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企業再生と廃業

Q745.知的資産経営報告書作成の特徴やメリットを教えてください。
当社は従業員38名で印刷業を営んでいます。年々売上高が減少し、借入金負担が非常に重くなっています。事業再生を考えていますが、知り合いから知的資産経営報告書を作成してみてはどうかというアドバイスをもらいました。知的資産経営報告書作成の特徴やメリットなどを簡単に教えてください。

A.知的資産経営報告書は、財務諸表などに表れない自社の強みを報告書としてまとめたものです。社内外のステークホルダーに自社の魅力を訴求できることから、資金調達や新規取引先の開拓などのツールとして活用できます。

【知的資産経営報告書の特徴】

知的資産経営とは企業の強み(競争力の源泉)に着目し、それらの強みを認識し、磨き、有効活用しながら経営活動を行うことです。また、成果指標(KPI)を設け、業績と知的資産の関連性をモニタリングし、知的資産が有効に活用できているのか、業績向上に寄与できているのかチェックを行います。

知的資産経営報告書は、財務諸表などに直接数値として表れない企業の知的資産=強みを報告書としてまとめたもので、社内外のステークホルダー(利害関係者)に対して自社の魅力を訴求するツールとして活用できます。会社案内よりも企業の特徴や強みを訴求できることから、資金調達や新規取引先の開拓などに有効なツールです。

また、知的資産は、事業戦略を立案し、事業再生計画、事業改善計画を策定する時に必要な概念です。「今後、どのように事業を再構築していくのか」と言った事業再生計画などを立案する場面では、「外部環境に適応するために自社にどのような知的資産があり、どのように活用していけば良いのか」という点について従業員の皆さんとも良く話し合うことが、事業再生計画を上手く遂行するポイントになります。

「印刷スキルで他社に真似のできないものはないか」、「職人さんでスキルの高い人はいないか」、「今まで培った印刷技術が他に転用できないか」、「現有の資産を活用することで、既存顧客に対して新事業が展開できないか、新規開拓ができないか」など従業員のみなさんと一緒に知的資産を整理しながら考えてみてください。

図1 知的財産権、知的財産、知的資産、無形資産の分類イメージ

図1 知的財産権、知的財産、知的資産、無形資産の分類イメージ

【知的資産経営報告書の内容】

知的資産経営報告書の作成は、法律で義務付けられているわけではありません。そのため、「このように書かなければいけない、この項目を記載しなければいけない」などの制約はありません。

経済産業省が「事業価値を高める経営レポート(知的資産経営報告書)作成マニュアル」の中で記載事項として取り上げている項目は、以下になります。

 (1)企業理念
 (2)-1 企業概要
 (2)-2 企業の沿革
 (3)-1 外部環境と自社のポジション
    ・機会・脅威
    ・業界環境と自社のポジション
 (3)-2 内部環境とビジネスモデル
    ・ビジネスモデル
    ・自社の強み
    ・自社の課題
 (4)価値創造ストーリー
    ・過去から現在のストーリー
    ・現在から将来のストーリー
 (5)今後のビジョン
 (6)知的資産活用マップ

【知的資産経営報告書作成のメリット】

知的資産経営報告書作成のプロセスを通して、(1)事業計画達成の目標や達成の根拠に対する納得性が向上する、(2)自社の強みに対する従業員間・セクション間の情報共有が促進され、組織として強みの活用を図る土壌ができることから業績の向上が期待できる、(3)従業員一人ひとりの業務がどのように会社業績に貢献しているのかが明確となり、モチベーションの向上が期待できる、(4)金融機関や取引先などへ自社の魅力を伝えるツールとして活用することで、自社に対する理解度・信用度の向上が図れる、などのメリットがあります。

事業改善、再生、革新を図ろうと考えた場合、自社の知的資産を見つめ直すことが、自社のとるべき戦略を明確にする一助となります。また、事業再生には全社員のパワーが必要ですが、知的資産経営報告書作成プロセスに従業員が参加することで、一体感の醸成が図れます。

自社だけでの作成が難しいとお考えの時は、中小企業診断士などの専門家へご相談ください。

関連情報
<知的資産経営ポータル>(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/index.html
回答者
中小企業診断士 石井 浩一

2016年3月17日更新


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