本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  ビジネスQ&A

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

Q0049.下請から抜け出したいのですが、どうしたらよいですか?

現在は、電気機器の部品を製造しており、売上げのほとんどが大手電気メーカー数社であり、下請取引という状況です。最近取引先が海外企業と取引するなど売上げが落ち込んでおります。下請取引では取引先に左右されますので自立化なども検討しているのですが、どのように戦略を立てればよいのでしょうか。

下請企業は、「仕事量が安定する」などいくつかのメリットがありますが、親企業の戦略の変更により不利な状況となる場合もあります。自社のビジネス環境を正確に見極めて、自社の成長発展のために望ましい企業間関係の構築を目指す必要があります。


Q00492016年2月23日

テーマ:事業拡大・多角化

中小企業のネットワークとして、従来、代表的なものであったのは、下請企業と親事業者の間にみられる分業関係、すなわち垂直連携ネットワークになります。下請取引にはメリットもありますが、親企業の意向に左右されるリスクがありますので、どのような企業間関係が望ましい状態なのかを戦略的に考える必要があります。

【下請取引のメリット】

一般的な下請取引のメリットには、次のようなものがあります。中小企業庁「我が国製造業分業構造実態調査」によると、近年では、以下の(4)および(5)をメリットと捉える下請企業が増えています。

(1)仕事量が安定

最も大きいメリットですが、近年は減少しています。

(2)独自で営業活動が不要

下請企業は親事業者から安定的に仕事量が確保されるため、営業、広告宣伝に経営資源を注力しなくてもよいと言えます。

(3)取引先に関するリスクがない

下請取引は、長期的な関係なため、親企業の状況もある程度は把握することが可能です。

(4)独自の製品開発・企画・立案が不要

親企業の製品戦略に合わせるために、製品開発などの機能があまり必要ありません。

(5)技術指導が受けられる

親事業者の技術的ノウハウの蓄積や製造設備を活用することが可能です。

【親事業者の戦略の変化】

市場経済が国際化している現在では、親事業者の海外進出などは下請企業に影響を及ぼす要因と言えます。たとえば、主力納入先が海外生産や海外からの部品調達の拡大を実施した下請企業においては、受注面で悪影響が出たとする企業が多くなっています。また、中小企業庁「中小企業連携活動実態調査」によると、親事業者による工場の海外移転という行動が、下請企業の売上高にマイナスの影響を与えているという結果が出ています。つまり、このような親事業者の行動は、下請企業の受注面、売上高に大きな影響を与えているのです。

(親事業者の戦略の変化の具体例)

  • 工場の海外移転
  • 生産の海外シフト
  • 海外工場の新規建設
  • 下請先の再編
  • 国内工場の新規建設
  • 事業からの撤退

【下請企業の戦略】

下請企業としては、現状の取引状況を多角的にとらえてさまざまな方向性を検討することが大切です。下請企業の戦略の方向性としては、次のようなものがあります。

図1 下請けからの脱却

図1 下請けからの脱却
(1)取引先の多様化

少数の親企業と取引している状況では、親企業に取引を断られた場合に自社の売上・利益が大きく減少します。そのような状況では、親企業も強引な価格交渉などをしてくる場合がありますので、下請企業としては非常に不利な状況と言えます。1つの対応策としては、取引先の分散、つまり多様化することで取引リスクを減少させます。自社の製品と同様な製品を扱っている企業に営業するなど、新しい試みが必要になるでしょう。

(2)製品の低コスト化

親企業の製品が低コスト化しているため、下請企業に対しても低コスト化への対応要請が高まっています。自社製品の競争力を高めるために、製品のさらなる低コスト化が必要となります。調達部品の見直し、生産工程の効率化、生産管理力の強化、残業などの人件費の削減など、あらゆる観点から製造コストを改善する必要があります。もう一度、細かい視点でコストを分析してみましょう。

(3)付加価値の高い製品開発

自社の競争力を高めるには、付加価値の高い製品開発が重要になります。他社が開発できない製品、特許を取っている製品、顧客のニーズに対応している製品など、市場競争力の高い技術や製品を強みとすることで、親企業と対等な立場で交渉できる状況をつくりましょう。そのような強みを得るには、他社との連携などの方向も検討してみてはどうでしょうか。

また、商品化した新製品などによる利益を確保する必要があります。戦略的に技術や製品の競争力を確保するため、次のような手段を検討する必要があります。

  • 他社に先駆けた商品化
  • 有能人材の外部流出防止
  • 技術情報の秘匿
  • 複雑な製品設計
  • 既存の製造設備の保有
  • 新規の製造設備の保有
  • 特許による保護
  • 既存の販売サービス網保有
  • 新規の販売サービス網保有
  • 特許以外の知的財産権による保護

経営資源の乏しい下請企業にとって、単独で新規事業などを行うことが困難な場合もあります。そうしたときは、企業間の共同開発など、他の企業や機関との事業連携活動への取り組みにより、自社に不足する経営資源を補っていくことが重要と言えます。

また、企業の競争力を高める手法の一つに産学官連携があります。産学官連携とは、外部知識とのネットワークの形態であり、大学や公設試験研究機関などとの連携活動のことです。

公設試験研究機関では、「技術相談(無料)」「依頼試験・分析」「各種講習会の実施」などの支援を行っています。積極的に活用しましょう!

【下請け脱却のリスク】

下請け関係から脱却し自立化する場合には、さまざまなリスクも考慮する必要があります。たとえば自立化して、自ら企画した製品の欠陥により損害賠償を請求されるなどPL法(製造物責任法)などの法的リスクも理解しておく必要があるでしょう。

PL法とは、製品の欠陥によって生命、身体または財産に損害を被った場合には、被害者は製造業者などに対して損害賠償を求めることができる制度です。

自社のビジネス環境を正確に見極めて、望ましい企業間関係を構築していく必要があります。

回答者中小企業診断士 沢田 一茂

関連情報

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

無料相談のお問い合わせ

電話で無料相談
頑張る中小企業「経営相談ホットライン」
TEL:0570-009111

メールでの相談無料
メール相談

このページの先頭へ

このページの先頭へ