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経営事情による従業員の解雇について

テーマ:解雇・退職

2006年8月10日

解説者

弁護士 窪田耕一

1、使用者側が経営事情等により生じた従業員削減の必要性に基づいて労働者を解雇することを、整理解雇といいます。
この整理解雇が法的に有効であるかについては、4つの要件により判断するということが判例上確立されています。そして、その要件とは、
1. 人員削減の必要性があったこと
2. 解雇を回避するための努力を尽くしたこと
3. 解雇される従業員の選定基準及び選定が合理的であること
4. 使用者側が事前に説明、協議義務を尽くしたこと であり、この要件を満たさない場合には、労働基準法18条の2違反(解雇権濫用)になり、無効になります。


2、ここで整理解雇を必要とされる会社の状況及び整理解雇の解雇される労働者の人生に対する多大な影響を考えると、いかに注意をしながら整理解雇を行ったとしても紛争が発生すること自体を回避することは困難であるのかもしれません。
しかし、できるだけ紛争の発生を避けるため、また後に整理解雇が無効とされないために、整理解雇を行う使用者側としては、どのようなことに注意するべきかについて上記4つの要件ごとに検討してみたいと思います。


3(1)1. について、
まず、整理解雇が労働組合壊滅やその他の不当な目的のためではなく、真に会社の経営上の観点から人員削減の必要性があることが必要です。この人員削減の必要性を示す資料を、後述のように労働者や労働組合に対し、誠実に説明を行うためにも予め収集、整理しておく必要があると考えられます。
具体的には、収支や借入金等の資産状況や役員報酬支給の状況、株式配当の状況等を明らかにするために損益計算書や貸借対照表などの計算書類、新規採用者の状況を示す書類などを作成、収集、整理すること、そしてこのような資料をもとに、人員削減が必要であること、またその規模などについても整理し、報告書などを用意しておくということも考えられると思います。
(2)2. について、
次に、使用者としては、整理解雇以外の会社の経営を改善させるための努力および整理解雇以外の人員削減手段を講じたにもかかわらず、やむをえず、整理解雇を行わなければならなかったという事情が必要であると考えられます。
まず、人員を削減する以前の努力として、経費削減のための努力を行っているか、具体的には役員報酬削減、残業規制などの賃金の支出削減のための努力などを行う必要があります。 また、1.の要件にも関連しますが、そもそも新規採用を停止しているかというのも整理解雇の有効性を考える上での判断材料となります。
次に、整理解雇以外の人員削減手段として希望退職募集などが考えられます。整理解雇の前に希望退職募集を行ったとしても必ずしも即この要件をみたすわけではありませんが、希望退職募集を行わずに、いきなり整理解雇を行った場合には、裁判上2.の要件をみたしていないと判断されることが多いので、使用者としては整理解雇前に希望退職募集の方法をとることも検討すべきでしょう。
(3)4. について
使用者の恣意的な判断による不当な解雇が行われないためにも使用者は、解雇をする客観的合理的な選定基準に基づき、その基準を公正に適用して解雇を行う必要があります。
選定基準としては、勤務成績や労働者の能力、勤続年数、年齢等様々な要素が考えられますが、恣意的な判断とみられないようにある程度具体的に設定する必要があります。
(4)整理解雇を行う必要性がある場合でも、労働者にとっては多大な影響を与えるので、使用者としては、紛争の発 生を防止するためにも労働者や労働組合に対して、事前に、1.ないし3.で述べた事柄および整理解雇の時期や規模、方法、条件などにつき適切な資料を充分に開示して、誠実に協議を行うべきでしょう。


(2006年6月執筆)


弁護士 窪田耕一(くぼた こういち)

(学歴/職歴)
2002年    大阪大学法学部卒業
2002年    司法試験合格
2003年    弁護士登録
2003年    北本善彦法律事務所入所
2003年11月  事務所から派遣されて、エジプトカイロにアラビア語留学
2005年2月  帰国

(主な取扱業務)
1、企業法務一般 
 各種商取引契約書作成、登記、株主総会,労働問題、非上場株式の譲渡等
2、一般民事事件
 不動産・借地借家・離婚・交通事故・相続等通常の民事事件全般
 サラ金等の債務整理、個人の破産
 会社の破産・民事再生等の倒産事件
 著作権、商標権、特許権等の知的所有権事件
 労働事件
3、海外との商取引案件
 英語、アラビア語を必要とする合弁事業等の交渉・契約等、企業買収・営業譲渡・株式譲渡等の交渉案件
4、刑事事件
 刑事裁判示談交渉等刑事事件一般および少年事件

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