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変わる大手企業の購買戦略


【番外編】購買されるための中小企業の工夫
トータルコストを意識したモノづくり[Case.5 新東海ダイカスト工業]

ダイカストマシンと周辺機器が連動する一連の設備で、サイクルタイムの速さに自信がある

ダイカストマシンと周辺機器が連動する一連の設備で、サイクルタイムの速さに自信がある

金型を3-4倍も長持ちさせる

新東海ダイカスト工業は、主に自転車部品や自動車部品などを手がけるアルミニウムや亜鉛のダイカスト専業メーカーだ。同業他社が敬遠する難しい材料を得意とし、国内シェアが50%を超える自動車部品もある。最近は主要取引先の内製化が進み、仕事が減る国内で新規受注の獲得も容易ではない。そんな中、徹底したコスト管理や現場改善に取り組み、優位性をアピールしている。

同社がモノづくりで意識するのがトータルコストだ。中でも最も費用がかかるのが1つ数百万円する金型。高温に溶けた金属を受け入れては急冷を繰り返すダイカスト用金型は、激しい温度変化のストレスで痛みやすい。一般には10万回をめどに更新するが、同社では15万-20万回、多い場合で40万回まで使う。
 金型を長持ちさせる工夫の1つが、成形後に塗布する水溶性離型剤が型を冷やしすぎないよう、塗布量を抑えることだ。細かな粒子で素早く、かつ満遍なく塗布できるスプレーロボットを自社で開発。型の温度を安定させることで、型へのストレスを和らげた。ほかにも、鋳込みの速度や圧力を抑えるなど、型の負荷を軽減する細かな配慮をしている。

1割早いサイクルタイム

自社開発の機械で、同時に複数個の製品に加工する

自社開発の機械で、同時に複数個の製品に加工する

成形回数を重ねるとバリが発生しやすくなるため、バリ取り作業のコストを気にする顧客もあるが、松岡社長は「金型代を含めて考えれば、トータルコストは安い」と強調する。同社では製品の型番ごとに金型代を含めた原価管理を徹底しており、不良が発生すれば原価に即反映している。
 不良原因の追求も即日現場で行い、不良率は1%代前半を維持。松岡社長はさらに「1%切りを目指している」という。集めた詳細なデータは見積時にも活用している。
 自慢の設備はほかにもある。成形品の取り出しからトリミング、箱詰め、リターン材やインゴットの溶解保持炉への投入、多関節ロボットの離型剤スプレーといった一連の作業を、ダイカストマシンと連動させたものだ。「サイクルタイムは他社より10-15%速い」(同)と自負している。リターン材は熱いまま炉へ入れるため、電気代抑制になっている。

自動作成した日報で「チョコ停」減らす

蓄積したトラブル情報をタッチパネルで呼び出せるシステムを機械に取り付けた

蓄積したトラブル情報をタッチパネルで呼び出せるシステムを機械に取り付けた

同社では穴あけの専用加工機など、生産効率化のために自社開発した設備が活躍しているが、改善の余地はまだあると松岡社長は考えている。現在進めているのが、機械の稼働状況を事務所で確認し、日報を自動作成するシステムづくりだ。
 ダイカスト成形では、型にこびりついた離型剤をはがす作業などで設備の稼働が停止する「チョコ停」が多い。新システムでは、チョコ停があった場合にその原因と停止時間を製品ごとに集めて生産管理に反映するだけでなく、蓄積したトラブル情報を機械に取り付けたタッチパネルで呼び出し、次回以降、作業者が確認できるようにした。
 すでに1台分は完成済み。今後、順次全ての設備に取り入れる計画だ。「どこにも負けないモノづくりがしたい」と工夫を凝らしてきた同社。低コスト高品質生産の強みを製品とデータで顧客に示そうと、愚直な取り組みが続く。

【ワンポイント】

ダイカスト製品の8割は自動車部品とされる。自動車部品の海外現地生産、現地調達の流れの中で、ダイカスト製品の生産も中国や東南アジアへのシフトが鮮明で、人件費が安い海外でもコスト競争やそれに対応するための自動化が進められている。
 一方で、自転車部品や釣り具といったスポーツレジャー用品などの外観を重視する製品や、凝縮率が高く成形が難しいとされる材料を使う製品については、海外シフトの流れは比較的緩やかとされる。ただ、内製化を進めるメーカーもあり、下請け企業の仕事は減少傾向。国内で生き残るには、海外に負けない高品質低コスト生産の追求が欠かせない。


掲載日:2012年1月31日

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