ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
省エネ2017.11.01
Q1194. デカップリングって何?

A.

 エネルギー・環境分野では、デカップリング(decoupling)は、(1)収入と売上との関係を切り離し電気・ガスなどのエネルギー事業者は販売量が増減しても公正な報酬を受け取れる制度、(2)エネルギー消費と経済成長の相関を切り離すこと、の2つの意味で使われています。

デカップリング(decoupling)は、「あるものと別のあるものが分離する」といった意味ですが、エネルギー・環境分野では、次の2つの意味で使われています。

1. 収入と売上との関係を切り離し、電気・ガスなどのエネルギー事業者は販売量が増減しても公正な報酬を受け取れる制度

米国では、省エネルギー推進に向けたインセンティブをエネルギー事業者に付与することなどを狙いとして、複数の州でデカップリング制度が導入されています。
 従来のエネルギー料金制度では、エネルギー事業者の収入は「どれだけの量が売れたか」によって決まるため、エネルギーの節約や効率化対策は歓迎されません。そこで、需要家が省エネをしてもエネルギー事業者が困らない仕組みとしてデカップリング制度が注目されています。デカップリング制度では、ある時期のエネルギー需要が低迷し、事業者の収入が料金改定時の想定を下回ったときは、当該期間の料金単価が自動的に引き上げられ、収入減少分が補填されます。反対に、事業者の収入が想定を上回ったときは、当該期間の料金単価が自動的に引き下げられ、需要家に還元されます。本制度に対し、料金変動のリスクを被る需要家団体は反対し、事業者や環境保護団体はおおむね支持をしています。
 我が国では、電力事業者による高効率給湯器の開発などに対しガス事業者による家庭用燃料電池の開発などエネルギー間の活発な競争が行われていること、また、不況期に自動的に料金を値上げする制度は特に家庭で受け入れ難いため、早期の導入はないと思われます。(参考:一般財団法人電力中央研究所「米国におけるデカップリングの現状と課題」)

2. エネルギー消費と経済成長の相関を切り離すこと

下図は、我が国とドイツの過去20年間のGDPと1次エネルギーの推移を示しています(出典:始めよう“グリーンエネルギーの社会”ホームページ)。
 我が国の1990年から2004年前後までの推移に示されるとおり、これまでは経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきました。「企業活動が活発になり、生活が豊かで便利になれば、電力やガスをたくさん使うようになる」のは当たり前という考え方です。これに対し、同時期のドイツでは、日本以上に高い経済成長を続けつつ、1次エネルギー消費を減らしています。
 一定の経済成長や便利さを維持しつつエネルギー消費を減らしていく、すなわち両者を「切り離す」という考え方をデカップリングと言い表します。

日本・ドイツのGDPと1次エネルギーの推移

デカップリングを目指すには、例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改める、これまでにない手法で省エネするなど、社会の仕組みを変え、経済成長のあり方を改めること(「グリーンエネルギー革命」)が必要です。
 日本は世界で最も省エネが進んでいると言われてきましたが、エネルギー消費が増え続けてきたことも事実です。しかし、日本でもここ数年デカップリングの傾向が出始めているという指摘もあります。例えば、東京都が平成26年3月に公表した資料(東京都の省エネルギー目標「2020年までに東京のエネルギー消費量を2000年比で20%削減」)に記載された推移図(下図)では2000年前後から明確なデカップリン傾向が読み取れ、「経済成長とともにエネルギー消費は増える」と言った成長モデルは見直す必要がありそうです。

エネルギー消費とGDPの推移

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