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人事制度と労務管理

Q175.成果主義を導入したのに業績がよくならないのはなぜでしょうか。
信賞必罰を明確に打ち出すために、受注額によって給与額を増減させる成果主義を導入しました。導入当初は会社の業績が上向きかけましたが、しばらくすると業績は逆に悪化してしまいました。高い営業成績を残せば、高い給料を支払うシステムにしたのですが、なぜ業績がよくならないのでしょうか?

A.成果主義の意義は、個人の業績に応じて報酬に反映させるという「結果主義」ではありません。経営目標を達成するという成果を得るために、いかに会社の業績を引き上げるのか。そのために、いかに個人の業績を引き上げるのか、という業績管理の手法として捉える必要があります。

まず、結果主義の特徴を整理してみると、以下の2つがあげられます。

(1)結果のみを重視し、途中の状況(プロセス)は評価しない

最終結果のみに焦点をあてて評価してしまうため、途中の努力などは考慮しません。たとえば、契約件数や契約金額だけで評価してしまい、営業先訪問件数や情報収集の努力などの結果につながるためのプロセスは、評価の対象としません。

(2)短期的な成果に焦点をあてる

評価の期間は1ヵ月〜1年間で設定されることが多いです。たとえば、「月に○件以上の契約獲得で、○円の報奨金支給」などです。

これらのことから引き起こされるデメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 職場の人間関係がギクシャクするようになる
  2. お金で動機づけできるのには限界があり、最初に効果はあっても、ある時点からは効果がなくなる
  3. 業績と直接関係のない能力の開発に力を入れなくなるため、人材育成がおろそかになる
  4. 「数字を上げなければ」という過度のプレッシャーにより、心の病にかかる社員が増える
  5. 金銭面での結び付きだけなので、愛社精神や忠誠心が生まれない

成果主義を導入した結果、業績が向上しない企業の多くは上記のようなデメリットによって、本来の目的が達成できていないことが考えられます。

それでは、成果主義をどのように捉え、どのように運用していけばよいのでしょうか。 成果主義を効果的にするためには、結果主義ではなく、業績管理の手法として捉え、活用するとよいでしょう。

会社の経営目標を達成するためには、どのような部門目標が必要なのか。そして、部門目標を達成するためには、どのような個人目標が必要なのか、ということを一つの筋を通した形(ベクトルを合わせる)で明確にしましょう。

そして個人目標は、必ずプロセスも評価できるものにしなければなりません。たとえば、新規訪問件数や見込み先フォロー件数など、長期的に見れば自社の売上につなげるための重要な項目があれば、それらも評価項目に加えることです。

さらに重要なことは、それらの目標を設定するときには、一方的な指示命令にならないようにする必要があります。必ず上司が社員一人ひとりと面談の場をもち、その社員に合わせた課題・目標を両者が納得するように設定することを心がけましょう。そして、評価結果についても面談の場をもち、フィードバックすることにより、新たな課題の設定を行うという流れを確立しましょう。

こういった取り組みを行うことにより、上司と部下のコミュニケーションが機能し、社員の不公平感を取り除くことが可能となります。そして、社員のモチベーションが向上し、結果として会社の業績の向上に大きく寄与することとなります。

【参考:面談のすすめ方】

(1)面談の重要性を相互に認識する

経営目標を達成することにつながる個人目標設定の場であることを認識し、お互いに十分に納得のいく目標を設定することを確認する。

(2)部下が上司に目標の案を説明する

組織の目標達成や自分自身の成長につながるような目標設定を部下自身が行い、それらの意図や狙い、意気込みを上司に提案する。

(3)目標項目や達成の基準を話し合う

申告された目標項目が明確で具体的であるか、適正な目標レベルであるか、それは定量的に把握できるかどうか、定性的ならどの程度を達成基準とするかなどについて、上司とともに合意形成を図る。

(4)達成のためのアドバイスを行う

目標項目が設定できたら、それを達成するための方法や具体策をアドバイスする。基本的には目標達成方法については、部下本人の創意に任せることが重要だが、上司として支援が必要なポイントがあればそれを確認し、役割分担を明確にする。

(5)能力開発課題を設定する

会社の全社的な目標との関連や、部下自身の役割・使命とは何かを踏まえて、今後の貢献に必要な能力開発項目を自己申告させる。上司はそれを基に、適切な課題設定かどうか確認を行い、必要なら修正をアドバイスする。

(6)合意の確認を行う

お互いがきちんと合意した目標、能力開発課題を確認し、上司は期待の意を示すようにする。

回答者
中小企業診断士 竹内 靖人

2007年8月31日更新

人事制度と労務管理


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