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情報公開法と企業情報

テーマ:企業統制・リスク管理

2006年6月 1日

解説者

弁護士 人見勝行

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)が制定されてから、約7年に至ります。さて、情報公開法に基づく情報公開は、開示を請求する文書を特定すれば、何人も、行政機関の長に対して請求することが可能であり、請求を受けた行政機関は、開示を求める文書が不開示情報に該当しない限り、当該文書を必ず開示しなければならないこととされています。そして、情報公開法は、本来的には、行政機関の保有する情報の公開を図ることにより、国民に対して行政活動の内容を説明するとともに、公正で民主的な行政を推進することを目的とするものです(情報公開法第1条)。したがって、行政処分が違法であるとして行政訴訟を提起するための準備行為として、当該処分を行った行政機関の長に対して情報公開を請求し、証拠を収集することは、情報公開法の本来的な目的に沿ったものということができます。


しかしながら、情報公開法に基づいて開示される情報は、必ずしも行政処分に関するものに限定されるわけではありません。例えば、企業が行政に対して各種の届出を行う場合には、当該届出に関係する書類を提出しなければなりません。また、各種の許認可を取得する際には、行政の要請に応じて、企業の情報が記載された様々な書類を提出することになります。さらに、行政指導や立入検査が行われた場合にも、各種の資料を提出することになります。そして、提出した書類は、行政が保有する限り、行政文書として情報公開の対象となる場合があるのです。したがって、企業の側からみれば、例えば、商法の規定に基づいて公告する計算書類や、証券取引法の規定に基づいて内閣総理大臣に提出する有価証券報告書とは異なり、本来的に開示を予定していない各種の情報が、突然、国民に対して開示される場合があることに留意しなければなりません。


確かに、情報公開法は、法人その他の団体に関する情報の開示を請求された場合、(1)開示することによって法人等の権利や競争上の地位などの正当な利益を害するおそれがあるものと、(2)行政機関の要請を受けて開示しないことを条件として任意に提出されたものであって、通例として開示しない扱いであり、当該条件を付けることが情報の性質や当時の状況に照らして合理的であるものに関しては、国民の生命、健康、生活又は財産を保護するために開示する必要がある場合を除き、開示をする必要がない旨を規定しています(情報公開法5条2号)。しかしながら、企業が違法行為に及んだ場合に、(1)や(2)に該当する可能性は、高くないものと言わざるをえません。


具体例を挙げますと、個人情報保護法第32条によれば、主務大臣は、勧告や是正命令を行うか否かの判断の資料とするために、個人情報取扱事業者に対して、個人情報の取扱いに関する報告をさせることができます。そして、仮に、勧告や是正命令を行うまでに至らない場合でも、行政機関の下には、報告を行った際の書類が保管されます。そして、例えば、訴訟等に用いる証拠を収集する目的で、当該書類の開示を請求することも考えられるのです。また、下請代金支払遅延等防止法第9条によれば、親事業者の下請事業者に対する製造委託等に関する取引の公正を保つために必要がある場合には、公正取引委員会は、親事業者や下請事業者に対して取引に関する報告をさせ、あるいは、事業所に立ち入って帳簿書類等を検査することができます。そして、当該報告や検査によって取得した書類も、開示請求の対象となる可能性があります。さらに、障害者雇用促進法に定められる一定割合の障害者を雇用していないことも、情報公開請求により明らかにされる可能性があるのです。


そして、開示請求が認められれば、コンプライアンスの遵守を声高々に提唱している企業が、実は違法行為に及んでおり、単に違法行為が表面化していないだけのことであることなど、容易に判明してしまいます。当然、情報公開により企業の違法行為が判明した場合には、企業に対する社会的評価の下落を免れません。すなわち、コンプライアンスの遵守は、名目だけのものでなく、実を伴うものでなければならないのです。


(2006年2月執筆)


このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2006年2月17日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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