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『債権を差し押さえるということ(前編)』

テーマ:契約・取引

2006年6月29日

解説者

弁護士 石渡真維

強制執行については、これまでのコラムでも触れたものがあります。
そこで今回は特に、「債権を差し押さえる」ということについて重点を置いてみたいと思います。
前編では、どういう場合に強制執行ができるのかを見ていきましょう。


1 強制執行ってなに?

貸金や売掛金等の回収は、どうしたらよいのでしょうか。
あなた(あなたの会社)が、商品を売った相手が約束の期日を過ぎても代金の支払いをしない場合、どうしますか。
一番の王道は裁判を起こして勝つことです。
しかし、裁判であなたに対して「(相手があなたに)500万円を支払え」という勝訴判決が出たとしても、相手が簡単にお財布からお金を出してくれるとは、残念ながら保証されません。相手(以下、「債務者」といいます)は、もともと支払いに応じなかった人ですから、裁判に負けたからといってすぐに支払いをするとは限らないのです。
その場合、債務者からお金を強制的に回収したり、債務者の不動産などを強制的に売却して代金から債権の回収を行うことになりますが、その裁判所の手続きを「強制執行」といいます。
具体的には、債務者が持っている動産(自動車、機材、在庫商品など)、不動産(土地、家、工場建物など)そして債権(債務者が誰かに対して金銭の支払いを要求できる権利)など、を差し押さえることが考えられます。
ということは、別の見方をすると、債務者が動産も、不動産も、債権も持っていない場合、強制執行はできないことになります。あるいは、債務者が持っているかもしれないと思われる財産を、あなたが探し出せない場合でも、強制執行はできません。
裁判所はあなたの代わりに債務者の財産を探してくれるわけではないのです。
あくまでも、あなたが債務者の財産を見つけてきて、初めて強制執行をしてくれるのです。
ですから、あなたが、債務者の財産を見つけられない場合、「判決書き」は「ただの紙切れ」に等しくなってしまいます。
そこで、わざわざ裁判を起こす際は、「勝訴判決を取った場合、債務者から、本当にお金が回収できる現実的可能性があるか」を十分に検討する必要があります。
裁判をしても、お金が一銭も回収できないのでは、裁判費用の分が、ますます赤字になってしまう危険があるからです。
ただし、裁判をして勝訴判決を取ると、当面はただの紙切れであったとしても、時効の面では有利になります。
裁判をしないと、その債権は着々と時効にかかっていきますが、裁判を申し立てると時効は停止します。そして裁判で勝訴判決を得ると、その判決で認められた権利は、判決確定日(通常、判決が相手方に届いてから2週間です。)の翌日からカウントして10年、時効にかからなくなるのです。そこで、時効にかかるまで、ゆっくり債務者の財産を探し、見つけ次第、強制執行することが可能となります。その意味では、裁判をして判決を取っておくということにも、相応の意義があります。


2 債権の差し押さえとは?

強制執行のうち、動産と不動産を対象とする強制執行については、ある程度想像が出来ると思いますが、債権の強制執行とはどのようなものでしょうか。
差し押さえの対象となる債権は、あなたの債務者が第三者に対して有している債権、例えば預金債権、売掛金債権、給与債権等々です。
この債権の典型的な例は、「預金」です。
よく「預金=お金」と思いがちですが、正確に言うと「預金」は、銀行に対して、預けているお金を払い戻してくれるように請求できる権利なのです。
そこで、あなたは、勝訴判決をもって、債務者が銀行に対して持っている預金債権を差し押さえることができます。具体的には、銀行に対して、裁判所から債務者やその他の第三者への払い戻しを禁じる命令を出してもらい、その結果、確保された預金から、あなたが回収を行うことになります。


(2006年6月執筆)


弁護士 石渡真維 いしわたり まい

弁護士(第二東京弁護士会所属)
1999年 上智大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 弁護士登録
現在 法律事務所オーセンス、パートナー弁護士
       〒206-0032 港区六本木3丁目2番24号
       http://www.authense.jp/

【担当業務】
1 企業法務一般 契約書作成および確認業務
            労働、人事、セクシュアル・ハラスメント問題等のアドバイス
            不動産業務等に関するアドバイス及び訴訟
            製造物責任に関する訴訟
            民事再生、破産申立等
            株主総会対策等
            その他、知的財産に関係する問題一般
2 一般民事事件 離婚、相続等家事事件一般
            消費者問題、労働問題等一般
            セクシュアル・ハラスメント問題
            破産、民事再生、任意整理等多重債務問題
3 刑事事件     刑事事件一般および少年事件

【講演等】
地方公共団体、各種企業等で、講師等を行っている。
最近の主な講師内容
2004. 9.26 企業における賃貸住宅災害対策セミナー講師
2005. 1.19 相模原市職員人権研修
2005. 2.13 日本ナレッジセンター アカデミックセクハラ講演
2005. 5.31 産業労働局男女平等推進研修
2005. 8.30 東京都特別区人権研修
2005.10.13 東京都労働相談情報センター ポジティブアクションリーダー養成講座
2005.10.15 私立大学におけるアカデミックセクハラ講演
2005.11. 8 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー
2006.1. 18 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー

【所属会等】
関東弁護士連合会 法教育委員会委員
国学院大学ロースクール 学習アドバイザー
千葉県主催、DVを考える若者フォーラムインちば実行委員会委員(2004年)

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