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人事制度と労務管理
- Q177.年功主義から成果主義に変更するのに、どのようなポイントに留意しなければなりませんか?
- 現在の人事制度は年功主義をとっています。業績は横ばいなのですが、年功主義の人事制度のために人件費が上昇しており、経営を圧迫しています。成果主義に人事制度を変更したいのですが、どのようなポイントに留意する必要がありますか。
A.成果主義を採用する場合でも、すべての企業がうまくいくわけではありません。経営者の思いつきで安易に導入するのではなく、自社の事業特性などを分析して、従業員などの理解を得ながら、計画的かつ慎重に導入していく必要があります。
年齢や勤続年数などの属人的要素を基準に年功主義を採用している場合、従業員の高齢化や長期の景気低迷などの要因により、人件費が年々上昇し、企業業績を悪化させる可能性があります。近年では、そのような状況から成果主義を導入する企業が増えています。
しかし、成果主義を導入している企業でも、うまく仕組みが機能せずに失敗している例も数多くあります。成果主義は、有効な企業・業種もあれば、そうではない企業・業種もあります。まずは、どのような人事制度が自社の現状に合致するのかを考えて、慎重に見直していく必要があります。ここでは、成果主義の人事制度の仕組みを構築する際の留意点などを説明しますので、成果主義を導入する際の参考にしてください。
【人事制度を変更するうえでの留意点】
人事制度を変更することは、企業にとっても、従業員にとっても重要な内容と言えます。新しい人事制度が自社の実情に合わず効率的に機能しない場合には、従業員のモチベーションが低下し、企業業績の悪化につながるリスクもあります。次のようなポイントに留意して、計画的に変更していく必要があります。
(1)従業員の理解を得る
人事制度を変更することにより、従業員の反発やモチベーションが低下することも考えられます。従業員や組合に対して、人事制度変更の必要性をきちんと説明しておくことにより、変更後の大きな混乱を防ぐことが可能です。具体的には、文書の配布、説明会の開催、個人面接などにより計画的に調整しながら新しい人事制度を構築しましょう。
(2)外部人材の活用
人事制度を変更するうえで、社長や人事部などの内部の人間だけでは従業員への理解が得られにくい、または実行しづらいことも考えられます。そのような場合には、コンサルタントなどの外部人材を活用して、変革代理人の役割を担ってもらうことも、1つの方法です。
【成果主義の仕組みを構築するうえでの留意点】
成果主義と言っても、企業の特性や実情に合わせて仕組みを構築する必要があります。成果主義の仕組みを構築していくには、次のようなポイントに留意する必要があります。
(1)成果の基準を明確化する
成果主義の成果については、「成果=行動プロセス+業績」と捉える場合もあれば、「成果=業績」と捉える場合もあります。成果の定義、評価基準、評価方法などは、曖昧にするのではなく、できるだけ明確化するのが望ましいと思われます。従業員も、どのような要素が評価されるのかが明確化されれば、納得して業務を遂行できるでしょう。
また、従業員は評価項目を意識して行動しますので、評価の対象とするのは、企業業績や企業の価値を高めるような項目を設定する必要があります。企業業績などと関係ない項目で評価すると、従業員が無駄なところに力を入れてしまうことになってしまいます。
(2)成果主義の評価
「努力して業績に貢献している従業員」と「楽をして業績に貢献していない従業員」が同じ評価というのでは、業績に貢献している優秀な従業員は納得がいかないでしょう。そのような評価制度では、ほかの企業への転職やモチベーションの低下により、努力をしなくなることも当然考えられます。
成果主義の仕組みを構築するうえでは、「努力して業績に貢献している従業員」に対して、適切に評価がくだされる制度にすることが望ましいと言えます。多くの従業員が業績に対する意識を高めれば、企業の業績向上にも結び付きます。
(3)成果主義の給与への反映
年功主義から成果主義に人事制度が変更されて、急激に給与形態が変更すれば、将来の不安から従業員に混乱が生じる可能性が高いと言えます。従業員のがんばりが、企業の業績向上につながりますので、従業員が安心して働ける人事制度にする必要があります。
成果主義の給与制度としては、自社の事業特性などにもよりますが、給与の一部に関してのみ業績連動の制度にするなど、人件費の固定費と変動費のバランスを考慮する必要があります。部分的な成果主義の導入で、従業員のモチベーションを高め、人件費の一部を変動費化することができます。このように、企業のコスト構造を適正なものにすることで、ビジネス環境の変化に対応できる企業体質にすることが必要でしょう。
また、人事制度の変更と合わせて、従業員が高い成果を発揮できるような能力開発の実施や効果的な適正配置を行うことで、経営能力を高める必要もあります。
従業員の教育訓練を対象とした税制に「人材投資促進税制」がありますので、参考にしてください。
- 関連情報
- <人材投資促進税制のパンフレット>(PDFファイル)(中小企業庁)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/download/jinzai-genzei_pamphlet_20.pdf - 回答者
- 中小企業診断士 沢田 一茂
2011年1月17日更新
人事制度と労務管理
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