752
[会社法]M&A
- Q653.ビジネス・デューディリジェンスの方法などを教えてください。
- 当社は東京を中心にビルメンテナンスサービスを展開している会社です。M&A仲介会社から、事業譲渡を希望している当社と類似業種の企業があるとの情報を得ました。買収前に監査役からビジネス・デューディリジェンスをしっかりやるように指摘を受けたのですが、ビジネス・デューディリジェンス(以下、ビジネスDD)について教えてください。
A.ビジネスDDによって、買収対象会社の事業活動の実態を調査・分析します。その事業活動に経営上の問題が潜んでいないか、買収後に当社とのシナジー(相乗効果)はどのくらい見込めるのかなど、会社の実態を調査・分析することをビジネスDDと呼んでいます。
M&Aの成功・失敗は、企業経営に多大な影響を与えます。M&Aによって企業価値が毀損してしまうケースもあります。そのため、買収前に対象会社の事業実態を調査・分析する必要があります。
【ビジネス・デューディリジェンスのフロー】
1.ビジネスDDの計画の策定
買収対象会社の規模に応じて、プロジェクトリーダーとメンバーを決めます。業種特性や会社規模などに応じて、調査すべき事業領域を絞り込み、調査のレベルを決定します。
DD計画策定には対象会社の都合による影響なども受けるため、それらを考慮して計画を策定します。
2.買収対象会社の事業構造や収益構造などの内部環境の把握
「誰に、何を、どのように提供しているのか」、「仕入先、販売先など、どのような取引先を有しているのか」、「どのような社内プロセスを経て提供しているのか」、「その社内プロセスにはどのような機能(開発、生産、販売、管理など)があるのか」、「内部統制の現状はどうなっているのか」など事業構造や内部統制の状況を把握します。また、対象会社の「現状の利益の源泉」、「問題点」などを抽出します。
3.買収対象会社を取り巻く外部環境の把握
- マクロ環境面では、政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術的要因などのうち買収対象会社に重要な影響がある要因
- 市場・業界動向面では、市場成長率、トレンド、市場規模、業界動向など
- 顧客面では、現状の取引先の経営戦略・業績、販売先・最終ユーザーのニーズなど
- 競合面では、競合会社の経営戦略、マーケティング戦略、市場シェア、ベンチマーク会社との相違点など
4.分析結果の整理とシナジーの抽出
調査結果は、買収後に「経営資源の統合で強みをさらに強化できるのか、弱みを克服できるのか、ビジネスチャンスがあるのか、ビジネスリスクはどの程度あるのか」、「販売・開発・生産・管理シナジーなどはあるのか」、「買収後に企業価値は向上するのか」などの視点で分析します。
【ビジネスDDを反映した事業計画の作成と企業価値算出】
ビジネスDDの結果などをもとに、買収対象会社の事業計画を修正します。さらにそのほか税務・法務・環境リスクや買収後のシナジーを数値として事業計画に落とし込みます。この事業計画の数値を用いて企業価値を算出することになります。
M&Aでは、ビジネスDDによってビジネスチャンスやリスク、シナジーを見える化し、自社戦略との整合性などを総合的に判断することが必要です。自社に足りない部分は、外部専門家の活用を検討しましょう。
- 関連情報
- <Q236.M&Aにおけるデューディリジェンス(Due Diligence)とは?>(J-Net21)
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/236.html - 回答者
- 中小企業診断士 石井 浩一
2010年12月13日更新
