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人事制度と労務管理
- Q178.年俸制を採用すれば、残業代を支払う必要はないのですか?
- 社員に残業代を支払うのが会社の財政上苦しいので、年俸制を採用して残業代を支払わないことにしたいと考えています。年俸制を採用すれば、社員に残業代を支払わなくてもよいのでしょうか?
A.年俸制だからと言って、残業代を支給しないことは違法となります。年俸制を採用し、年俸額の中に一定の残業代を含んでいる場合であっても、実際の残業時間がそれを超過した場合には、割増賃金を支払わなければなりません。
労働基準法上、雇用主は労働者に対して、時間外労働、休日労働、深夜労働について法令で定められた割増賃金を支払わなければなりません。これらの規定は、年俸制を採用しても適用されますので、年俸制だからと言って残業代を支払わなくてもよいことにはなりません(労働基準法第37条)。
年俸制とは、社員の能力や業績に応じて、年間の賃金をあらかじめ決めておく制度です。ただし年俸制をとる場合でも、労働基準法上、給与は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません(労働基準法第24条第2項)。したがって、年俸制であっても時間外労働などが発生した場合には、毎月支払われる給与を算定基準として、超過時間分に見合った割増賃金の支払が必要となります。
ただし、毎月一定額を残業代としてあらかじめ年俸の一部として定めておくことは可能です。しかし、このような場合であっても、実際の残業時間が事前に定められた残業時間を超える場合には、毎月一定額に決められた残業代とは別に、超過分についてはその都度残業代を支給しなければいけません。また、年俸に時間外労働手当(残業代)を含む場合には、どの部分が時間外労働手当(残業代)なのかを明確にしておかなければなりません。
例外として、「経営者と一体となって労働条件などを決定する立場にある人」は、労働基準法に定められる「管理監督者」にあたり、労働時間、休日に関する労働基準法の規定が適用されないので、割増賃金を支払う必要がないとされています(労働基準法第41条)。 しかし、実態で見ると通常、会社の中でいわゆる「管理職」と呼ばれる人の中には、「経営者と一体となって労働条件などを決定する立場にいる人」は、ほとんどいないと考えられます。したがって自社の管理職であっても大半の社員には、残業に対して割増賃金を支払わなければいけません。また、深夜残業に関する規定については、法律上の「管理監督者」についても適用除外となりませんので、深夜割増賃金は「管理監督者」であっても支払わなければいけません。
このように年俸制でも法律上、残業代は支払わなければいけませんから、残業代を支払いたくないという理由で年俸制を採用することは、必ずしも得策ではありません。年俸制を採用する場合には、就業規則などで残業代の基準を明確に定めておき、月々の残業時間の取扱についても注意を払うことが必要です。年俸制には社員の業績評価を柔軟に行うことができるなどのメリットもありますが、事前の制度設計や社員への説明を入念に行い、社員の理解を得ておくことが重要です。詳しい制度設計の内容などにつきましては、中小企業診断士、または社会保険労務士にご相談ください。
- 回答者
- 中小企業診断士 竹村 考太
2011年1月17日更新
人事制度と労務管理
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