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『債権を差し押さえるということ(後編)』

テーマ:契約・取引

2006年7月 6日

解説者

弁護士 石渡真維

前編では、どういう場合に強制執行ができるのかということと、預金債権の差押えについて書きました。後編では、給与の差押えと、差押さえ手続について見て行きましょう。


3 給与の差し押さえについて

債務者の給与(サラリー)も、預金と同じ債権です。債務者がサラリーマンであれば、債権の回収はこの給与を差し押さえることが効果的です。
給与は、債務者が自分の働いている会社に対して支払いを要求できる権利です。そこで、債務者に対して債権を有しているあなたは、債務者に代わってその会社に対して、債務者ではなく、あなたに支払うように要求することができます。
ただし、給与は、債務者が生活の糧とするものであり、全額を回収してしまうと、債務者やその家族が困窮してしまう危険があります。
そのため、法律で、給与については差し押さえできる範囲が限定されています。
具体的には、月給のうち、4分の1までを差し押さえることが許されます。よって、月給の4分の3は差し押さえることができません。
(ここで言う「給与」は、額面ではなく、税金等を除いた部分を指します。)
ただし、所得が高く、債務者の手元に残すべき月給の4分の3が、33万円を超える場合は、33万円を超える部分も回収することが許されます。
一般的な家庭における一ヶ月の平均生活費は、現在、33万円程度と推定されることから、33万円を超える額であれば差し押さえても構わないと考えられているのです。
例えば、給料が40万円の人から回収できるのは4分の1の、10万円です。
一方、給与が80万円の人の4分の1は20万円ですが、残りが60万円もあります。そこで、債務者の手残りは33万円のみとし、80万円−33万円=47万円を回収することが許されるのです。
一回で債権を回収できなかった場合は、回収できるまで強制執行手続を繰り返すこととなります。


4 債権差し押さえの手続き

前回で触れたように、裁判所は、債務者の財産を探してくれません。
債権の差し押さえをするには、まず、債務者が持っている債権を探し出す必要があります。
給与債権の場合は、債務者が勤めている会社を特定することになりますし、預金債権の場合は、どこの銀行口座に預金を持っているかを探すことになります。
なお、預金債権については、一般的に銀行名と支店までは特定することが必要となりますが、残高や、詳しい口座の種類、口座番号等までは分からなくても構いません。
ただし、預金残高があまりないと、空振りに等しい結果になってしまったり、何度も強制執行手続をしなければならなくなりますから、なるべく残高の多い預金を探す必要があります。
また、差し押えられるのは原則として、債務者本人の名義の債権に限られますので、子供や配偶者名義のもの、あるいは会社に対する債権であれば、代表取締役個人名義のものなどは差し押えることができません。
探し方は、各事案によって、さまざまです。
これまで取引がある債務者の場合であれば、取引関係を洗い出すなどしますが、任意に支払いに応じない債務者のほとんどは、財産がなく支払えないことが多いので、強制執行においては、債務者の財産を見つけるのが一番の難関でしょう。
そして、債務者の財産を特定することができた場合、債務者の住んでいる場所(会社の所在地)の地方裁判所に対して、債権の差押命令を出してくれるよう申立をします。裁判所は、勝訴判決などを検討し、差押が適法と判断すると、銀行であれば預金の払い戻しを禁じ、雇い先会社であれば給与の支払いを禁じる命令を発することとなります。


5 長い道のり

前回と今回のコラムで申し上げてきたように、支払いをしてくれない人から、お金を回収するには、それなりの長い道のりと手間がかかります。
そのため、額が小さい場合は、回収をあきらめて泣き寝入りすることも多くあります。
なるべく事前に、保証人をつけたり、担保を取ったり、あるいは前払いにしてもらうなど、予防策を取ることが肝心となります。


(2006年6月執筆)


弁護士 石渡真維 いしわたり まい

弁護士(第二東京弁護士会所属)
1999年 上智大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 弁護士登録
現在 法律事務所オーセンス、パートナー弁護士
       〒206-0032 港区六本木3丁目2番24号
       http://www.authense.jp/

【担当業務】
1 企業法務一般 契約書作成および確認業務
            労働、人事、セクシュアル・ハラスメント問題等のアドバイス
            不動産業務等に関するアドバイス及び訴訟
            製造物責任に関する訴訟
            民事再生、破産申立等
            株主総会対策等
            その他、知的財産に関係する問題一般
2 一般民事事件 離婚、相続等家事事件一般
            消費者問題、労働問題等一般
            セクシュアル・ハラスメント問題
            破産、民事再生、任意整理等多重債務問題
3 刑事事件     刑事事件一般および少年事件

【講演等】
地方公共団体、各種企業等で、講師等を行っている。
最近の主な講師内容
2004. 9.26 企業における賃貸住宅災害対策セミナー講師
2005. 1.19 相模原市職員人権研修
2005. 2.13 日本ナレッジセンター アカデミックセクハラ講演
2005. 5.31 産業労働局男女平等推進研修
2005. 8.30 東京都特別区人権研修
2005.10.13 東京都労働相談情報センター ポジティブアクションリーダー養成講座
2005.10.15 私立大学におけるアカデミックセクハラ講演
2005.11. 8 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー
2006.1. 18 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー

【所属会等】
関東弁護士連合会 法教育委員会委員
国学院大学ロースクール 学習アドバイザー
千葉県主催、DVを考える若者フォーラムインちば実行委員会委員(2004年)

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