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製造の現場
- Q288.セル生産方式で生産性を向上させるための留意点について教えてください。
- 私の会社は、生産している製品が小ロットで多品種ですので、セル生産方式を取り入れています。最近、何かとトラブルが多く、生産性が低下していると感じています。生産性を向上するには、どのようなことに留意すればよいのでしょうか。
A.セル生産は本来、小ロット多品種生産の工場にとっては、数多くのメリットをもたらす生産方式です。とは言え、生産性を損なう要因もあります。セル生産のメリットを十分に活かして、生産性を向上させるためには、セル生産内部の効率化を目指すとともに、セル生産の効率化をパックアップする全社的な改善取り組みや、会社としてのセル生産バックアップ体制を構築することが重要です。
セル生産とは、小さな場所にU字型やL字型などに機械を配置し、一人または少人数で生産を進める方法です。中小企業では一般的に広く採り入れられている生産方式と言えるでしょう。これは、中小企業では通常、従業員が少人数であることや、受注が小ロット多品種であっても生産効率の低下を防止する必要性があることが要因と言えるでしょう。
【セル生産のメリット】
一般にセル生産のメリットは、下記の点があげられ、セル生産方式を採用する目的ともなっています。
- セル数の調整や、セル内の作業人数の調整によって、生産の変動に柔軟に対応させやすく、小ロットでも効率が下がりにくい。
- 完成品ができあがるまでのリードタイムが短縮できる。
- さまざまな在庫(製品在庫、仕掛品在庫、部品の在庫)の圧縮が可能で、とくに、仕掛品在庫はほとんどなくすことができる。
- さまざまな在庫の削減は、運転資金の圧縮につながり、キャッシュフローの改善につながる。
- 不良品の発見も早くなり、無駄な資源投入を避けることができる。
- 働きがいなど、作業者の仕事に対するモチベーションの向上につながり、自主的な品質改善や作業効率向上が期待できる。
【セル生産のデメリット】
一方で、作業者は多能工であることが前提であるため、「作業者の確保の難しさ」、「教育の難しさ」、「作業者の負担増」などの問題点も指摘されています。
また、加工工程には不向きであったり、必要な部品の調達もセル生産のペースに合わせなければ、部品在庫の圧縮にはつながりにくいという問題もあります。さらに、複数の作業者が1つのセルを担当する場合に、作業者の能力に差があると、工程待ちのムダが発生する可能性があります。作業速度も、作業者個人の技能、意欲、体調などによって左右され、安定性に欠ける面があり、事前に生産能力を予想することが困難で、計画と実績とのずれが生じやすいこともあるでしょう。
このような問題点に適切に対処しませんと、期待していたほどのメリットが得られないばかりでなく、生産性の悪化や品質の低下、コストの増大などを招きかねません。
【セル生産のよる生産性向上のポイント】
(1)セルへの部品供給
セル生産をスムーズに行い、そのメリットを引き出すには、セルへの部品供給が要になります。部品調達の都合でセル生産が止まらないように、部品の調達量に余裕をもたせることは、在庫削減というセル生産のメリットの足を引っ張ってしまいます。かと言って、部品供給が滞れば、当然生産ができず、需要に対する素早い対応はできません。
セル生産と部品の生産を同期化することができれば問題はないのですが、そのためには、サプライヤーに対して発注頻度を増やしたり、1回の発注量を少量にしたりする必要があり、サプライヤーとの連携強化を図ることが大切です。
さらに、セル生産と部品生産の同期化を進めるため、部品生産をセル生産の近くで行うことも検討してみましょう。先駆的な企業では、工場内に部品サプライヤーを同居させ、セル生産での組立工程の進行に伴う部品在庫の減少を確かめながら、部品の生産を同期にさせるような取り組みが行われています。
(2)責任範囲の明確化と作業指示方法
1つのセルを複数の作業者に任せる場合には、責任範囲の考え方の明確化と同時に、前後の作業者の支援をするインセンティブを生み出すため、工場内の複数セル間での競争原理を導入するなど、具体的な工夫を考えることが大切です。
また、作業品質や作業時間を標準化していくため、作業者のストレスにならない方法で作業ミスの低減や作業ペースの維持を図ることも進めましょう。
オンライン作業マニュアルなどによる作業指示や、これと組み合わせた部品箱の活用で、部品の組み付け指示と使用する部品の指示を同期させ、組み付け忘れや間違いを防止したり、センサー付きの電気ドライバーを導入して、ねじの締付回数を自動チェックし、締め忘れを防止している例もあります。
(3)工場の基本的改善活動の重要性
もちろん、道具類や部品、設備など、日々の整理整頓やメンテナンス活動が標準化、効率化の根本であることは言うまでもないことですので、「5S活動」をはじめとした、工場の基本的改善活動には、十分な意識をもって取り組むことが必要です。
(4)会社としての支援体制
そしてまた、セル生産が作業者の自主性を尊重する生産方式であるとは言っても、問題点は現場任せにせずに、会社全体で改善に取り組んだり、教育体制の充実を図ったりするなど、会社としての支援体制の構築にも留意しましょう。
セル生産の大変大きなメリットを十分に活かすために、セル生産内部の効率化を目指すとともに、セル生産内部の効率化をバックアップする全社的な取り組みや、会社としての支援体制を整える努力をしていきましょう。
- 回答者
- 中小企業診断士 小林 弘幸
2011年1月17日更新
製造の現場
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