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期間雇用労働者の雇い止めは無条件に許されるのか

テーマ:解雇・退職

2006年2月 9日

解説者

弁護士 米村俊彦

労働環境の多様化や法整備に伴って、人材派遣が拡大しているのは誰の目にも明らかだと思いますが、期間雇用労働者も増加傾向にあるといえます。期間雇用労働者とは契約期間の定めのある雇用契約によって雇用される労働者であり、日雇い、臨時工、契約社員、パートなどその形態は様々です。


期間雇用労働者が増加している背景には、企業の側の事情として、環境変化(事業の内容や規模の変化など)に応じて柔軟に人材を活用したいという要望がある一方で、働く側としても時間や勤務場所等を自由に選べるという働き方が好まれていることがあるように思われます。それ自体は悪いことではないと思いますが、期間雇用労働者の労働環境はいわゆる正社員(期間の定めのある労働契約により雇用される労働者)と比較して不安定な側面があることは否定できません。


ここで取り上げたいのは、期間雇用労働者の雇い止め(更新拒絶)についてです。期間雇用労働者を採用している企業の側に、契約期間の定めがあるのだからその期間が終われば契約を更新しなくても構わないという認識が多かれ少なかれある場合、実際に契約期間の満了の際に「もう来なくてよい」と本人に通知し、それがトラブルとなる場合があります。逆に、働き手である期間雇用労働者の側にも、契約期間が満了すれば契約更新されなくても仕方がないという意識をもっておられる方もいるのではないでしょうか。


確かに期間の定めがある以上、労働契約は雇用期間の満了とともに終了するのが原則なのですが、そうでない場合があります。


すなわち、契約期間の定めがあっても、使用者である企業の側と労働者の側の双方が雇用継続を期待し、反復更新されて期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合には、雇い止めは解雇と同じであり、解雇の要件を満たしていなければ雇い止めは許されないとされています。労働基準法に明確に規定されているわけではありませんが、このような考え方に基づいて雇い止めが無効とされた判例が複数出ています。


それではどのような場合が期間の定めと実質的に異ならないのかということが関心のあるところだと思われます。裁判例は、当該雇用が臨時的なものか常用的なものか、更新の回数、通算期間、継続の期待を持たせるような言動の有無などを基準として個別に判断しています。例えば、雇用期間2ヶ月の労働契約が5回ないし23回にわたって更新を重ねた場合、実質上期間の定めのない契約が存在したとされた例や、期間1年、12回更新の販売社員について、解雇法理が類推適用されるとされた例があります。


また、タクシー会社の事案で、最初の期間満了時の雇い止めであっても、雇用期間を1年とする臨時運転手の雇用契約の制度創設以来、自己都合で退職する者以外は従来例外なく更新されている場合には、更新拒絶が相当と認められる特段の事情が無い限り、期間満了を理由とする更新拒絶は許されないと判示した例もあります。労働契約が複数回更新されておらず、最初の契約期間満了の際の更新拒絶が許されない場合もあるということで注意が必要です。


なお、これまでの話は、あくまでも雇い止めに際して解雇の要件が必要であるということであり、雇い止めが不可能であるということではありません。実際に、上記の契約期間が1年、12回更新の販売社員につき、雇い止めに際して解雇と同様の合理的な理由が必要とした事例では、結論としては勤務成績不良により雇い止めの合理的理由があるとされています。


その他、有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準についての厚生労働大臣告示及びこの基準についての通達など、目を通しておくべき点は他にもありますが、ここでは期間雇用労働者の雇い止めが無条件に許されるものではないということだけでも頭に入れておいて頂ければと思います。


(2006年2月執筆)


米村俊彦

昭和51年4月
 兵庫県神戸市生まれ
平成11年3月
 上智大学法学部卒業
平成12年4月
 司法研修所入所(54期)
平成13年10月
 弁護士登録(第二東京弁護士会)
 現在,栄枝総合法律事務所勤務

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