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Q0085.遺言の活用の仕方を教えてください。
私は中小企業のオーナー社長です。自社株のほか、不動産物件を数件と有価証券、現預金をもっています。息子が3人いますが将来、相続争いが起こらないように遺言を活用したいと考えています。遺言を活用する際の基本的な事項と留意点を教えてください。

遺言は一定の形式を満たしていないと無効となるため、法律の専門家である公証人が作成する公正証書遺言を作成することをお勧めします。そのほか、遺留分や遺言執行者の指定など確実に遺言が執行されるための準備、すべての財産を分割する遺言内容とすること、相続税の納税資金への配慮などが留意点となります。

Q00852016年2月24日

テーマ:事業承継・再生・廃業

【遺言が財産の分配に与える効力】

民法では、同順位の相続人が複数あるときには、それぞれの相続人がどのような割合で相続するかという相続分が規定されています。これが法定相続分で、たとえば子と配偶者が相続人であるときは各2分の1ずつ、配偶者と直系尊属が相続人であるときは配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1などと定められています。

ところが、遺言をした場合には、この法定相続分とは異なる相続分を定めることができます。あなたに奥様がいるとすると、法定相続分は奥様が2分の1、3人の息子さんたちがそれぞれ6分の1ずつということになります。かりに自社株の評価額が全財産に占める割合が4分の1程度になっていたとしても、長男を後継者と決めているならば、全株式を長男に相続させる旨を遺言すれば、法定相続分を超えて長男に株式を相続させることができるわけです。

【遺言の方式】

主に活用されている遺言の方式には、遺言者が全文を自筆で作成する「自筆証書遺言」と、遺言者の口述に基づき公証人が作成する「公正証書遺言」の2つがあります。

遺言は一定の形式を満たしていないと無効となってしまいますので、相続争いの未然防止という観点からは、法律の専門家である公証人が作成する公正証書遺言がお勧めです。

【遺留分への配慮】

遺言により、法定相続分と異なる相続をさせることはできますが、民法では相続人の最低限の相続権として、「遺留分」を認めています。相続人が奥様と子の場合は、各人に法定相続分の2分の1が認められています。遺留分に満たない財産しかもらえなかった相続人は、それ以外の相続人に対して「もらいすぎている財産を私に回して」と要求することができるのです(遺留分減殺請求)。

あなたの場合、長男以外の相続人の遺留分が12分の5あります。12分の7以上の財産を長男に集中させると、長男はほかの相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性があるということです。特定の者への過度な財産集中、あるいは特定の相続人にまったく財産を与えないという内容の遺言は避ける必要があります(図1)。

図1 遺留分について
図1 遺留分について

【すべての財産の分割方法を遺言すること】

遺言で分割方法が指定されていない相続財産は、相続人の遺産分割協議が必要になります。とはいえ、現実問題として遺言時に相続時のすべての財産を記述することは不可能です。分割でもめることを防止するには、たとえば主要な財産の分割方法を示したうえで、最後に「以上に定める財産以外の財産」についての分割方法を記述するというような遺言を作成しておくことが考えられます。

【遺言の執行】

遺言はただ作成されただけでは、絵に描いた餅です。遺言が適正に実行されるよう、遺言で遺言執行者を指定しておくか、主に信託銀行が取り扱っている遺言信託を活用されることをお勧めいたします。

【納税資金への配慮】

長男が後継者だからといって、自社株式のみを相続させるような遺言にすると、長男は相続税を自分の財産から支払わなければならないことになります。納税資金が確保できるような分割方法を考えてあげる必要があります。

【その他】

「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「経営承継円滑化法」)により、遺留分に関する民法特例ができました。この民法特例には、後継者を含む経営者の推定相続人の合意により、経営者から後継者に生前贈与された自社株式について、(1)遺留分算定の基礎財産から除外する「除外特例」、(2)遺留分算定の基礎財産に算入する際の価額を固定する「固定特例」があります。

相続争いを回避し、事業承継を円滑に行うという観点からは、この民法特例を活用した自社株式の生前贈与を活用するのも一つの手です。

回答者税理士・中小企業診断士 野村 幸広

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