本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 変わる大手企業の購買戦略

変わる大手企業の購買戦略


【番外編】購買されるための中小企業の工夫
製法転換や検査の自動化であくなきコストダウン[Case.2 ムラコシ精工]

製造しているブリーダースクリュー

製造しているブリーダースクリュー

切削から鍛造へ

「ブリーダースクリューは国内生産でも世界で戦える」と、ムラコシ精工の村越政雄社長は旗艦製品に据える。ブリーダースクリューは自動車や二輪車のブレーキに使われ、オイルを封止する栓の役割をはたす。生産能力は年間6000万個で自動車1500万台分に相当。国内生産車の半数以上の足回りを支えている。コストダウンにあたっては取引先へ切削から鍛造への工法転換を提案する。社内では検査工程の自動化やITインフラを整え、管理部門の効率化を進めている。

自動車部品では切削から鍛造への工法転換は、材料使用量を減らす常とう手段だ。ブリーダースクリューは六角ナットと丸ねじが一体になった形で、切削で作ると最も太い六角部分の直径に合わせて棒材を仕入れ、ねじ部分を削り出す必要がある。削った部分がそのまま無駄になってしまう。鍛造ならば細いコイル材をたたいて六角部分を膨らませることができる。切削から鍛造に切り替えると削りシロがなくなり材料を約30%減らせる。さらにねじ目の転造や給油口など複雑な形も塑性加工に切り替え無駄になる部分を極力減らしている。

ただ製造方法を替えるにはブレーキメーカーや自動車メーカーの信頼性試験をクリアすることが必要だ。メーカーにとっては二度手間になってしまう。村越雄介専務は「我々部品メーカーにとって1つ十数円の部品を1円値下げすれば10%近い値引きになる。だが完成品メーカーにとってはたったの1円。モデルチェンジなどタイミングが合わない限り簡単には採用されない」と説明する。1社でも採用実績ができると他社へも採用が広がるが、努力が報われるまでには時間がかかる。

人の感覚や経験を数値化

ブリーダースクリューの2次加工と検査を同時に担う自動機

ブリーダースクリューの2次加工と検査を同時に担う自動機

それでも毎年数%のコスト低減要請に応えていかねばならない。生産部門で継続的なコスト削減を担うのが検査工程の自動化だ。ブリーダースクリューは鍛造工程の後に穴開けや面取りなどの2次加工に進む。この加工装置を社内で開発し検査工程を組み込んでいる。加工装置の中ではピタゴラ装置のように部品が運ばれ、加工の前後で寸法や加工精度など検査が入る。人間は部品をパーツフィーダーに供給するだけで加工と検査がすみ、どの工程で不良が発生したのかも追跡できる。

検査工程の自動化を進め、最後に残ったのがブレーキオイル封止面の目視検査だ。メーカーの仕様書には「封止面に有害な傷なきこと」としかなく、どの程度の傷が問題になるのかは暗黙知の世界だ。部品同士でこすれるわずかな凹みでも深さや広がり方によっては不良になり、また封止相手の金属の硬さによっても許容範囲が変わる。数値化は難しく、人間の目と経験に頼ってきた。
 検査方法の候補に挙がったのは画像検査とリーク検査の2つ。画像検査は人間の感覚や経験とカメラを摺り合わせる必要がある。リーク検査は実際にブレーキパーツに装着し、オイルが漏れるかどうか確認すればよい。「画像検査は他の金属部品検査に応用が利く。社内にノウハウを蓄えておきたかった」(村越専務)と開発を始めた。光源の波長やカメラ角度など撮像条件を調整し、良否判定のパラメーター設定に奮闘した。完成した画像検査機は1台で人間3分の仕事をこなす。リーク検査に比べ装着したり外したりする工数が少なく高速で検査できる。検査要員は手作業が必要な高付加価値品のラインに配転できた。

ブリーダースクリューの画像検査機

ブリーダースクリューの画像検査機

村越専務は「金属を削る、たたくの技術がなければ土俵に上がれない。だが加工自体は改善し尽くされ差別化しにくい。システム設計やエンジニアリングの重みが増してきている」と指摘する。画像検査機に個数カウンターや包装機能を取り付け、仕分け発送など下流工程の手間を減らしている。村越専務が導入したITシステムは20を超える。1つ十数円の部品ラインでも、社内で自動機を開発しITでつなぐ。大手メーカーと遜色ないシステム構築力を目指している。

【ワンポイント】

自動車業界はかつて自動車メーカーを頂点に1次サプライヤー、2次サプライヤーなどピラミット構造の強固なグループを形成し、それが技術開発や生産効率化に大きな役割を果たしていた。しかし、自動車メーカーの海外進出の加速や円高下で海外部品を多く採用するなど、この構造は揺らぎつつある。部品メーカーが国内で生産を維持し続けるためには、開発段階から参画できる技術力や圧倒的な原価低減などが求められている。


掲載日:2012年1月31日

前の記事次の記事



このページの先頭へ