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秘密保持契約について

テーマ:契約・取引

2006年3月 2日

解説者

弁護士 土橋央征

1 秘密保持契約について

昨今、契約交渉段階で、自らが保有する秘密情報を交渉相手方に開示しなくてはならない場合が増えています。ベンチャー企業にとっては、自社の技術などの技術情報や製品情報を保護する必要性は高いといえ、契約交渉段階での秘密情報の保護について特に留意すべきであるといえます。
これらの、秘密情報は不正競争防止法などで保護されることもありますが、そのためには営業秘密の要件(【1】秘匿性、【2】有用性、【3】非公知性)に該当する必要があり、該当したとしても、規制される行為は不正取得行為などに限定されます。そこで、契約交渉段階で、秘密保持契約を締結し、秘密情報に契約上の保護を与えることが考えられます。ここでは、契約交渉段階での秘密保持契約について実際上の留意点を概観していきます。


2 秘密保持契約で定めるべき事項と留意点

秘密保持契約で定めるべき事項は、一般的に<1>秘密情報の定義および秘密情報から除外される事由、<2>秘密保持義務およびその義務期間、<3>秘密情報によって知的財産権を付与しない旨、<4>秘密情報開示義務の不存在、<5>その他契約の一般条項です。
秘密保持契約では、必要な条項がもれなく記載されているかはもちろん重要ですが、自らが情報の開示者側なのか受領者側なのかも、条項の具体的中身を決める上で、重要になります。ここでは、立場が問題になりやすい<1>と<2>について概観します。


3 <1>秘密情報の定義について

一般に秘密情報の定義の仕方としては、事前又は事後に、開示者が適宜の方法で秘密である旨を表示した情報とするのが一般的であると思われます。また、公知情報については、秘密情報から除外するのが一般的です。ところで、秘密情報の定義の仕方については、自らが秘密情報の受領側であるのか開示側であるのかによって有利不利が変わってきますので注意が必要です。開示側であれば、秘密情報(=相手方が秘密保持義務を負う情報)の範囲を広くしたいですし、受領側であれば、自らの義務の範囲を狭くしたいのは当然です。
そこで、秘密保持契約を締結するに際して、自らが秘密情報を開示する側なのか、受領する側なのか、若しくは双方開示する場合なのかを留意の上、条項を定めるべきでしょう。具体的には、開示する側であれば、前記の方法以外にも、情報の内容からして明らかに秘密情報であるとわかる情報も秘密情報に当たる旨の条項を置くことで、秘密情報の範囲を広げることができます。一方、受領する側であれば、秘密である旨の明示は事前に限るとすれば、秘密情報の範囲を狭めることができます。双方開示する場合は、自らが受領する情報と開示する情報の内容・重要性を比較検討し、秘密情報の範囲を決するべきであると考えられます。


4 <2>秘密保持義務およびその期間について

秘密保持義務については、秘密保持契約の眼目ですので厳格な定めがなされます。秘密保持義務は、単に秘密を漏洩しないとするだけでなく、[1]人的制限、 [2]物的制限を加えることを要求する場合もあります。[1]については、受領者が法人の場合、当該案件の担当者以外には漏洩しないように規定することが考えられ、[2]については、秘密保持のために必要な実際上の施策(ハッキング防止、金庫での秘密情報記録媒体の管理など)を規定することが考えられます。また、秘密保持義務の一環として、契約終了後、直ちに秘密情報を相手方に返還することを定めるのが一般です。
秘密保持期間については、有期とするものと、無期限とするものがあります。情報の性質上、数年で公知化・陳腐化するようなものであれば、有期としても差し支えありませんが、開示側としては無期限としたいところでしょう。但し、無期限とした場合、受領者側としては、当該秘密情報を無期限に使用することができなくなるという重い義務を負うことになりますので、注意が必要です。


(2005年9月執筆)


土橋央征
   1979年生まれ
   2002年 司法試験合格
   2003年 京都大学法学部卒業
   2004年 司法研修所卒業、大阪弁護士会に弁護士登録
   土谷法律事務所所属

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年10月7日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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