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地域ブランド

テーマ:デザイン・ブランド

2006年7月13日

解説者

弁護士 小川憲久

ある地域の特産品にその「地域名」+「商品名」がつけられたいわゆる地域ブランド商品が消費者の間で人気が高まっています。例えば、夕張メロン、魚沼産コシヒカリ、鹿児島黒豚、関サバ・関アジなどの食品や南部鉄器、有田焼、博多人形などの工芸工業製品など数多くの商品が地域ブランドとして認識され、地域の活性化に寄与しているといえます。
ところで、従前、この「地域名」+「商品名」という文字の組合せのブランドは商標法によって原則として商標登録を受けることができないとされていました。産地を示す地域の名称と商品の名前との組合せではいかなる事業者の製品であるのか区別ができないということと、そのような商標を特定の事業者に独占させることは社会通念上好ましくないというのが理由です。ところが、地域ブランドを法的に保護できないとなると、当該地域でない事業者の商品にも地域ブランドをつけることが許されることになり、人気に便乗した類似商品や偽装商品が出回って、商品の品質を維持向上し地域ブランド確立のために費やされた努力が無に帰してしまうことになりかねません。そのため、地域事業者の団体が、「地域名」+「商品名」+「図形」あるいは特別な字体の文字による組合せで商標登録を受けたり、地域ブランドを強力に宣伝することにより全国的に著名である状態を作って上記の原則の例外として商標登録を受ける努力をしていました。上記の夕張メロンは夕張市農業協同組合が、関アジ・関サバは大分県漁業協同組合がそのようにして商標登録を受けていますし、他にも協同組合宇都宮餃子会が宇都宮餃子、秋田県が比内地鶏、佐賀県経済農業協同組合連合会が佐賀牛という商標登録をしています。これらはいずれも社団法人や事業協同組合が構成員に使用させるために商標権を取得したもので団体商標といわれるものです。地域ブランドは特定の業者のブランドではなく地域内の事業者が等しく使用するものだからです。ただし、このような形での商標登録では地域ブランドの保護を確実に図ることはできません。商標権が地域名と商品名と特別の図形の組合わせに与えられている場合や、特別の字体の文字の組合わせに与えられている場合には、異なった図形との組合わせで地域名と商品名を普通文字で表示した場合に商標権の侵害となるかは微妙ですし、全国的な著名性を獲得する場合には時間がかかり、著名となる前は保護が及ばないからです。
このようなことから、昨年の商標法改正により地域ブランドの商標登録の道が開かれ、本年の4月1日より施行されました。「地域団体商標」と呼ばれる制度です。ただし、これは、地域名+商品名という誰でも使える普通名称について独占的な権利を与える制度ですから、権利主体と対象の要件が厳しいものとなっています。
権利主体は、中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合、農業協同組合法による農業協同組合、水産業協同組合法による漁業協同組合などで、法律上、構成員の資格を有する者の組合加入の自由が保障されているものに限られます。地域ブランドを使用したい事業者は誰でも組合に加入して使用できるようにするためです。
対象となる商標は「地域名称」+「商品(役務)名称」で普通に用いられる方法で表示する文字のみからなるものです。地域名称だけでは登録を受けられません。商品(役務)の名称は指定商品と一致していることが必要です。したがって、「○○りんご」という商標はりんごジュースなどを指定商品とすることはできません。なお、「○○焼」「○○織」「○○塗」などは慣用されている名称として許容されますし、「本場」「特産」「名産」などを付加することも産地を示す慣用文字として認められますが、「本家」「元祖」「特選」などは産地を示すものではないため受け付けられません。更に、地域とは商品の実際の産地や役務提供の場所として商品等と密接に関連性を有している地域を指し、現在の地域名のみならず、旧地名、河川、山岳、湖沼、海域等広く認められますが、地域名称のイメージだけを利用した商標については産地と地域との関連性がないものとして地域ブランドとして認められず、登録できません。
商標は団体あるいは構成員の商品(役務)を表示するものとして需用者の間に広く認識されていること、すなわち「周知性」が必要とされます。特別に保護を与える以上、全国的に著名である程度に有名であることは要求されませんが、地域ブランドとしての信用が蓄積されていることが必要だからです。
以上の要件を満たす地域ブランドは4月1日より登録受け付けが始まり、多数の申請がなされているようです。登録審査には若干時間がかかりますが、早ければ今秋には地域ブランドとしての登録商標が登場するものと思われます。


(2006年4月執筆)


小川憲久
 役職
   (財)ソフトウェア情報センター 特別研究員
   法とコンピュータ学会 理事
   東京工業大学非常勤講師(1998-2002)

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2006年5月23日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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