本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

スタートアップガイド

J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト

  • J-Net21とは
  • スタートアップガイド
中小機構
  • メルマガ登録
  • RSS一覧
  • お問い合わせ

HOME > 経営をよくする > 法律コラム

法律コラム


[人事・労務|2007年2月15日]
弁護士 石井尚子

『セクハラと会社の責任』

弁護士 石井尚子

ここ数日、大臣のセクシャルハラスメント発言が問題になっています。私も、職場等で受けたセクシャルハラスメントの相談を受けることも多いので、今回はセクシャルハラスメントと会社の責任について書いてみようと思います。

セクシャルハラスメントに関しては、男女雇用機会均等法において事業主に一定の配慮が求められており、指針において
・防止のための方針の明確化及びその周知・啓発
・相談・苦情への対応
・職場におけるセクシャルハラスメントが発生した場合の迅速かつ適切な対応
を採るべきとされています。
多くの会社では、この指針に基づきなんらかの対策を採っているものと思いますが、実際には、相談窓口が設けられていても異性の担当者で相談がしにくい等の問題があったり、事案が生じた場合の対応方法があらかじめ定められていなかったり、定められていても機能していないため、実際にセクシャルハラスメントの訴えがあっても調査すらせずに放置したり、当事者間の解決に委ねる等、迅速かつ適切な対応がなされていないという場合もあります。
セクシャルハラスメントの相談に見える方はセクシャルハラスメントを受けたこと自体について憤りを感じているのはもちろんですが、ほとんどの方は、「セクシャルハラスメントを会社に訴えても十分な対応をしてくれなかった。」と会社に対する不満を口にします。まだまだ、セクシャルハラスメントに対する取り組みが十分でない会社が多いなというのが実感です。

セクシャルハラスメント対策に真剣に取り組むことは、会社としてのリスク管理という側面からも重要なことだと思っています。
加害者が一社員にすぎなかったとしても、会社は社員の業務中の行動につき、「使用者」としての責任がありますから、社員が行ったセクシャルハラスメントにつき、会社としても不法行為責任を負っておりますので、本人同士の問題ということで放置することは許されません。
会社がセクシャルハラスメントに対して十分な対応をしてくれないと感じた場合、被害者の怒りの矛先は、加害者のみならず、会社にも向かいます。被害者から法的手段を採られた場合、企業のイメージが悪化するのはもちろんですが、裁判という通常の業務以外のものに膨大な労力が必要になります。
裁判が起こされた場合、弁護士との打ち合わせ、裁判準備のための資料の収集、関係者からの事情聴取など膨大な作業が必要になり、通常の業務に支障を来すこともあります。
裁判で行うこのような作業は、セクシャルハラスメントの調査と重なるものです。セクシャルハラスメントを受けたという訴えがあった時点で、きちんと調査して、対策を採っていれば、裁判にかけるコストは不要だったともいえるのです。セクハラを防ぐための防止策を採ることはもちろんですが、セクハラの事実が発覚した後に、会社としてどのような対応を採るかが非常に重要だと思います。
また、社員にとって、職場環境というのは非常に重要です。セクシャルハラスメントが起こっているということは、被害者本人はもとより、他の社員にとっても、居心地の悪い職場になっているということに他なりません。これに対して、会社が、毅然とした対策を採らず放置すれば、社員の士気が低下し、勤労意欲を失わせ、引いては会社の仕事や業績にも支障を来すことになります。

今年の4月からは、男女雇用機会均等法の改正法が施行され、事業者のセクシャルハラスメント対策が義務化されます。これに伴い、新たに9項目の対策が義務づけられることになります。
セクシャルハラスメントの問題はどこの会社でも起こりうる問題です。自分の会社は大丈夫と決めつけずに、「被害者がいる。」という前提で、被害者の立場にたって、被害者に利用しやすく、納得できる対策を講じる必要があります。
この機会に、一度会社でのセクシャルハラスメント防止対策が十分なものかどうかを見直してみてはいかがでしょうか。

(2007年2月執筆)

弁護士  石井尚子(いしい なおこ)

  昭和53年1月 東京都生まれ
  平成13年3月 東京大学法学部卒業
  平成14年10月 司法試験合格
  平成15年4月 司法研修所入所(57期)
  平成16年10月 弁護士登録(第二東京弁護士会)
  現在、栄枝総合法律事務所勤務

(C) e-hoki/新日本法規出版
e-hoki/新日本法規出版がネットワーク上で提供するコンテンツの著作権は、原則として、e-hoki/新日本法規出版に帰属します。著作権者の承諾なしに、無断で転用することはできません。

前の記事次の記事


このページの先頭へ