本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  ビジネスQ&A

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

Q0129.従業員や役員の早期退職金の算定方法は、どのようにすればよいでしょうか?
弊社は赤字が続いているため、役員や古参従業員を含め、人員カットを考えています。退職金を払うことを条件に辞めてもらうことは同意してもらいましたが、どのように退職金を算定すればよいのでしょうか?また、もし、退職金を支払うだけの現金がない場合、どのように対処したらよいでしょうか?

退職金制度を設けるかどうかは各企業に任されおり、必ずつくらなければいけないという規定ではありません。ただ、就業規則に退職金規定が明記されている場合は、現金が不足しても、算出された退職金の全額を支払う義務があります。退職金にかかわるトラブルを避けるためには、明確な社内規程をつくることや退職金の原資の確保など、対策が必要です。

Q01292016年3月10日

テーマ:解雇・退職

退職金制度というものは、就業規則の相対的必要記載事項であり、規程を設けるかどうかは各企業に任されています。また、退職金の算定方法も法律で定められているわけではないので、企業ごとに規程をつくる必要があります。以下、従業員の退職金、役員の退職金、早期退職金の一般的な算定方法についてご説明します。

【従業員の退職金】

年功序列・終身雇用が主流だったときには、基本給と勤続年数が基本となる算定方式が一般的でした。たとえば、支給額=基本給×勤続年数別支給率×退職事由別支給率で、勤続年数が10年であれば基本給の10倍、20年であれば30倍など、長く勤めれば退職金が増える仕組みです(退職事由別支給率とは、会社都合で辞めるか自己都合で辞めるかを区別したもので、自己都合の場合は○○%減額など)。

ただ、上記のような方法では、功績によって金額の差別化ができないなど、能力主義が広がりつつある現在の雇用環境にはマッチしていないので、従業員の職能に応じて金額を算定するポイント制を採用する企業も増えつつあります。ポイント制の簡単な例は、以下の表のとおりです。

等級 職能ポイント 退職事由 係数
1等級 5 会社都合 100%
2等級 7 自己都合 70%
3等級 10
4等級 15
5等級 20

ポイント単価(職能ポイントの1ポイントあたりの単価) 1万円

たとえばAさんは、1等級を2年、2等級を5年、3等級を5年経験し、自己都合で退職

支給額=(5×2+7×5+10×5)×1万円×70%=66万5,000円

【役員の退職金】

役員の退職金について、従業員の退職金とは少し算定方法が変わってきます。算定方法の一般例としては、

役員退職金の支給額=最終月額報酬×役員在籍年数×功績倍率

功績倍率とは、役職別の功績の係数で、社長であれば3倍、常務であれば2.5倍など事前に決めておきます。

この例だと、仮に最終月額報酬が50万円で、20年間常務として勤めてきたBさんの場合は、

支給額=50万円×20×2.5=2,500万円

となります。

なお、功績倍率を高く設定し、役員退職金があまりに高くなりすぎると、利益を意図的に操作したとみなされ、税務上のトラブルの要因になる可能性があります。また、役員の退職金は、役員報酬と同様に、株主総会の決議事項です。支払うかどうかや支給額については、株主総会での了承を得る必要があります。

【早期退職金】

人員カットの一環として早期退職金制度をつくる場合も、その算定方法は各企業によって異なってきます。ただし、早期に退職してもらうには、支給額を上乗せするなど、従業員に対してメリットを与える必要があります。

一般的な例としては、

  • 一定額、もしくは一定の割合をすべての早期退職者に対して加算する
  • 退職する年齢層によって加算額を決める
     (例:50代は30%加算、40代は20%加算)
  • すべての早期退職者に対して、会社都合での退職を認める
  • 定年まで勤めたと仮定して支給額を算出する
     (例:60歳が定年である場合、55歳で早期退職したとしても、60歳まで勤めたときと同額の退職金を支払う)

などが考えられます。

【退職金の支払い】

退職金制度を設けるかどうかは各企業の判断であると先ほど述べましたが、退職金規定を就業規則に明記した場合、決められた金額を規定に沿って支払わなくてはなりません。ご質問のケースのように、たとえ規定に従い退職金を計算した結果、現金が不足すると分かったとしても、会社の方で勝手に就業規則を変えて支給金額を減額することはできず(就業規則の変更は、原則的に従業員の同意が必要です)、規定に基づき決められた支給額を支払う必要があります。

また、労働基準法に基づき、退職金は賃金と同等にみなされ、全額払いの原則が採用されますので、退職金規定で具体的に記述されない限り、分割での支払いも原則的にできません。資金繰りが厳しい状態で、やむを得ず、退職金の減額や分割払いをしたい場合は、会社の財務状況を説明し、支給額を全額受け取る権利がある従業員、一人ひとりの同意を得る必要があります。

ただし、退職金の規定がない場合は、労働基準法などでは退職金についての決まりがないので、退職金の支払い義務は発生しません。たとえば、長年、慣習的に退職金を払っていた場合でも、規定がないのであれば、会社都合での減額や支給の中止は違法になりません。

【退職金支払い時のトラブルへの対策】

退職金を支払うだけの現金がないということ以外にも、退職金に関連するトラブルはさまざまです。規定がない場合での減額や不払いは、法律上では違法にならないとしても、「なぜ、いままで退職金が出ていたのに、急に制度を変更するのか」など、従業員との間でトラブルのもとになるでしょう。また、役員の退職金に関しても、功績倍率の定義が曖昧であると、揉めごとが起こる可能性もあります。

このようなトラブルを避けるためには、以下のような退職金に関しての対策をしっかりとる必要があります。

(1)明確な退職金規定の作成

従業員の退職金・役員の退職金に関して、算定方法や支払う時期、また、支払う対象について明記しましょう。また、具体的に記述すれば、退職金の分割払いも盛り込むことができます。これにより、退職金の集中的な支払いによる、急激な資金繰りの悪化も防ぐことができます。

(2)退職金の原資の確保

将来の退職金の支給額を予想したうえで、支払いに耐えうるだけの資金を長期的な計画で確保する必要があります。そのために、以下のような公的機関が行う退職金の共済制度も利用できます。これらは、全額経費になりますので、節税対策にもなります。

  1. 中退共制度(独立行政法人勤労者退職金共済機構)
    多くの中小企業が利用する従業員のための退職金制度です。掛け金は毎月5,000円からで、従業員ごとに事業主が選択できます。掛け金は事業主の全額負担で、退職金は従業員に直接、支払われます。
  2. 小規模企業共済制度(独立行政法人中小企業基盤整備機構)
    小規模企業の個人事業主や役員のための退職金制度です。毎月の掛金は1,000円から70,000円までの範囲内、500円単位で自由に選べます。また、掛け金の範囲で貸し付けも受けられます。

上記のような公的な共済制度以外にも、民間の生命保険会社が取り扱う生命保険を法人契約する方法もあります。解約返戻金という制度を利用するもので、退職時に保険を解約し、解約返戻金を退職金にあてる仕組みです。退職金の支給額が大きい、役員や経営者向けのプランを保険会社各社が用意しています。

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

無料相談のお問い合わせ

電話で無料相談
頑張る中小企業「経営相談ホットライン」
TEL:0570-009111

メールでの相談無料
メール相談

このページの先頭へ

このページの先頭へ