ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
計画・資金2017.01.19
Q1132. 新しいビジネスを立ち上げるための発想・考え方を教えてください。

 地方で親の跡を継いで、小規模な水産加工会社を営んでいます。父の代からの得意先がついてくれているため、売上は少ないながらも安定しています。そこで今後、自分の代から新しいビジネスを立ち上げたいと考えています。新規事業を作り上げるための発想や考え方について、アドバイスをください。

A.

 新規事業の成功確率を高めるためには、「目的を明確にする」、「自社の強みを確認する」、「失敗を定義づける」ことが重要です。活用したいのが、「アンゾフの事業マトリクス」に示される新規事業展開の4つの類型です。これらを認識して、経営資源を集中しましょう。

 新規事業の展開は、決して簡単ではありません。ここでは、新規事業展開が失敗となる要因を整理・分析し、それらを回避することで成功確率を高められる要素や、新規事業展開の類型化とそれぞれの特徴について説明します。

【新規事業展開の多くが失敗となる主な要因】

1.経営資源の集中が不十分

 人や予算、時間といった経営資源は限られています。この経営資源の集中ができず、やみくもにさまざまなリストや資料を作成して、肝心の事業コンセプトや収益構造の設計ができていないケースが見られます。

2.過去の経験の中で課題解決を考える

 ほとんどの新規事業担当者は最初に、自身の経験や先輩たちの実績から成功事例を探し出し、真似できるものや参考にできるものを取り入れようとします。しかし新規事業では、そのようなやり方だけでなく、ビジネスを成功させるためには何をどうすれば良いかをゼロベースで考えることが必要となります。

3.成功が前提条件となっている

 「絶対に成功する」と自分に言い聞かせると、大きなプレッシャーとなります。「失敗することが多い」という認識でスタートし、それを前提にルールを決めておくことが必要です。

4.意思決定に多くの人の意見を取り入れる

 新規事業に関し、外部の方々から意見を聞き、次々に採用していけば、どのような企画も当たり障りのないものになってしまいます。新規事業の意思決定にかかわる人間は、できるだけ少ないほうが良いと思われます。

【成功確率を高めるための考え方】

1.新規事業の目的を明確にする

 新規事業を立ち上げる目的にはいくつかの種類があります。水産加工業から菓子メーカーになるような「本業の重心移動」、本業の利益率の低さをカバーするために利益率の高い加工食品販売の直営店に乗り出すような「本業の周辺強化」など、何のための新規事業であるか、その目的を明確にする必要があるでしょう。

2.自社の強みを再確認する

 自社の強みとは、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間)の中で、他社に対して優位な、もしくはオンリーワンのリソースをいいます。新規事業を検討する際は、まずこの強みを再確認する必要があります。
 ただし新規市場では、従来の市場では強みだったものが弱みになったり、逆に弱みが強みになったりすることもあるため、よく見極めることが必要です。

3.目標と失敗を定義づける

 初めに目標と失敗の定義を決めておかないと、事業が黒字でも赤字でもズルズルと続け、結果的に企業の経営体質を弱めることになりかねません。新規事業の成功・失敗を判定する人を事前に決めておくことも良いでしょう。

【新事業展開の類型とそのポイント】

 新規事業を考える際に活用したいのが、「アンゾフの事業マトリクス」です。これは、事業を「製品」と「市場」との組み合わせで4つの類型に整理するものです。特に既存事業の延長線上に新規事業を考える場合には有効です。4つの類型は、以下のとおりです。

表1 アンゾフの事業マトリクス

(1)市場浸透戦略型(既存製品×既存市場)

 新規事業を考える場合は、どうしても新しいものへ目が向くため、この類型のパターンはすぐには出てきません。しかし、ここにも新規事業の可能性があります。具体的には、会社組織、仕入れ・販売ルート、営業方法などの見直しを行い、必要であれば、アウトソーシングや他社との業務提携なども検討していくことになります。

(2)市場開拓戦略型(既存製品×新市場)

 現在の製品を、現在の顧客の周辺顧客・新規顧客にも購入してもらうパターンで、高機能化・高性能化等の改良製品、顧客の困りごとに対応した製品を新しい顧客層に提供するケースなどです。

(3)新製品開発戦略型(新製品×既存市場)

 現在の顧客に対して、高機能化・高性能化等の改良した製品を提供する、または切り替えるパターンです。顧客の困りごとに応え、現在の技術で対応できる対策製品を提供することなども含まれます。具体的には、新食材を活用した新ブランド化、単一加工型受注から組立型受注へのシフトなどが挙げられます。

(4)多角化戦略型(新製品×新市場)

 既存市場とも既存製品とも一切関係のない分野へ参入するパターンです。この類型を選択する際は注意が必要です。参入にはかなりのリスクが伴うことを覚悟しなければなりません。
 たとえば、食品加工を行っている企業がサービス業に参入するなどのケースがこれに該当します。経営環境の分析を徹底的に行ったうえで、経営資源をどこまで配分できるかなどを検討しなければなりません。

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