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会社清算の簡素化

テーマ:事業承継・再生・廃業

2006年2月16日

解説者

弁護士 松村昌人

新会社法(平成17年法律第86号)により、会社清算手続きには一定の簡素化が図られました。これにより、子会社の清算処理等がより簡易におこなえるようになります。以下では、現行商法との相違点等を概観します。


1.現行商法における清算手続

現行商法においては、清算手続きは、通常、以下の手順で実施されます。★部分は、改正があった主な箇所です(改正内容は後述)。


(1)解散
・株主総会による解散決議(商法404条2号)
・清算人の選任(商法417条)
・解散登記の申請


(2)清算人就職日から2週間内
・裁判所への解散届出(商法418条)★


(3)解散後遅滞なく
・株主に対する解散の通知(商法407条)


(4)清算人就職後遅滞なく
・株主総会による財産目録と貸借対照の承認(商法419条1項)
・裁判所への承認後財産目録、貸借対照の提出(商法419条3項)★


(5)清算人就職日から2月内
・債権者に対する債権申出の公告(商法421条)★
・債権者に対する債権申出の催告(商法422条)


(6)清算手続中の体制
・複数清算人の場合に清算人会設置(商法430条2項、259条等)★
・監査役は必要(商法420条1項)★
・監査役任期は4年(商法273条)★
・決算公告義務あり(商法430条2項、283条4項)★


(7)債権申出公告後2月以後
・債務の弁済(商法423条)
・中間利息控除(商法430条1項、125条)★


(8)債務弁済後
・残余財産の分配(商法425条)
・現物分配の規定なし★


(9)清算結了
・決算報告書の株主総会での承認(商法427条)
・清算結了登記の登記申請(商法430条1項、134条)
・裁判所へ書類保存者選任申請(商法429条)★


2.裁判所監督の廃止

商法では、解散事由等を裁判所届出(商法418条)、財産目録・貸借対照の提出(商法419条3項)を要求し、清算手続を裁判所の監督下に置いていました(非訟事件手続法136条の2、135条の25)。しかし、裁判所による監督の実際の必要性が小さいことから、新会社法では、通常清算手続については、上記規定を置かず、裁判所監督を不要としました。清算結了後の資料保存者についても、商法では、裁判所選任によるとしていましたが(商法429条)、新会社法では原則として清算人が帳簿資料の保存者になるものとして(会社法508条)、選任手続を省略しています。


3.債権者に対する債権申出公告の簡易化

商法では、債権者に対する債権申出のための官報公告を合計3回行うこととしています(商法421条)。しかし、各公告のための時間的間隔に関する規制がないことから、実際には、連続した三日間をもって官報公告をおこなうことがあり、債権者への周知の点からは合理性に乏しいとの指摘がありました。また、官報を定期的に購読している債権者は少なく、逆に、官報情報をweb上で確認する者にとっては一度公告があれば十分であるという実状もあります。そこで、迅速・簡素な清算の見地から、新会社法499条では、これを1回の公告で足りることとしました。


4.清算手続中の体制簡素化

商法では複数清算人の場合に清算人会を設置させ(商法430条2項、259条等)、監査役設置を義務づけていました(商法420条1項)。新会社法では、清算手続中であるという会社の実状に鑑みて、清算人会の設置を原則任意としました(会社法477条2項・3項参照)。また、監査役についても公開会社・大会社以外の場合にはこれを不要とし(会社法477条4項)、監査役を置く場合でも任期制限をなくしました(会社法480条2項、336条)。決算公告義務(商法430条2項、283条4項)についても、新会社法では、清算手続中の会社には課していません。


5.弁済等事務の合理化

商法では、弁済期が到来していない債権の弁済について、中間利息控除制度を設けていましたが(商法430条1項、125条)、煩雑であることから、新会社法ではこれを廃止しました。また、商法では、換価されていない残余財産がある場合に、現物のまま分配してよいかにつき規定がありませんでしたが、新会社法では現物分配を認めています(会社法504条、505条参照)。これにより金銭分配請求を関係者が望まない場合にまで、あえて、換価するという手間を省くことができるようになります。


(2005年9月執筆)


松村昌人
 第二東京弁護士会 倒産法制検討委員会委員(1999年4月〜)
 法律扶助協会相談登録弁護士(1999年10月〜)
 第二東京弁護士会 広報委員会委員(2000年4月〜)
 日弁連法務研究財団事務局員(2001年4月〜)
   
主要著書
 『民事再生法書式集[新版]』
  <共著>(二弁倒産法制検討委員会,信山社 2001)
 『ビジネスマンのための インターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001年)
 『インターネット事件と犯罪をめぐる法律』
  <部分執筆>(オーム社 2000)
 『詳解民事再生法の実務』
  <部分執筆>(第一法規出版 2000)
 『法律業務のためのパソコン徹底活用BOOK』
  <部分執筆>(トール 1999)
 『債権管理回収モデル文例書式集』
  <部分執筆>(新日本法規出版 1996)    等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年10月4日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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