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法律コラム


2005年7月28日|弁護士 小川義龍

【新着法制度どもに物申す】2

弁護士 小川義龍

3,ロースクールってどうよ?

ロースクールは、法科大学院といわれる学校だ。ここを卒業すると、今までに比べれば圧倒的に合格率の高い司法試験を通過して法曹資格を得ることが出来る。不正確に言わせてもらえば、今の医師資格を得るのと同じような感じで法曹資格を得させようという学校制度だ。
私は、法曹人口が増えること自体は賛成だ。大賛成ではないが、賛成か反対かと言われたら、ちょっとだけ賛成だ。しかし、これは法曹三者が均等比で増えるならばと言う条件付。今の制度のままでは、弁護士ばかり増えて、裁判官や検察官は相対的に増員数は少ない。弁護士は民間だが、裁判官や検察官は公務員だから、国家予算との兼ね合いで、そうたやすく増員させることが難しいというのは理解できる。つまり、安易に増員したら、給料も増加するし、建物も増やさなくてはならない。そうなれば税金が上がるというわけだ。
しかし、弁護士がいくら増えても、裁判官や検察官が相対的に増えなければ、それがボトルネックになって紛争はなかなか解決しない。
専ら弁護士を増やす結果になる新司法制度は、財界が安く弁護士を使うようにするための便法という穿った見方もある(人が増えれば需要と供給バランスから安い弁護士費用で多くの選択肢から弁護士を使うことが出来そうに見える)。しかし、弁護士が増えたからと言って、安売りするような弁護士は、所詮その程度の実力しかないはずだ。安かろう悪かろうだ。
というのも、もともと弁護士の費用が高いのは当たり前だ。事件を依頼すると普通何十万円と請求されるのは一見高いように思える。ディスカウントショップで最高性能のパソコンを一式そろえても10万円か20万円で済むのに、弁護士に裁判を依頼したらあっという間に100万円になってしまうことも珍しくない。しかし、これを高いと感ずるのは、大量消費財とオーダーメイドを同じ物差しで測ってしまう<世論>の浅はかさ以外の何ものでもない。パソコン一式は、所詮工場で大量生産できる。薄利多売でも大量ロットで売るわけだから十分モトが取れる。しかし、弁護士が提供するリーガルサービスは、殆どが大量生産できない。裁判の依頼を受けたら、その人のためにつきっきりで作業するわけだ。オーダーメイドの特注品に金がかかるのは子供でもわかる常識だろう。
それを数を増やせば自由競争原理で価格が下がるというのは一面正しいが、しかし原価割れした商品を発売するわけがないという経済合理性からすれば、自ずとボーダーは決まってくる。もともとが訴訟一件数十万円というあたりはオーダーメイドである以上ボーダーに近いから、人を増やしたってどうにもならない。あるのは、それでも安く受ける弁護士の登場、つまり粗悪品(手抜き訴訟)を提供する弁護士が出てきはしまいかという危惧感だ。
これが杞憂に終わることを大いに期待するが、果たしてロースクール制度も、食えない弁護士、アメリカで言うところのアンビュランス・チェイサーを生み出さなければいいかと願うばかりだ。
交通事故で搬入される怪我人が乗った救急車の後を追って名刺を差し出すような弁護士が、日本の社会に登場してはならない。誰が何といおうと、こんな弁護活動は間違っている。

※【新着法制度どもに物申す】1

(2005年7月執筆)

小川義龍
昭和39年生  東京都出身
東京都千代田区立番町小、同区立麹町中卒
早稲田大学高等学院卒(昭和58年)
早稲田大学法学部卒(昭和62年)
司法試験合格(平成3年)
最高裁判所 司法研修所 46期修了
弁護士登録(東京弁護士会所属)

東京弁護士会
常議員(平成7年度)
広報室 嘱託(平成13年度〜)
広報委員会 副委員長(平成9、10年度)
広告調査委員会 副委員長(平成13年度)
インターネット協議会 副議長(平成9年度)
業務改革委員会 コンピュータ部会長(平成12年度〜)
司法修習委員会、財務委員会、刑事弁護委員会 各委員
法友全期会副代表幹事(平成14年度)
春秋会(法友8部)事務局長(平成15年度)

 東京商工会議所 法律相談員(平成9年度・荒川支部)
 東京弁護士会 クレサラ・商工ローン闇金相談担当(四谷・神田センター)
 財団法人クレジットカウンセリング協会 カウンセラー(平成11年度〜)
 財団法人法律扶助協会新宿支部審査員(平成12年度〜)
 日本弁護士連合会 法務研究財団事務局(情報部会担当)
 早稲田経営学院(Wセミナー)専任講師(刑事訴訟法)
 日本刑事政策研究会(法務省)正会員
 東京弁護士会インターネット法律研究部部会員

著書・講演等
 「法律事務所のためのパソコン導入大作戦」(株式会社トール刊)
 「弁護士のための広告のススメ」(株式会社トール刊)
 「弁護士のためのパソコン導入ガイド」(東京弁護士会法友会刊)
 「パソコン事件簿」(月刊DOS/V Special連載・毎日コミュニケーションズ)
 「最新現代法務全集」第4巻・債権回収(全日法規研究室)
 「困ったときにすぐわかる 内容証明の書き方・出し方」(OS出版)
 「困ったときにすぐわかる インターネットの法律(仮題)」(近刊予定)
 「中小企業のための倒産回避マニュアル(仮題)」(近刊予定)

 「破産と会社更生手続の概要」
   ※厚生労働省 労働研修所での講義(平成14年度より)
 「法律の基礎」 「コンプライアンス」 「借地借家法」 「インターネット法務」
   ※いずれも大手上場企業での定期公演
 「若者の破産」 「非弁提携弁護士被害」その他
   ※フジTV「スーパーニュース」出演

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