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従業員のマネジメント

Q659.従業員の表彰制度の導入を検討しています。導入に当たってのアドバイスをお願いします。
当社は製造業であり、技術力の向上、技術の伝承に注力しているところです。いままで規定としてあっただけの表彰制度を実際に実施していこうと検討していますが、技術職が多く、どのような点を評価していけばよいのかアドバイスをお願いします。

A.営業などの職種では、従業員の労働意欲を向上させるために表彰制度を導入することがしばしば見受けられます。しかし、技術職などの結果が見えづらい職種の場合、表彰制度の導入方法次第では、逆に労働意欲の低下を招きかねません。慎重に制度を検討していく必要があるでしょう。

従業員のやる気を引き出すために、表彰制度を導入している会社が多くみられます。営業職のように結果を数値化しやすい職場では、表彰に対する公平感が得られるため、単純な表彰制度を導入しても効果が出やすく、労働意欲の向上につなげることができます。

【製造業における表彰制度導入の問題点】

しかし、技術職の場合、本人のやる気、能力がダイレクトに成果につながらないケースも多く見受けられます。本人にいくら専門的な能力があり優れた製品を作ったとしても、生産した製品がヒットしなかったなど、能力が結果につながらないという結末も多々想定されます。このような職場で安易に表彰制度の導入を図ると、かえって労働意欲を減退させる危険性もあります。結果をはっきりと数値化することが困難なため、表彰に対する不公平感が増大しやすい傾向にあるからです。トップダウンによる数字の評価で表彰を行うと非常に偏りが生じやすく、全体の士気の減退につながりかねます。

【有効な表彰制度構築へのステップ】

いまだ認知度が低い方法ではありますが、IT系の企業を中心に人材育成および表彰制度に役立つものとして導入されている方法に「スキルマップ」というものがあります。縦軸に勤続年数および職級・役職を配置し、横軸に作業分類を配置した表です。その表の中に、必要とされるスキルを項目として羅列し、個々のスキルの棚卸を行うことで現在のスキルデータを導き出すことができ、今後の育成計画が成り立つというものです。表を作成することにより、部門の作業レベルで現在どのようなスキルがどの程度あるのかを把握でき、個人ごとにどのようにスキルアップしていかなければならないのかが明確になります。
 これにより現状を把握し、現状に基づいて期間を定めてマスターすべきスキルを明確にすることができます。表彰は、そのプロセスを表彰します。たとえば、期間内にAの属性のスキルをマスターした人、また、教育係としてマスターするための指導を積極的に行った人などを表彰します。こうすれば、成果は一目瞭然であり公平感が保たれるので、従業員のやる気を向上させることができます。また、育成する側も計画的に必要なスキルを教えることができるので、技術の伝承にも役立ちます。

また、欧米などで、イベントで贈られているクリスマスカードやハロウィンカードなどのサンクスカードを表彰制度に取り入れる方法もあります。すぐれた技術や指導に対して「Aさんのこういうところが良かった」と思ったことなどをサンクスカードに記載して、投票するという制度です。このとき、制度内にブレイン・ストーミングに使われる4原則(批判厳禁、自由奔放、量を求む、便乗改善)を取り入れると良いでしょう。カードは月単位、3ヶ月単位などで集計し、カードの多かった人に対して表彰します。サンクスカードを意欲的に使ってなるべく他人の良い点を探すことによって、互いのスキル向上を招くことができます。

最後に、これらの表彰制度を導入する場合の留意点として、スキルの表彰制度はあくまでスキルのみを対象としたもので、人事考課とは異なります。表彰結果を人事考課の材料の動機づけの一つとして考えるのは良いかもしれませんが、表彰結果イコール人事考課とすることは、潤滑な職場形成に阻害をもたらし労働意欲の減退を招きます。表彰制度を導入する場合には、くれぐれも慎重に制度を検討していく必要があります。

回答者
中小企業診断士 大塚 昌子

2010年2月 9日更新

従業員のマネジメント


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