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Q0072.2代目経営者ですが、先代からの幹部をうまく率いていく方法についてアドバイスをお願いします。
20年前に食品卸売業のこの会社を創立した父が急死して、サラリーマンだった私が会社を継いでから3カ月が経ちます。私は古かった会社の体質を変えていこうと改革案を出しますが、ことごとく古参幹部が首を縦に振りません。私は大手食品卸売業に勤めていたので、このままでは当社が生き残れないという危機感を強くもっていますが、古参幹部にその思いが伝わりません。彼らを納得させるために何ができるでしょうか?

コミュニケーションをとる前提として、「同じ目標に向かっている」という意識を共有すること、コミュニケーションの中で「絶対に譲れない点、線を確認しておく」ことが重要です。「2代目」から「第2創業者」への進化を目指しましょう。

Q00722016年2月25日

テーマ:事業承継・再生・廃業

いわゆる「2代目」社長が、社員としっかりと意思疎通ができない、反発し合ってしまうというケースは多く見受けられます。もちろん原因や背景は百社百様ですが、共通に多く見られる原因に「コミュニケーション」の失敗や不足があげられます。お互いの立場や背景の違いについて理解しようとすることは、建設的な関係を築くための第一歩と言えます。

ここでは、「2代目」社長と社員とのコミュニケーションを深めるために有効なテクニックを2点ご紹介いたします。

【「同じ目標に向かっている」という意識を共有する】

コミュニケーションをとろうと会話を交わすものの、話せば話すほど不信感が募り、最終的には会話が途絶えていくというケースがあります。なぜ会話をするごとに不信感が生まれるのでしょうか。お互いの立場や背景の違いがあることは致し方ありません。しかし、そのようなことは会話をする以前から両者とも理解しているはずです。ですから、そのことが会話をする中で関係が悪化していく原因とは言えません。

では、原因は何か。それは、「お互いの目標が違う方向にあるのではないか」と思ってしまうことにあるようです。つまり、違う方向を向いている人間とはコミュニケーションをとればとるほどにお互いの距離が離れていくと感じてしまうので、それならば接触をもたない方がまだましであろうとなってしまうのです。

それでは、両者ははたして本当に異なる目標に向かっているのでしょうか。そうではないことの方が多いのではないでしょうか。両者とも会社や社員の成長、発展を望んでいることの方が多いはずです。大きい方向性は同じなのに、小さい考え方や方法の違いによって、互いに理解しあうことを避けてしまう、何とももったいないことです。

では、実際にどのような方法で関係性を良好に保てるのでしょうか。それは、日々「同じ方向を向いている、同じ目標に向かっている同志である」ことを口に出して確認することです。毎日会話をするたびに「われわれはお互いに当社の発展を望んでいることは間違いないですよね」、「社員が幸せに生活できるような環境を作りたいとお互い思っていますよね」というように、方向性の一致を相手の意識に少しずつ残していくようにしましょう。

なお、経営学者のバーナードは、組織の構成要素として「共通目的」、「貢献意欲」、「コミュニケーション」を挙げています。

図1 組織の3要素

図1 組織の3要素

もちろん、これだけですべてを解決することは難しいかもしれませんが、こうしたアプローチの回数を重ねることで、方向性の共有という「同じ土俵に立つ」ことには役立つことでしょう。同じ土俵に立つことで初めて建設的な議論が生まれるのです。

【絶対に譲れない点、線を確認しておく】

お互いの方向性を共有できたら、自らが絶対譲れない点、線を確認し、それ以外のことには柔軟な姿勢でコミュニケーションに臨みましょう。

これだけは譲れないという点を絞り込んでおくと、そのメッセージは相手に明確に伝わりやすく、それが伝わることにより相手に受け入れる土壌ができますので、そのほかの点についてもコミュニケーションがスムーズに取りやすくなる、という利点が見込めます。

「2代目」という言葉自体が否定的なニュアンスで語られることがあります。「できて当たり前」、「苦労を知らない」、「経験がないのに」などという印象をもたれることがあるようです。確かに「2代目」は経営資源の面などで恵まれているケースもありますが、決して恵まれていることばかりではないと思います。自分以外の人が敷いたレールを進むことは容易なことではないですし、人が描いたビジョンをわが物として吸収するには時間も要するものです。

そこで、「2代目」の方には経営の継承という発想を捨て、「第2創業」であることを認識していただくようにお勧めいたします。現在ある経営理念、経営資源、インフラを一度ゼロベースで見直してみてください。何もないところから自分が創業したとしたら現在と同じ理念、設備、方法を採用するであろうか、それを考えたうえで、現在の経営を選択するのであればそれは単なる継承とは意味合いが違ってきます。

「2代目」社長から「第2創業者」へ華麗な脱皮を遂げていただきたいと願います。

(参考)お近くの無料相談窓口で経営革新の専門家に相談してみてください。

回答者中小企業診断士 櫻井 正人

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