ビジネスQ&A

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経営者のよくあるお悩み一問一答

Q
役員・株主2016.02.19
Q0215.従業員持株会へ自社株を譲渡する際の留意点を教えてください。

私は、機械工作部品製造業を経営しており、株式の80%を保有しています。従業員持株会に5%程度の株式を譲渡することで、自社株の保有比率を下げたいと思っています。ただし、譲渡した場合、どのような税金がどのくらいかかるのかが気になっています。どのような点に留意して、株式を譲渡すればよいのでしょうか。

A.

従業員持株会に自社株を譲渡する場合、税金がどの程度かかるのかは譲渡価額によって決まります。今回のケースの譲渡価額の算出には、配当還元価額が適用されます。資本金等の額に対する配当率が年10%以下である場合、配当還元価額によって譲渡すれば、あなたにも従業員にも課税されることはありません。

【従業員持株会のメリット】

従業員による自社株式の取得・保有の常設機関として制度的に組織化されたものが、従業員持株会です。従業員は、従業員持株会を通じて、株式を所有することができます。従業員持株会は、従業員の経営参加意識の向上に寄与するとともに、従業員の財産形成への一助となります。

同時に、あなたの保有株式を従業員持株会へ譲渡することによって、株式財産である相続財産を減少させ、相続税を引き下げることが期待できます。

【譲渡する株価は配当還元価額で評価】

あなたは、従業員持株会に自社株を譲渡した場合、どのような税金が、どの程度かかるのかを気にされていますが、それは譲渡する価額によって決まります。

あなたは、5%程度の自社株を従業員持株会に譲渡しようとお考えのようですが、その場合の譲渡価額の算出には、配当還元価額が適用されます。

この配当還元価額とは、配当金額を10%で割り戻すことで、元本である株式の価額を求めようとする方式です。同族株主以外の株主および同族株主のうち、少数株式所有者が取得した株式については、会社規模にかかわらず配当還元価額によって評価をします。

その計算方法は、表1のとおりです。

表1 配当還元価額の計算方法
表1 配当還元価額の計算方法

上記の算式を見ると、配当還元価額は2年間の平均配当率が10%以下なら、1株あたりの資本等の金額で評価されることが分かります。

あなたが創業時の払込によってのみ株式を取得しているとすると、譲渡所得の計算上控除する1株あたりの取得費は、1株あたりの資本金等の額と一致します。つまり、あなたの会社が1株あたりの資本金等の額に対して年10%の配当を行っているのであれば、算出した配当還元価額が従業員持株会への自社株譲渡価額として適正ということになり、譲渡価額=取得費となるため、譲渡所得は0円となり、あなたに所得税は課税されないということになります。

【従業員への贈与税に注意】

従業員持株会は通常、民法上の組合として設立されます。民法上の組合では、株式の名義は従業員持株会の理事長となりますが、その財産所有や収益の帰属は、会員である従業員各個人になります。

そのため、あなたが保有する自社株を従業員持株会に譲渡する場合、税務上はあなたから会員個人への譲渡と認識されます。個人間の譲渡となりますので、贈与税の課税関係に注意が必要となります。

ただし、上記の配当還元価額によって従業員持株会に自社株を売却すれば、従業員持株会の会員個人に贈与税の課税関係が生じることはありません。

つまり、配当還元価額によって従業員持株会に自社株を譲渡すれば、あなたにも従業員持株会の会員にも課税されることはありません。

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