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経営ビジョン

Q906.知的資産経営に対する証券アナリストの評価等を教えてください。
当社は、従業員86名のソフト開発会社です。iPhone向けアプリの開発で業績が順調に伸びているため、株式上場に向けて社内体制を整えています。今般、知的資産経営を勧められ取組んでいるところですが、ベンチャーキャピタルや証券会社のアナリストの企業価値算定には、上手く結び付いていないようです。知的資産経営に対する証券アナリストの評価等を教えてください。

A.証券アナリストは、知的資産の要素である企業の持つ顧客、人材や企業固有のスキルなどの定性的な要因が、将来の利益に対して具体的にどのように寄与するのかという点を定量化できないため、企業価値評価に活かしきれていません。

一般的に、知的資産とは財務諸表を見ても認識できない経営資源の総称で、特許やブランドなどの知的財産以外に、企業の持つ顧客、人材や企業固有のスキルなどの幅広い無形資産を含む概念をいい、以下の3つに分類されます(表1)。

図1 知的資産の分類

図1 知的資産の分類

この知的資産は、企業の競争力の源泉(強み)であり、企業が自社の知的資産をしっかり把握して企業活動に活かすことで、企業価値向上につなげる経営のことを知的資産経営といいます。
 また、知的資産は非財務情報ですから、開示しなければステークホルダー(債権者、株主、顧客、従業員など企業を取り巻く人々)になかなか理解してもらえません。その開示する媒体が、知的資産経営報告書になります。

【証券アナリストの企業価値評価】

日本証券アナリスト協会によると、証券アナリストは「証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルのこと」と定義しています。
 具体的には、証券アナリストは、産業界の動向や政治・経済などの動向調査・分析に加えて、企業から開示される情報など企業価値に影響すると考えられるさまざまな要因を分析し、企業価値の妥当性を評価します。また、企業から開示される情報は財務情報が中心であることから、定量的アプローチに基づく企業価値評価が中心となります。
 一般的に、知的資産経営報告書作成のメリットとして、(1)企業の将来利益に対する信憑性が高まることで、企業価値が向上する、(2)新規に株式を公開する際に、将来の株主に対して自社の将来成長の可能性をアピールできる、(3)金融機関などからの資金調達面で有利になる、などがあげられます。
 一方で、その作成プロセスや情報の正確性に問題がみられる場合があることから、証券アナリストの企業価値評価における知的資産経営の重要度は、それほど高くありません。
 具体的には、知的資産経営報告書の内容の記載において、作成者が企業側の一方的な主張をまとめただけで、(1)裏付けとなる根拠がない、(2)競合を意識しない独りよがりの強みを訴求しただけのものがみられます。作成者によって、強みの基準があいまいで、主観的な意見に偏っている場合もあります。
 また、証券アナリストが知的資産経営報告書を参考にする場合、企業の持つ顧客、人材や企業固有のスキルなどの定性的な要因が、将来の利益に対して具体的にどのように寄与するのかという点を定量化できないため、企業価値評価に活かしきれないという側面があります。
 報告書の信頼を担保するためには、知的資産経営報告書作成者に客観的な権威付けがあることが望まれます。

【知的資産経営のすすめ】

証券アナリストは(1)定量的なアプローチを重視している、(2)知的資産の評価の信頼性に疑問をもっている、(3)定性的な知的資産が企業収益にどのように寄与するのか定量化できない、ということを前述しました。しかし、決して知的資産経営を否定するものではありません。
 知的資産(強み)を磨いていく知的資産経営は、企業の維持・発展に欠かせません。定性的な情報を客観視できるような指標ができると、証券アナリストの企業価値評価にも活用できると思います。

関連情報
<知的資産経営ポータル>(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/
<Q745.知的資産経営報告書作成の特徴やメリットを教えてください。>(J-Net21)
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/745.html
<Q751.自社の知的資産をどのように考えれば良いですか?>(J-Net21)
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/751.html
回答者
中小企業診断士 石井 浩一

2016年3月17日更新

経営ビジョン


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