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ブログ

テーマ:ブログ・SNS

2005年9月15日

解説者

弁護士 小川憲久

「電車男」という本が出版されています。この本の内容は別として、その記述にはインターネットのブログにおける多数の人の書込が記載され、ブログによってストーリーが展開するという斬新な形式もあって大変話題となっています。ところで、ブログとは、Web log(ウェブログ)という言葉から生じたもので、ウェブ日記、ウェブ記録という意味です。90年代後半からインターネットのホームページ上に日記を公開して発信する人が増え、これをウェブログといいましたが、その後、ウェブログ作成ツールや無料サイトなども登場するとともに読者が意見や感想を書き込む、かつての電子掲示板のような使われ方が一般化し、いつの間にかブログと略されるようになりました。個人の趣味や同好会、芸能人やスポーツ選手、政治家等様々なブログが登場しています。禁煙マラソンや社会問題となっている自殺サークルのようなものもブログです。ブログにおいては個人が自由に情報を発信することができるため、表現の自由という観点からは重要な情報発信手段といえます。


ところで、ブログへ書き込みされた文章の著作権は誰に帰属するのでしょうか。ブログへの書込については、文章が短く、決まり文句や誰が書いても同じような表現となるようなものは著作物に要求される創作性を欠くものとして著作物とはならないと考えられます。しかし、著作物において要求される創作性の程度は低く、記述者の個性が何らかの形で表現されていると見ることのできる文章は著作物性を持つとされています。文章に著作物性が認められる場合には、その著作権者は文章の記述者です。このような観点から、インターネット上のホテル同好会の主催者が掲示板に書込まれた会員の文章を集めて出版した事件について、東京高等裁判所は会員の著作物の無断複製になるとの判断をしています。したがって、出版や転載等をする場合には記述者の了解を得る必要があります。


また、他人の著作物をブログや電子掲示板に転載することは、掲載者が複製権、公衆送信権、送信可能化権の侵害となりますが、裁判所は電子掲示板を主催するプロバイダに対しても「インターネット上においてだれもが匿名で書込が可能な掲示板を開設し運営する者は、著作権侵害となるような書き込みをしないよう、適切な注意事項を適宜な方法で案内するなどの事前の対策を講じるだけでなく、著作権侵害となる書き込みがあった際には、これに対し適切な是正措置を速やかに取る態勢で臨むべき義務がある。掲示板運営者は、少なくとも、著作権者等から著作権侵害の事実の指摘を受けた場合には、可能ならば発言者に対してその点に関する照会をし、更には、著作権侵害であることが極めて明白なときには当該発言を直ちに削除するなど、速やかにこれに対処すべきものである。」とし、「にもかかわらず、(プロバイダ)は、上記通知に対し、発言者に対する照会すらせず、何らの是正措置を取らなかったのであるから、故意又は過失により著作権侵害に加担していたものといわざるを得ない。」と判示して、著作権の侵害主体であると判断して掲示の差止と損害賠償を認めました(東京高等裁判所平成 17年3月3日判決、2ちゃんねる事件)。この判決は、ブログへの第三者の書込内容が著作権侵害や名誉毀損となるような場合にブログ主催者も著作権や名誉毀損の侵害者といわれる可能性があることを意味します。


なお、ブログサービスを行っているプロバイダには、利用規約で、ブログの書込について記述者はプロバイダが宣伝や出版等について無償利用することを許諾し、著作者人格権を行使しないものとするとの条項や、他人の著作物の使用等による責任を一切負わないとの条項を入れているところがありますが、果たしてそのような利用規約の条項によって自由にブログを複製や出版できるのか疑問があります。また、上記の判決によれば第三者の著作物の無断アップロードを放置しておいた場合の責任を免れることはできないということになるでしょう。


前記の通り、ブログは表現の自由を支える情報発信手段として極めて有効かつ影響力のあるものといえます。政治や社会を変える可能性があるとする論者もいます。ブログの悪用がブログそのものの規制の要請に繋がらないように、健全な発展が望まれます。


(2005年4月執筆)


小川憲久
 役職
   (財)ソフトウェア情報センター 特別研究員
   法とコンピュータ学会 理事
   東京工業大学非常勤講師(1998-2002)

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年5月13日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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