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派遣と請負の違いとは

テーマ:労務一般

2006年5月25日

解説者

弁護士 米村俊彦

ここ最近、人材派遣会社のコマーシャルを見かけることが多くなったように思います。
人材派遣の分野は、平成15年に労働者派遣法が大きく改正され(平成16年3月1日施行)、派遣可能な業種が拡大していることからも分かるとおり、拡大傾向にあります。
とはいえ、労働者派遣が無条件に許されているわけではなく、派遣期間の制限がある場合があり、派遣先管理台帳を作成しなければならないなど、様々な法規制がかけられています。そのため、実質的には労働者派遣でありながら、派遣法の法規制を免れるために、形式上「請負」であるとしているような場合や、そもそも「派遣」と「請負」の違いが明確に理解されていないために、その実質は労働者の派遣であるのに、請負契約の形式をとっているような場合も散見されます。
例えば、清掃請負業者が、発注者から、自社ビルの清掃業務を引き受け、請負業者がその従業員を発注者の自社ビルに行かせ、清掃請負業者の従業員が清掃をするのですが、その日の掃除の箇所は発注者側の担当者から指示されるとか、清掃請負業者の報酬が、その従業員が発注者のビルで掃除をした時間に比例して決まるといった場合には、その実質は請負ではなく派遣であると評価される可能性が高いでしょう。そのような場合、清掃請負業者は、派遣業の許可や届出などの手続きを踏まずに派遣業を行っていることになるわけであり、問題となります。


そこで、今回は、派遣と請負の違いについて再確認をしたいと思います。
まず、派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいいます(労働者派遣法2条1項参照)。
これに対して、請負とは、請負人が仕事の完成を約束して仕事を引き受け、発注者が仕事の結果に対して報酬を支払うことをいいます(民法632条参照)。
基本的には、労働者派遣の場合は、派遣先が派遣労働者に対して業務に基づく指示をすることができますが、請負の場合には、注文者は請負人に対して仕事の注文をすることはできても、より具体的な作業上の指揮や命令はできないという違いがあります。よって、上記の清掃業者の事例では、清掃の場所などは、その日毎に発注者が指示をするのではなくて、請負契約の時点で仕事の内容として清掃の場所やその場所にかける人員の人数などをきちんと決めておく必要があり、また、清掃請負業者の従業員に対する指示は請負業者が自ら行う必要があるわけです。
このようにそれぞれの条文の文言からでもある程度は違いが分かりますが、より明確な基準として、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示」(昭和61年4月17日労働省告示37号)が下されています。
この基準によると、請負として認められるためには、
(1) 自己の雇用する労働者の労働力を、自ら直接利用するものであること(次のイロハに該当することが必要)
イ 業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行う
ロ 労働時間等に関する指示その他の管理を自ら行う
ハ 企業における秩序の維持、確保等のための指示その他の管理を自ら行う
(2) 請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理すること(次のイロハに該当することが必要)
イ 業務の処理に関する資金につき、全て自らの責任の下に調達し、かつ支弁する
ロ 業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負うこと
ハ 単に肉体的な労働力を提供するだけでなく、自己の専門的な技術などに基づいて業務を処理すること
これらに当てはまることが必要となります。実質的には派遣であるのに請負を装うことを厳しく制限していると言えます。
業務請負を行っている会社の方は、派遣であるとみなされる恐れはないか、上記告示を下に今一度チェックされてみるとよいのではないでしょうか。


(2006年5月執筆)


米村俊彦

昭和51年4月
 兵庫県神戸市生まれ
平成11年3月
 上智大学法学部卒業
平成12年4月
 司法研修所入所(54期)
平成13年10月
 弁護士登録(第二東京弁護士会)
 現在,栄枝総合法律事務所勤務

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