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小規模訴訟制度

テーマ:企業の機関・形態

2005年7月14日

解説者

弁護士 壇俊光

1 始めに

日々トラブルは発生しており、訴訟沙汰にも発展することはあります。しかしながら、多くの場合には弁護士費用が多額であることや、時間がかかることなどから訴訟を敬遠することが多いのではないでしょうか。
実際のところ、弁護士は法律の専門家であり、オーダーメードのような安心感があります。しかし、けっして料金は安いとは言えないのが実際です。司法書士等も決して安くはありません。
小規模訴訟制度は、比較的少額の訴訟については、自分で訴訟をすることが出来るように工夫されて民事訴訟法に規定された制度です。ところが、多くの人は、実際には名前は聞いたことがあるけれども、具体的にどのような制度かについては知らないのが実情ではないでしょうか。


2 少額訴訟とは

少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする少額の紛争について、その紛争に見合った時間と費用で紛争を解決するための訴訟制度です。
訴額が90万円以下の少額な民事事件については、簡易裁判所において迅速な手続を目指していました。しかし、簡易裁判所も手続自体は、地方裁判所の手続とほとんど変わりないものであるため、時間と費用がかかるという欠点がありました。そのため、手続自体を簡易なものにすることにより、審理を迅速にすることを目的としたのが、少額訴訟です。
従前は、30万円以下の訴訟についてのみ適用されていましたが、平成15年の民事訴訟法改正により、60万円以下と引き上げられて今の制度となっています。


3 少額訴訟の手続

<1> 訴訟提起について
少額訴訟も、訴訟である以上、訴訟をするには簡易裁判所に対する訴えの提起が必要です。規定上は口頭でも可能とされていますが(民事訴訟法271条)、実際には書面で訴状を提出することが求められています。簡易裁判所の窓口には定型的な訴状のひな形が用意されているほか、簡易裁判所の相談窓口でアドバイスしてもらえる場合もあります。
なお、少額訴訟制度は、業者が多用することを防ぐために、1人あたり1年間の利用回数は10回と制限されています(民事訴訟法368条、民事訴訟規則223条)。
また、少額訴訟は、被告が通常訴訟を望んだ場合は、通常の手続に移行することになります(民事訴訟373条)。この場合少額訴訟は利用できません。


<2> 審理手続きについて
少額訴訟の審理に使われる法廷は、一般のドラマで出てくる法廷とは違っています。ラウンドテーブルで、原告・被告・裁判官が一緒に座って対話をするような雰囲気で進めるのが一般的です。
最初に裁判官や書記官からの説明があります(民事訴訟規則222条)。
少額訴訟の審理は、1日で審理を集結することが原則です(民事訴訟法370条1項)。迅速な審理のために、お互いの主張は最初の口頭弁論にすべて主張・立証することが原則とされています(同条2項)。後日主張を思いついたとしても、それは原則として認められません。
証拠調べは即時に取り調べるものに限られています(民事訴訟法371条)。あらかじめ書証や証人を用意しておかなくてはなりません。裁判所は、当事者本人や法定代理人の出頭を命じることも出来ます(民事訴訟規則224条)。


<3> 判決について
判決は、原則として口頭弁論つまり審理の終了後直ちに行われます(民事訴訟法37条)。 もっとも、裁判官は、被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、判決の言渡しの日から3年間を超えない範囲内において、分割払いの判決をすることができ、弾力的な解決が可能となっています(民事訴訟法375条)。
少額訴訟訴訟の判決には控訴ができません(民事訴訟法377条)。もっとも、異議を申し立てることができます(民事訴訟法378条)。
以上の手続には、手続の迅速化のため、証拠の申出や判決について口頭で足りるよう配慮されている(民事訴訟法374条2項、民事訴訟規則225条)ほか、いろいろな手続的な配慮がなされています。


4 少額訴訟のメリット・デメリット

少額訴訟は、訴訟の複雑な手続を省略しているために、簡単な事案であれば一日で判決までもらえるというメリットがあります。簡単に、早く、安く裁判が出来るというのは少額訴訟のメリットです。
少額訴訟が多く用いられているのは、敷金返還請求、賃金支払い請求、交通事故による金銭支払い請求等です。
もっとも、この手続は事案が複雑な事案などについては、十分な審理がなされず、裁判官に自分の主張を十分理解してもらえないことや、後になって重要な主張や証拠が分かっても主張立証できないというデメリットもあります。
権利関係が複雑で双方の請求が入り組んでいる場合や専門家の判断を要するような事件については不向きといえます。


5 少額訴訟を使う際の注意

少額訴訟は、確かに簡易な手続が予定されているとはいえ、裁判である以上、一般の方にはなじみの薄い要件事実を前提にした主張立証活動によってその結論が左右されます。事案が複雑な場合や相互に請求権が入り組んでいるような場合は、やはり専門家である弁護士に依頼するのが適当でしょう。その意味で、手続を使い分けることが必要です。
また、自分で少額訴訟を申し立てる際には、かならず、弁護士の法律相談を受けて少額訴訟が妥当な事案かを確認するとともに、手続面についてアドバイスをうけることが良いでしょう。法律相談は各弁護士会の有料相談の他、各市役所等での無料法律相談もありますので、ご確認ください。


(2005年7月執筆)


壇俊光 (ダントシミツ)
出身地 大阪
資格  弁護士 大阪弁護士会所属
役職  大阪弁護士会消費者保護委員会会員
     大阪弁護士会図書情報処理委員会会員
     大阪弁護士会犯罪被害者支援委員会会員
     法情報ネットワーク法学会会員

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