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変わる大手企業の購買戦略


協調重視も3段階でサプライヤーをランク分け【Case.5 牧野フライス製作所】

木城勝男調達部部長

木城勝男調達部部長

「調達のコストダウンというと取引先を絞り込んで、集中的に購買することがすべてのように思われがち。品質のためにサプライヤーと協調関係を築くことこそ重要」
 牧野フライス製作所の木城勝男調達部部長は、同社の調達の姿勢をこう強調する。
 主軸回転速度が毎分4万回転、切削速度が毎分20m、加工精度が3μmと、同社のマシニングセンター(MC)の加工能力は10年前と比較してほぼ2倍に向上した。MCの高精度、高機能、高速化の追求では、構成する部品にも高い品質と信頼性が求められている。

サプライヤーには厳しい品質要求が課せられる。調達先の担当者と部品の精度向上に取り組む

サプライヤーには厳しい品質要求が課せられる。調達先の担当者と部品の精度向上に取り組む

「厳しい要求に応えられるサプライヤーと関係を深めることが、製品開発にとって不可欠になっている」(木城勝男調達部長)。
 牧野フライスのMCは2000〜4000点の部品で構成されている。大企業から中堅・中小企業までサプライヤーの数は530社にのぼる。これを40人強の調達部で管理し、高い品質の部品を景気変動に左右されることなく、安定して製造現場に供給できるように努めている。
 ただ、調達部門には部品の安定供給だけが求められるのではない。木城部長は「調達部は対外的な技術指導を行う部門」と位置付ける。サプライヤーの製造現場に訪れ、同社が求める品質管理を指導、徹底することで、品質の安定化や不具合の発生を少なくする。
 それを強化するため今年3月には組織も見直した。厚木事業所(神奈川県愛川町)、富士勝山事業所(山梨県富士河口湖町)の国内2工場に調達課を設けるとともに、開発課を新設。現場の調達課が部品の安定供給に特化するのに対し、開発課はサプライヤーの品質管理やコスト低減などを担い、調達機能の責任をより明確化した。

調達点数はマシニングセンターで2000〜4000点にのぼる。写真は調達したマシン筐体を本体に取り付けるところ

調達点数はマシニングセンターで2000〜4000点にのぼる。写真は調達したマシン筐体を本体に取り付けるところ

サプライヤーとの協調を打ち出すが、何も"甘い関係"を築こうとしているわけではない。各サプライヤーの企業力を技術やサービスをもとに数値化。A〜Cの3段階にランク分けし、貢献度の高いAランクについては発注比率を高め、貢献度の低いサプライヤーは指導を徹底。改善が見込めないところは取引の縮小や新規取引先との入れ替えも視野に入れる。品質の追求のために妥協はせず、あくまでWin―Winの関係を志向する。
 調達でコスト削減は重要なテーマだ。だが、木城部長は「コストも重要だが、それだけではない。不良品がゼロになることが目標」と打ち明ける。不良品がなくなれば工程の戻りは少なくなり、リードタイムの短縮が図れる。リードタイムの短縮は余分な業務を削減でき、在庫の適正化、さらに商品製造の自由度も増す。最終的にトータルコストの低減にもつながってくる。
 「この環境下で我々も調達先を見定めている。だが、サプライヤーも我々を見定めている。長期的に当社と取引したいと思われる関係を築きたい」
 木城部長はそう考えている。工作機械業界は景気の影響を受けやすく、需要の変動も激しい。需要の波に左右されず、安定的に製造現場に部品を供給することが調達の大命題だ。それにはより多くのサプライヤーとの安定的で密な関係を築けるかがカギを握っている。同社の品質を追求する裏には、多くのサプライヤーとの真の協調関係が礎となっている。

調達のポイント

品質向上を後押し

家電や自動車などの消費財と異なり、資本財メーカーの調達戦略はコスト以上に品質を重視する傾向になる。工作機械メーカーの牧野フライスも同じ。加工精度や加工速度などのマシン性能が商品力を左右するだけに、高度な部品を安定的に調達することが工作機械メーカーには欠かせない。協調関係を重視する基本スタンスは当然と言えるが、3段階の評価付けを取り入れたところがポイント。緊張関係を保ちつつ、調達先の一段の品質向上を後押ししていく方針だ。


掲載日:2009年9月 1日

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