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新会社法下における資金調達〜株式2

テーマ:資金調達

2006年5月18日

解説者

弁護士 土橋央征

1 はじめに

前回は、新株発行手続についてご説明しましたが、今回は株式の内容についてご説明します。
会社法改正の重要なポイントは、小規模会社を前提に規定を組み替えたことであるということは前回ご説明した通りです。今回の改正では、株式の多様化が図られ、定款自治がより一層認められるようになりました。これにより、資金調達・支配関係を多様化させることができるようになりました。以下では、発行しうる株式の内容について、具体的に見てゆきます。


2 全部の株式の内容として特別の定めができる場合(会社法107条)

会社法107条では、全部の株式の内容として特別の定めができる場合を規定します。全部の株式の内容として特別に定めることができるのは、(i)譲渡制限、(ii)株主から会社に対する取得請求権、(iii)会社による強制取得権の3種類です。


3 異なる内容の2種類以上の株式を発行できる場合(いわゆる種類株式)

会社法108条では、内容の異なる2種類以上の株式を発行できる場合を規定します。会社が内容の異なる株式として発行しうるのは、<1>剰余金の配当、<2>残余財産の分配、<3>議決権制限、<4>譲渡制限、<5>取得請求権、<6>強制取得権(以上<4>ないし<6>は会社法107条でも既出)、<7>総会決議に基づく全部取得、<8>種類株主総会の承認(つまり拒否権付種類株式)、<9>選解任種類株式です。


4 それぞれの株式の内容及び利点について

新会社法107条及び108条においては、上記のような内容の株式を発行できると規定されています。但し、107条の(i)(ii)(iii)と108条の<4><5><6>は二つの条文で定められます。つまり、例えばその全部を譲渡制限株式とすることもできるし、その一部を譲渡制限株式とすることもできるという趣旨です。
では、上記の株式のうち、<3><5><6><7>について内容と利点について簡単に記載します。


5 議決権制限株式について

議決権制限株式とは、株主総会の全部又は一部の事項について議決権を行使できない株式のことです。従来の商法では、議決権制限株式が認められていましたが (商法225条)、全ての会社において、議決権制限株式が2分の1を超えてはならないとされていました。今回の改正では公開会社にのみ同様の規制が課されています(会社法115条)。議決権制限株式のメリットは、従来の支配関係に変動を与えず、資金調達ができることです。又、完全な議決権制限株式については、株主総会の招集通知をする必要が無く、事務作業量を軽減できます。


6 取得請求権・強制取得権

取得請求権付株式とは、株主がその株式について会社に取得を請求できるような株式を言います。一方、取得条項付株式とは、一定の事由が生じた場合に、株主ではなく会社側が取特権を有するとする株式を言います。これらの概念は、従来の商法では自己株式の取得、株式消却、転換株式と呼ばれていたものです。これを、新会社法では、株式の取得という観点からこれを整理統合しました。又、取得する際の対価として社債やその他の財産が認められます。取得請求権付株式のメリットは、様々なリスク・リターンを設計した株式を発行できることとなり、資金調達を容易にできることにあります。又、取得条項付株式のメリットは、いわゆるポイズン・ピルとして機能しうる(但し正当事由が必要です)ことでしょう。例えば、敵対的買収者が現れた場合、株主総会の決議により、議決権制限株式へ転換(議決制限権株式を対価として取得する)し、支配関係を守ることもできます。


7 総会決議に基づく全部取得

全部取得条項付種類株式とは、株主総会決議に基づき当該種類株式の全部を取得することができる株式を言います。これは、会社更生手続におけるいわゆる「100%減資」と同様の機能を有するとされていますが、それにとどまらず敵対的買収に対する防衛策としても有効であると言われています。全部取得条項付株式の取得は、<1>定款変更により既存株式を全部取得条項付株式に変更する、<2>定款変更により新たな種類株式の発行を可能にしこれを発行する、<3>全部取得条項付株式を会社が取得する旨の決議を行うことによってなされます。これにより、全株主の同意を得ることなく、株主の入れ替えを行うことができます。これが、いわゆる100%減資としてだけではなく、敵対的買収に対する防衛策ともなりうると言われる理由です。


<参考>会社法条文(法務省)


(2006年1月執筆)


土橋央征
   1979年生まれ
   2002年 司法試験合格
   2003年 京都大学法学部卒業
   2004年 司法研修所卒業、大阪弁護士会に弁護士登録
   土谷法律事務所所属

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2006年1月24日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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