっていました。「中断」の日常的な意味としては、途中で止まり、その途中から再開することがあるようなイメージですが、改正前民法でいう「時効の中断」は、完全にリセットされてふりだしに戻る意味で、ニュアンスが異なります。そこで、改正後民法では、わかりやすく「時効の更新」と改められました。

【協議による時効の完成猶予】

改正前民法では、訴訟を提起せず、話し合いで解決しようとお互いに考えていても、時効の完成を止める方法がありませんでした。そのため、時効が完成するのを避けるためだけに訴訟を提起するということが行われていました。そこで、改正後民法では、「協議による時効の完成猶予」という制度が設けられました。これは、協議の合意がある場合に、時効の完成を阻止する制度です。ただし、後々、紛争にならないよう、この「協議の同意」は書面によって行う必要があります。

【時効管理】

改正後民法では、卸売業者にとっては売掛金の消滅時効が長くなり、時効の管理はしやすくなると考えられます。請求書を送っても入金がなく、督促をして「少し待ってくださいね」などといったやりとりを続けているうちに、本来の入金日からすぐに短期消滅時効の2年は経過してしまいます。これが、改正後民法のもとでは5年に延びることになります。さらに「時効の完成猶予」という制度もできました。
 売上を上げただけでなく、入金があって初めて利益は現実のものとなります。民法改正を機に、あらためて信用管理・時効管理を含む債権管理の仕組みを見直してみてはいかがでしょうか。また現在、売掛金の回収に困っている場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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