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新会社法と現行会社

テーマ:企業の機関・形態

2005年12月 1日

解説者

弁護士 松村昌人

会社法(平成17年法律第86号)と会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号。以下、整備法)が、平成17年7月26日に公布されました。同法律の施行は、平成18年5月頃と言われていますが、現に活動している会社には、いかなる影響を与えるのでしょうか。以下では、整備法の規定のうち、現行会社に関する点を概観します。


第1.株式会社

株式会社は、会社法の株式会社として存続し(整備法66条1項)。定款についても、従前のものが引き継がれます(整備法66条2項)。


1.株式関係
現行商法における種類株式等は、以下のとおり、会社法における対応する株式とみなされます。


 (現行商法)     (新会社法)
・種類株式→→→→→→→種類株式(整備法66条2項)
・償還株式→→→→→→→取得請求権付株式、取得条項付株式(整備法87条1項)
・転換予約権付株式→→→取得請求権付株式(整備法87条3項)
・強制転換条項付株式→→取得条項付株式(整備法87条4項)


なお、これらの種類株式の発行会社の場合には、施行日から6か月以内に登記をする必要があります(113条5項)。この登記を怠ると、代表取締役や代表執行役等が100万円以下の過料に処せられますので(整備法113条6項)、注意が必要です。


2.大規模な株式会社(大会社、みなし大会社、委員会等設置会社)
株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(以下、監査特例法)における大会社やみなし大会社については、監査役会、会計監査人による監査体制が予定されていますが(監査特例法2条〜21条)、整備法52条により、これらの会社については、監査役会及び会計監査人を置く旨の定めが定款にあるものとみなされます。よって、仮に定款の記載が古いままの場合でも、会社法の施行のためだけに敢えて定款変更手続をとる必要はありません。もっとも、整備法施行日から6か月以内に、監査役設置会社である旨、会計監査人設置会社である旨等の登記申請は必要です(整備法61条3項)。
なお、委員会等設置会社の場合にも、同様に、取締役会、委員会及び会計監査人を置く旨の定めが定款にあるものとみなされます(整備法57条)。定款変更手続をとる必要はありませんが、会計監査人設置会社である旨等の登記申請は必要です(整備法61条3項2号)。


3.中小規模の株式会社
現行の株式会社は、取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがあるものとみなされ(整備法76条2項)、取締役会設置会社や監査役設置会社である旨の登記についてもなされたものとみなされます(整備法113条2項・3項)。よって、これらの事項について、定款変更や登記申請をする必要はありません。
なお、現行の株式譲渡制限会社(商法204条1項但書)についても、譲渡による株式取得について会社の承認を要する旨の定めが定款にあるとみなされます(整備法76条3項)。現行の小会社についても、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の会社法389条1項の定めが定款にあるものとみなされます(整備法53条)。


第2.有限会社

有限会社の根拠法であった有限会社法(昭和13年法律第74号)は、廃止されます(整備法1条3号)。もっとも、現存する有限会社については、会社法における株式会社として存続します(整備法2条1項)。株式会社となる以上、以下のとおり、社員等も株主等と変更されます(整備法2条2項)。


・有限会社の定款→株式会社の定款
・社員→株主
・持分→株式
・出資一口→一株


上記のとおり、旧有限会社は会社法上は法律上は株式会社となりますが、商号は、依然として有限会社の文字を用いることが強制されます(整備法3条1項〜4項)。これは社名変更に伴う経済的負担等を回避する必要性があること、法規制態様が従前の有限会社とほぼ同様であること(整備法4条〜44条)によるものです。実際、各種みなし規定が置かれているため、現行の有限会社について、定款変更や登記申請等の特別の手続は必要ありません。例えば、整備法施行後でも、取締役や監査役の任期は特に制限がありませんし(整備法18条)、決算公告義務もありません(整備法28条)。もっとも、以下の事項を定款に定めている有限会社については、整備法施行日から6か月以内に、種類株式にかかる登記申請は必要です(整備法10条、42条8項〜11項、会社法911条3項7号・9号)。


・議決権の数又は議決権行使事項について、一口一議決権原則の例外を設けている場合(有限会社法39条)
・利益配当について、出資口数原則の例外を設けている場合(有限会社法44条)
・残余財産分配について、出資口数原則の例外を設けている場合(有限会社法73条)


第3.合名会社、合資会社

現行の合名会社・合資会社は、それぞれ、会社法の規定における合名会社・合資会社として存続し(整備法66条3項)、定款も引き継がれます(整備法66条4項)。特段の定款変更や登記申請は不要です。


(2005年8月執筆)


松村昌人
 第二東京弁護士会 倒産法制検討委員会委員(1999年4月〜)
 法律扶助協会相談登録弁護士(1999年10月〜)
 第二東京弁護士会 広報委員会委員(2000年4月〜)
 日弁連法務研究財団事務局員(2001年4月〜)
   
主要著書
 『民事再生法書式集[新版]』
  <共著>(二弁倒産法制検討委員会,信山社 2001)
 『ビジネスマンのための インターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001年)
 『インターネット事件と犯罪をめぐる法律』
  <部分執筆>(オーム社 2000)
 『詳解民事再生法の実務』
  <部分執筆>(第一法規出版 2000)
 『法律業務のためのパソコン徹底活用BOOK』
  <部分執筆>(トール 1999)
 『債権管理回収モデル文例書式集』
  <部分執筆>(新日本法規出版 1996)    等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年7月5日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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