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経営ビジョン

Q1105.BTO生産方式を導入する際の注意点を教えてください。
精密樹脂部品を製造しています。最近、超短納期オーダーが増加して、オーダーのうち3割が1週間以内の納期指定となっており、生産方式の改革に迫られています。繰り返しオーダーが多いことから、在庫を持つことを基本としてきましたが、BTO生産への転換を図りたいと考えています。

A.在庫ポイントモデルを参照しながら、自社生産工程を詳細に観察して在庫ポイントを設定し、そのための仕組みを構築していきます。最善の在庫ポイントを設定するうえで部品の共通化(標準化)も必要となりますので、併せて検討を進めます。

BTO(Built To Order)とは、組立製造業において、顧客の注文を受けてから最終製品の生産を行う生産方式を指します。PC製造・販売大手のデルコンピューターのビジネスモデル(デル・ダイレクト・モデル)で有名になりました。

従来の見込み生産(MTS: Make To Stock)では、事前に需要を見込んで一定量の最終製品を生産し、これを在庫として持ちます。一方、BTOでは受注してから生産を行い、製品が完成するとすぐに出荷するため、在庫を持ちません。その最大のメリットは、市場の変化に伴う売れ残りリスクが少なくなる点にあります。

【どこで在庫を持つか?】

デルコンピューターの方式は、部品ないしサブアッセンブリーまで事前に作っておき、注文を受けた時点で組み立てて出荷するもので、正確にはBTOの一形態である受注組立生産(ATO: Assemble To Order)といいます。最終組立の前で在庫を持つため、注文から出荷までのリードタイムは短くなりますが、仕掛在庫を持つリスクがあります。

この在庫を持つポイントを、デカップリング(De-coupling)ポイントまたは在庫ポイントといいます。De-couplingは文字どおり、「分ける」または「引き離す」という意味で、見込生産と受注生産の分岐点となります。

【在庫ポイントモデル】

図1は、主要生産形態別に在庫ポイントを示したものです。

図1 主要生産形態別の在庫ポイントモデル

在庫ポイントが出荷に近いほど、部品の補充リードタイムは長くなり、かつ品目は多様化するため、在庫量は増える傾向にあります。一方、在庫ポイントを設計側に移した場合は納期が長くなるため、顧客を待たせることになります。また、生産リードタイムが長いいために需要予測が難しくなり、予想精度が落ちると在庫量は逆に増加します。

この両アプローチの最善のバランスを探すことが、BTO生産の課題となります。

【ETO(Engineering to Order)】

図1中のETOとは受注設計生産のことで、在庫は持たず、顧客からの注文をもらった後に設計を始め、部品や材料は設計終了後に調達を開始します。航空機、大型船舶、産業機械、注文住宅、顧客に応じて採寸をするオーダーメイドの服などに適用されています。

【部品の共通化(標準化)】

この最善のバランスを探す際の解決策が、部品の共通化(標準化)です。さまざまな製品で使用する部品の共通化を図ることで、部品需要を平準化します。需要が平準化し、予測精度が向上すると、在庫を計画どおりに抑えることができます。

部品の共通化は設計段階で決まりますので、共通化設計が必要となります。しかし、共通化設計も簡単には進みません。共通化の度合いを示す評価指標を定め、その指標に関する目標値を設計部門の方針として掲げることが必要です。実績を把握したうえでのフォローも必要なことは、言うまでもありません。

最善の在庫ポイントの設定に際しては、まず自社の製造工程を詳細に観察して設定を行った後、そのための仕組み(生産計画の作成と指示、部品発注及び仕掛保有の判断基準、部品及び仕掛品置き場の確保(サプライヤー保有も含む納入指示方法)、受注時における部品及び仕掛品参照及び顧客への納期回答方法、組立作業の標準化と作業者トレーニング等々)を構築します。

新生産システムを導入して一定期間が経過した後、さらに一工程設計サイドへ移す検討を続け、在庫ポイントを設計サイドに近づけていきます。

回答者
中小企業診断士 林 隆男

2016年10月 4日更新

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