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従業員のマネジメント
- Q656.残業手当の未払い問題を起こさないための留意点はありますか?
- 先日、取引先の会社が残業代の未払いで労働基準監督署(以下「監督署」)に呼び出されました。当社も取引先同様、残業命令を出してもいないのに就業時間を過ぎても残っている従業員がおり、労働時間管理が徹底できていないので心配しています。今後の労働時間管理において、どのような点に気をつければ良いでしょうか?
A.残業代未払い問題は、ここ数年社会問題として取り上げられることが多くなってきています。とくに、監督署が力を入れている問題ですので、会社としてもメリハリのある時間管理を行い、会社にいる時間は労働時間であるという意識を従業員に持たせるよう心がける必要があります。
近年、厚生労働省が出している毎月勤労統計(企業が支払った給与、労働時間および雇用の変動を明らかにする統計)と、総務省の出している労働力調査(サービス残業も含む労働時間の統計)の乖離が激しくなっています。毎月勤労統計では、労働時間が減少しているのに、労働力調査では労働時間が上昇しているのです。このデータの乖離から、違法な残業が急増しているという実態を推測することができます。このため、行政でも残業代の不払い問題にとくに重点を置き、摘発改善を促すように力を入れているのです。
【労働時間の法的判断】
今回のご相談の場合、残業命令を出してもいないのに、従業員が勝手に残っていただけで残業代を支払えといわれるのは、経営者側にとっては不合理ではないかと感じるかもしれません。
しかし、判例および通達では「残業命令をしていなくても、就業時間内に終わらないと思われる仕事量を与えられており、管理職による退社を促す言動がない場合には、黙示の命令をしたとみなされる」としています。仕事場に残っている人に対して、黙ってみているだけでは、残業を承認したとみなされてしまうのです。
【労働時間の根拠】
会社にタイムカードがある場合、押印されている時間は絶大な証拠となります。たとえば、労働者の一人が他の労働者と待ち合わせのためだけに残っていたのだとしても、タイムカードに22:00と刻印されていれば、夜10時までは仕事をしていたとみなされてしまいます。
また、タイムカードには保存義務があり、故意に改ざんや破棄してしまうと、罰則を課されてしまいます(労働基準法第109条および第120条)。行政審判および裁判になった場合には、労働者の訴えのとおりだったから証拠隠滅のために破棄したと取られてしまう可能性があります。タイムカードの取り扱いには、とくに注意が必要です。
さらに、パソコンメール、FAXなど、発信時刻が明記されるものにも注意が必要です。いくらタイムカードで17:00退社となっていても、会社からの仕事のメールの発信が22:00となっていたのでは、違法残業を逃れるためにタイムカードを押すように偽装工作をしていたと捉られるおそれがあります。事実、毎日、帰り際に会社のパソコンメールで自宅あてにメールを送付して、その時間残業していたと訴え、監督署に承認されたケースもありました。
【労働時間管理のポイント】
退社時刻が終業時間を大幅に超えており、タイムカードや会社のパソコンを使用しての業務メールなどにより時間が確定されている場合、会社はその時間帯が残業時間でないと立証しなくてはなりません。
そして、その事実を立証することは至難の業です。取引先のように、残業代の未払い問題を起こさないためには、日ごろよりきちんとした対策を講じておく必要があります。会社として最低限、以下の3つのことは実施しておきましょう。
- 残業を命令した労働者以外の者に対しては、きちんと就業時間終了時刻にタイムカードを押印させる。
- 就業時間終了時に、「仕事の終了時刻となったので、すみやかに帰るように」と声かけをする。
- パソコンメールなど、配信時間が残るものを就業時間終了後に使用させない。
- 関連情報
- <所定外労働削減要綱>(東京労働局)
http://www.roudoukyoku.go.jp/roudou/jikan/sakugen-youkou/sakugenyoukou-mokuji.htm - 回答者
- 中小企業診断士 大塚 昌子
2010年1月28日更新
従業員のマネジメント
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