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[会社法]M&A
- Q526.会社分割と事業譲渡の違いについて教えてください。
- 取引先の企業から飲食事業を買い取ってくれないかという打診がありました。調べてみると事業譲渡と会社分割というやり方があるようですが、その違いが分かりません。どのような違いがあるのでしょうか。
A.自社の事業を他社に譲り渡すという点で、事業譲渡と会社分割はとても似ていますが、目的が大きく異なります。譲渡にかかる手続きと、譲渡後の両者の関係を考慮したうえで事業譲渡と会社分割、どちらがよいかを選択することになります。
事業譲渡と会社分割は、両者とも自社の事業を他社に譲り渡すときに行われる方法です。事業譲渡は厳密には会社法上の組織再編手法にはあたらず、単に「事業を売買する」という売買契約のことです。
一方、会社分割は会社法に規定された組織再編手法であり、単に事業の売買を行うのではなく、会社の一部をほかの会社に承継させることを指します。
両者とも「Xという事業が、A社からB社に移った」というように、結果は同じように見えます。しかし、もともと目指しているものが違いますので、対価や手続きなどに大きな違いが出てきます。
【譲渡対象事業の対価】
事業譲渡の場合は「事業の売買」ですので、原則として譲渡対象事業の対価は金銭で支払うことになります。
一方、会社分割の場合は「会社の一部をほかの会社に承継させる」ということになりますので、原則として譲渡対象事業の対価は株式を使うことになります(図1、2参照)。


【債権者保護手続き】
債権者保護手続きとは、株式会社が債権者の利害に重大な影響を及ぼすおそれのあることを行う場合に、債権者に通知することを指します。通知から1カ月以内に債権者が異議を申し出ると、株式会社は債権者に対して弁済や担保の提供などを行わなければならないことになっています。
会社分割の場合は、債権者保護手続きが必要ですが、事業譲渡の場合は不要です。ただし、事業譲渡の場合は、債権者ごとに個別に同意を取り付ける必要がありますので、一括して債権者への了解を取り付けられる会社分割のほうが、手続きの手間はかからないでしょう。
【労働者の承継】
事業譲渡の場合、譲り受けた事業に従事していた労働者を雇い入れる場合は、労働者個人と個別に交渉する必要があります。
会社分割の場合は「労働契約承継法」の定めに従うことになっており、分割契約に定めがある場合は、譲渡事業に主として従事していた者は「当然に承継」となり、それ以外の者は「原則承継」になります。
このように会社分割の場合は原則、従業員と個別に交渉する必要がありません。
さて、貴社が事業譲渡と会社分割、どちらを選ぶかは、事業の譲渡元の会社との関係が大きな要素になってきます。
会社分割の場合は、対価としてあなたの会社の株を渡すことになりますので、譲渡元会社はあなたの会社に影響力をもつことになります。これに不都合があるならば、金銭での売買を行う事業譲渡を選択するとよいでしょう。
ただし、事業譲渡は会社分割よりも債権者や従業員の扱いで手続きが煩雑になることも考慮しておかなければなりませんし、債権者、従業員の同意を得られないというリスクも考慮しておく必要があります。
- 関連情報
- <Q035.会社分割について教えてください。>(J-Net21)
http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/entry/035.html - 回答者
- 中小企業診断士 遠藤 康浩
2008年8月15日更新
