ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
省エネ2017.11.01
Q1240. 熱複合線図の作成方法と最少必要加熱/冷却熱量について

A.

 温度と熱量の関係を温度でつないだ線が熱複合線であり、ピンチポイントとは与熱流体と受熱流体の温度差が最も接近した点を指しています。そして、熱交換が経済的に可能な温度差を想定し、与熱流体または受熱流体の熱複合線を水平移動することで熱複合線図が作成されます。

Q1239でご説明したピンチテクノロジーで核となる熱複合線図の作成方法について、例題を基に、ご説明いたします。なお、例題はピンチテクノロジーの開発者の一人であるLinnhoff教授のテキスト(Introduction to Pinch Technology)から、図-1(a)のプロセスを取り上げます。図―1は、反応器(R1,R2)、分離塔(C1)、リボイラー(REB)、コンデンサー(COND)と熱交換器(C, Hなど計4基)で構成される化学プロセスです。原料(●)は30℃でこの化学プロセスに供給されます。また、外部から、1.加熱用に200℃の蒸気が熱交換器Hに1,200kWで、また、2.冷却用に25℃の冷却水が熱交換器Cに360kW量で、それぞれ供給されるだけであり、その他の熱交換器はこの化学プロセスの中で製品間の熱の授受にだけ使用されています。

ピンチテクノロジーでは、この化学プロセスでの加熱用蒸気と冷却用冷却水の最小熱量を求めることが出来ます。

(以下)図1 例題として取り上げる化学プロセス

例題として取り上げる化学プロセス

図-1(a)について、加熱用蒸気と冷却用冷却水を含む熱交換器での温度と熱量の関係が分かる4流体(stream1からstream4まで)に注目します(図-1(b)で、丸印の中にHeat, Coolと書かれた箇所です)。

余熱流体 受熱流体
No 供給温度℃ 到達温度℃ 熱量KW 水当量KW/℃ No 供給温度℃ 到達温度℃ 熱量KW 水当量KW/℃
1 180 80 2000 20 3 60 100 3200 80
2 130 40 3600 40 4 30 120 3240 36

流体は熱交換により温度の違いはあるものの、ストリームの中での流量と成分は同じです。したがい、熱量は、熱収支から、流量×比熱×|供給温度-到達温度|として表される(“流量×比熱”を水当量(CP)と呼びます)ことから、与熱流体について熱量と温度の関係を図式化すると図-2(a)の通りとなります。ここで、温度80℃から130℃までは流体1でも流体2でも与熱可能であり、この間での与熱量は流体1と流体2の合計値となり、水当量は流体1と流体2の合計値(20+40=60)となります。以上、3本の温度と熱量の関係を温度でつないだ線が図-2(b)与熱流体の熱複合線となります。なお、図-2で横軸に熱量の目盛が表示されていますが、流体1より流体の熱量が高いレベルにあるわけではないことに留意願います(各直線の幅が熱量を表しています)。

(以下)図-2 与熱流体の熱複合線

与熱流体の熱複合線図

受熱流体についても、同様に、熱複合線が作成でき、与熱流体と受熱流体を同一グラフ上に表示したのが図-3です。

(以下)図3-1 熱複合線図

熱複合線図

ピンチポイントとは、与熱流体と受熱流体の温度差が最も接近した点を指しています。温度差が0となる点では熱交換は不可能です。したがい、現実的には熱交換が経済的に可能な温度差を想定し、与熱流体または受熱流体の熱複合線を水平移動することで熱複合線図が作成されます。図-3(b)は温度差として10℃と想定し、作成しています。

図-3(b)で、与熱流体と受熱流体の熱複合線熱量軸で重なる範囲(図ではHeat Recoveryと表示)は与熱流体と受熱流体での熱交換が可能な範囲を示しています。言い換えると、受熱流体が与熱流体からはみ出した部分が外部からの最小必要加熱量(960kW)を、また、与熱流体が受熱流体からはみ出した部分が外部からの最小必要冷却量(120kW)を示しています。すなわち、この化学プロセスでは、蒸気による加熱量を1,200kWから960kWに、また、冷却水による冷却を360kWから120kWに、熱交換器のネットワークを見直すことで削減できることが熱複合線図を作成することで分かります。

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