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Q0176.業績連動型の給与体系を導入する際の注意点について教えてください。
病床数約30の小規模病院です。近年は介護事業所も増え、ホームヘルプや訪問看護、デイサービスなどと競合しているため、当院の利益確保が困難になっています。医療従事者は専門能力をもつため、人件費の引き下げにも限界がありますが、現在、業績連動型の給与体系の導入を検討しています。注意すべき点を教えてください。

成果主義の導入にあたって大事なことの一つは、業績の評価方法に従業員の納得性、透明性、公正性をもたせることです。もう1つは、従業員が全社的なビジョンを共有し、やる気を出すような給与体系にすることです。

Q01762016年2月29日

テーマ:労務一般

経営改善のために人件費率の圧縮は重要ですが、成果主義の給与体系がうまく機能しなければ、医療スタッフの作業効率低下で逆に人件費率が悪化するかもしれません。

以下に、給与体系構築の際の注意点を説明します。

【納得性、透明性、公正性】

近年、いわゆる年功序列的な属人給制度が減少し、職能給を基本として潜在的な能力評価や業務遂行までのプロセス評価を加味した制度などが増えています。医療従事者のように専門性の高い職種では、職能給をベースに成果給を取り入れて、毎年洗い替えする年俸制も注目されています。

いずれの場合も、単純な結果主義を採用する例は一般的には多くありません。結果に対する責任は、本来経営者が負うべきものですから、結果だけでなく、そのプロセスも考慮することが重要です。このように単純ではないからこそ、成果主義の給与体系には従業員の納得性、透明性、公正性が求められるのです。これらを確保するためには、次のことがポイントとなります。

1.社員の参加

給与体系の見直しをする場合、その目的が総人件費の抑制にあることを、従業員は敏感に察知し、被害者意識と非協力的な姿勢に傾きがちです。

従業員の納得を得るためには、トップダウンではなく、プロジェクトチームなどの方法によって、全員参加の機運を生み出すことが効果的です。また、大勢の知恵を活かした双方向的な取り組みの中で、制度の信頼性向上も期待できます。

2.客観的な評価項目づくり

評価項目は、できるだけ数値化しましょう。ただ、売上目標のような数値の明確な基準は意外と少なく、数値化することが難しい場合もあります。このような場合に、コンピテンシー(高業績者の行動特性)評価を導入している例もあります。理想の行動にどれくらい近づいたかを数値化するのです。

また、従業員自身が簡単に計算できるような明瞭な体系とすることも、客観性を高めるのに効果的です。

3.考課者訓練の充実

制度の運用において必ず問題となるのが、考課者の考課能力です。自分の上司に恣意的な評価をされているように思うと、従業員の制度に対する信頼が得られません。考課者の主観をできるだけ排除する制度を目指すと同時に、考課者の資質を向上させるための考課者訓練プログラムが並行して整備されなければなりません。

【経営目標の共有】

競争環境が激化する中で、一人ひとりの社員が組織全体の視点から経営者と共通の目標をもって業務に従事する強固な組織づくりが求められています。業績連動型の給与体系においては、従業員の主体的なやる気を引き出すような制度設計を目指すことが、重要な注意点です。

そうした目的に沿った「バランススコアカード」と呼ばれる手法について説明します。ポイントは、次のとおりです。

1.経営ビジョンの明確化

個々の従業員にとって、日々の業務は組織の一つの歯車のようなものです。しかし、自分の業務がどのような目的で必要なのか、全社的あるいは社会的にどのように貢献しているのかを意識すれば、より高い能力を発揮すると考えられます。

この意味で、経営ビジョンの明確化は非常に重要なステップです。

2.戦略目標の設定と重要な成功要因の洗い出し

理想像としてのビジョンと戦略を、中長期・短期の両面から具体的な目標に置き換え、その目標を実現するための重要な要因を分析します。重要な成功要因の洗い出しの切り口としては、次の4つが一般的に使われています。

  1. お客様の視点
  2. 業務プロセスの視点
  3. 人材育成と変革の視点
  4. 財務的視点

3.業績評価指標の設定

戦略目標と重要な成功要因の洗いだしに連動した形で、それらを全社に浸透させるために評価基準を設定します。上述の4つの切り口に沿った例示を表1に示します。

表1 バランススコアカードの評価基準例

表1 バランススコアカードの評価基準例
  1. お客様の視点では、たとえば「顧客(患者)満足度スコア」による医師・看護士の採点や、「リピート指名率」などが考えられます。ただし、医療機関の顧客である患者を満足させることこそその目的ですから、患者サービスの考え方を職員が共有することが前提になります。
  2. 業務プロセスの視点からは、たとえば「改善レポート提出数」、「顧客応対(患者検診)数」などがあげられます。
  3. 人材育成と変革の視点からは「従業員満足度」、「従業員一人あたり生産性」、「研修参加率」などでしょうか。
  4. 財務的視点では、上記3つの戦略目標が達成されたときに事業の成長と適正な利益が確保されるような項目、たとえば「キャッシュフロー」、「病床利用率」などを案出してください。

最後に、企業としての利益率改善を目的とする人件費引き下げであれば、給与体系の変更と同時に、非効率業務の外部委託、時間外業務縮減、パート職員の活用などを検討することもお勧めします。

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