本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

『裁判員制度がいよいよスタート!』

テーマ:労務一般

2006年3月 9日

解説者

弁護士 石渡真維

裁判員制度は、平成21年5月までに始まります。
裁判員としての呼出しは、基本的に誰に対しても行われる可能性がありますし、休日を返上して忙しく働いている人にも、その呼出しは待ってくれません。


1 裁判員制度とは?

裁判員制度とは、原則として国民の中から抽選で選ばれる裁判員6人と、裁判官3人が刑事事件を一緒に審理し、判決を行う制度です。
裁判員制度に類似の制度として、陪審員制度と参審員制度があり、裁判には、(1)事実認定(有罪か否かを決めること)、(2)法律評価の問題、そして(3)量刑の問題(有罪の場合どのくらいの刑罰に処するか)があります。
陪審制は、陪審員だけが(1)事実認定を行い、裁判官が(2)法律評価と(3)量刑を決するものを言い、参審員制は、参審員と裁判官が、(1)事実認定、(2)法律評価、(3)量刑決定の全てを合同で行うものを言います。
そして、日本で採用される裁判員制度は、裁判員と裁判官が一緒に(1)事実認定と(3)量刑決定を行いますが、(2)法律評価だけは、裁判官が単独で行う制度です。 ですから、みなさんも、有罪か無罪かを決定し、有罪の場合には、「懲役○年」という量刑まで決める権限を持つことになります。
この裁判員制度が適用されるのは、「一定の重大な犯罪」です。例えば、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪などが予定されています。ただし、裁判員に対して危害が発生するなどの危険が予想される場合には、これまでどおり裁判官のみで裁判を行う余地も残されています。


2 誰が裁判員になるの?

それでは誰が裁判員となるのでしょうか。
裁判員については、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律に定められていますが、裁判員になるための要件は、日本国民で、年齢満20歳以上の者とされています。
ただし、禁固以上の前科がある人などは、資格がないとされています。
また、国会議員や司法関係者(裁判官、検察官、弁護士)、裁判所の職員、あるいは事件関係者なども、裁判員に選ばれることはありません。
裁判員の選び方は、公職選挙人の名簿から、まず抽選で予備軍が選ばれます。そして、その予備軍は、裁判員候補者名簿というものに掲載され、本人にも通知されます。
その後、実際に事件が発生すると、この候補者名簿から、更に抽選で必要な人数の裁判員候補者が選ばれ、検察官や弁護人の意見を入れたうえで、裁判員が決定されることになります。
裁判所の試算によると、裁判員になる可能性は(地域差もありますが)、1000人に1人から5人くらいになりそうです。
そうすると、身近な人が裁判員になる日もそう遠いことではありません。


3 裁判員は辞退できるの?

では、裁判員に選ばれた場合、「納品間近で忙しい!」などの理由で裁判員を辞退できるのでしょうか。
答えはNOです。基本的に裁判員を辞退することはできません。
ただし、高齢(70歳以上)の方や、重い病気を患っているような場合、親族の介護などが必要な場合、あるいは学生などは、辞退することができる場合があるようです。
裁判は、みなさんの負担を軽減するために、連日審理を入れ、数日で終わるように配慮される予定ですが、裁判員になることで事業に大きな影響が出て、著しく損害が発生するおそれがある場合を除いて、単に「多忙」を理由に裁判員を断ることはできませんので、経営者の方などは、相応の覚悟をしていただく必要があるでしょう。ただし、裁判員には裁判所までの旅費、宿泊費や日当が支払われることになっています(具体的な額は今後決められます。)。
なお、従業員が裁判員に選ばれて、仕事を休んだことを理由に、解雇などの不利益な扱いをすることもできませんので、注意が必要です。法律に「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと、その他裁判員、補充裁判員、若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱をしてはならない」と規定されているからです。


4 トラブルの防止のために

裁判員は、裁判に出席し、裁判の内容について深く関与することになるため、裁判で見聞きした情報を外部に漏らすことを禁止されます。例えば、被害者などの事件関係者の私的な情報や、裁判員や裁判官が裁判の中で述べた意見などを外部に漏らすことは禁じられています。また、事件のトラブルに巻き込まれることを嫌がる方もいると思いますが、この点は、裁判員の名前や情報は公にすることが禁じられ、誰が裁判員になったかということは、外部には公表されませんので、ご安心ください。


国民が裁判に参加することによって、裁判に対する国民の理解が深まり、裁判への信頼も向上することが期待されます。裁判員になることは国民の義務ですが、権利でもあるのです。
さっそく裁判員に選ばれた場合は、ぜひそのチャンスを生かし、積極的に審理にご参加ください。それでは、裁判所でお目にかかりましょう!


(2006年2月執筆)


弁護士 石渡真維 いしわたり まい

弁護士(第二東京弁護士会所属)
1999年 上智大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 弁護士登録
現在 山田・尾崎法律事務所所属(港区赤坂7−5−7赤坂光陽ビル5階)

【担当業務】
1 企業法務一般 契約書作成および確認業務
            労働、人事、セクシュアル・ハラスメント問題等のアドバイス
            不動産業務等に関するアドバイス及び訴訟
            製造物責任に関する訴訟
            民事再生、破産申立等
            株主総会対策等
            その他、知的財産に関係する問題一般
2 一般民事事件 離婚、相続等家事事件一般
            消費者問題、労働問題等一般
            セクシュアル・ハラスメント問題
            破産、民事再生、任意整理等多重債務問題
3 刑事事件     刑事事件一般および少年事件

【講演等】
地方公共団体、各種企業等で、講師等を行っている。
最近の主な講師内容
2004. 9.26 企業における賃貸住宅災害対策セミナー講師
2005. 1.19 相模原市職員人権研修
2005. 2.13 日本ナレッジセンター アカデミックセクハラ講演
2005. 5.31 産業労働局男女平等推進研修
2005. 8.30 東京都特別区人権研修
2005.10.13 東京都労働相談情報センター ポジティブアクションリーダー養成講座
2005.10.15 私立大学におけるアカデミックセクハラ講演
2005.11. 8 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー
2006.1. 18 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー

【所属会等】
関東弁護士連合会 法教育委員会委員
国学院大学ロースクール 学習アドバイザー
千葉県主催、DVを考える若者フォーラムインちば実行委員会委員(2004年)
関連記事

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ