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新会社法下における資金調達-株式

テーマ:資金調達

2006年4月27日

解説者

弁護士 土橋央征

1 はじめに

既にご説明したとおり、新会社法においては、小規模な会社を前提に規定が組み替えられました。
その中で、今回は、新株発行の手続についてご説明します。


2 募集発行の概念

新株発行手続をご説明する以前に、募集発行という概念について、簡単にご説明します。 新会社法は、従来の新株発行と自己株式の処分とを併せた概念として、募集発行(会社法199条1項柱書括弧書、以下法)という概念を設けました。従来の商法では、自己株式の処分については、新株発行の手続に準じていましたが、一部規定(現物出資の方法で株式を取得する)の適用を巡って解釈上争いがありました。しかし、新会社法自己株式の処分についても新株発行と同様の募集発行に関する規定に服させ、法体系を合理化しています。


3 公開会社概念について

新会社法では、公開会社かどうかにより、規制が変わってきます。公開会社とは、発行しているすべての株式について譲渡制限の定めをしている訳ではない会社のことです。若干わかりにくいので、言い換えると、非公開会社とは、発行しているすべての株式について譲渡制限の定めをしている会社のことであり、公開会社とは非公開会社以外の会社を指します。なお、公開会社と上場会社とは異なる概念であることに注意が必要です。


4 募集発行の手続-非公開会社の場合

募集発行の手続に関しては、非公開会社における規制が原則形態となっています。すなわち、譲渡制限株式の募集をする場合は、募集事項を株主総会の特別決議で決定し、譲渡制限株式以外の株式を募集する場合は、原則的に株主総会により募集事項を決定するが、一定の範囲(法200条1項)で取締役会(取締役会制度を置かない会社においては取締役)に委任できるとします。


5 募集発行の手続-公開会社の場合

一方、公開会社については、譲渡制限株式を募集する場合は、前記非公開会社の場合と同様ですが、譲渡制限以外の株式を募集する場合は、取締役会で募集事項を決することとなります。


6 募集発行の手続-公開会社の場合

株式を募集する場合、株主に株式の割当を受ける権利を付与できます(法202条1項)。これは、従来の商法で新株引受権と呼ばれていたものを改正したものです。新株引受権と基本的に規定に変更はありませんが、新株引受権であれば、一定の場合、譲渡することが認められていましたが、新会社法でそれをしようとすれば、新株予約権としてとして割り当てなくてはならないこととなっています。


7 有利発行の場合

有利発行(株主以外のものに対して特に有利な払い込み金額で発行する場合)については、公開会社・非公開会社ともに株主総会での特別決議を要します。
なお、従来の商法では、譲渡制限会社が第三者に有利な価格で新株を発行しようとする場合、別々の株主総会特別決議を行う必要がありました。しかし、新会社法においては、非公開会社が第三者に有利な価額で募集発行する場合、まとめて決議すれば足りることとなり、制度が合理化されました(法199条、200 条)。


8 現物出資に関する改正

現物出資についても、新会社法において規制が緩和されました。自己株式の処分についても、現物出資が認められるようになったのは上述したとおりです。さらに、従来の商法では、金銭債権によって現物出資する場合でさえ原則的に裁判所が選任する検査役の調査を要求していましたが、新会社法では、既に履行期が到来している金銭債権を債権額以下で出資する場合には検査役による調査を不要としています(法207条9項5号)。また、現物出資された財産の価額が不足した場合についても、従来の商法では、取締役に無過失で価格填補責任を負わせていましたが、新会社法では、過失があった場合にのみ(但し過失が無かったことの立証は取締役が負う、法213条2項)填補責任が生じることとなりました。


9 まとめ

新会社法においては、新株の発行と自己株式の処分が募集発行という概念にまとめられたことや、さらに公開会社か非公開会社で規定がことなることとなったことに注意が必要です。
また、現物出資がやりやすくなったことにより様々な出資者から出資を募りやすくなったといえ、ベンチャー企業などでの資金調達が容易になったといえるのではないでしょうか。


<参考>会社法条文(法務省)


(2005年11月執筆)


土橋央征
   1979年生まれ
   2002年 司法試験合格
   2003年 京都大学法学部卒業
   2004年 司法研修所卒業、大阪弁護士会に弁護士登録
   土谷法律事務所所属

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年12月20日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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